ゲームを教え教わる場面にて、教わる側が考察した取り留めもないこと
前書き
この記事は、最近私自身が誰かにゲームを教わる立場になる機会が増え、その私自身の経験や他の方のお話を聞いた限りで思い付いた事をつらつら述べるものです。既に似たような事を述べている記事等がある場合は、「同じようなことを考えている人がここにもいるんだなぁ」程度に考えていただけると幸いです。また、一応ゲーム全般、ひいては物事を教え教わるという行為全般に言えるかもしれない事だと認識していますが、具体例としてスマブラ、マリオカート、スプラトゥーンあたりのゲームを念頭に置いている点ご注意ください。
なお、今回の定義として教える立場の人を上級者、教わる立場の人をライト層としておきます。多少語弊のある言い方ではあると思いますが、他に適切な表現が思い付かなかったので勘弁してください。
経験値という課題をライト層が克服するためには
早速本題に入ります。今回私が持論を展開したい話題としては、「ライト層がそのゲームを上達するためにどうしても必要なプレイ時間をどう確保したら良いのか」という点です。どのゲームにおいても、上達するにはそれに必要な経験値、つまりプレイ時間が存在するでしょう。もちろん、ここで述べたいのは「一日の時間をどうやりくりするのか」といった生活のコツなどではなく、「ライト層がモチベを保ってプレイ時間を稼ぐには」という点です。
今回の場合、特に教え教わる場面において、教える側が当然のものと考えているこの経験値というプレイ時間をライト層はどう認識したら良いのか、という事ですね。
経験値って?
まず上級者と言われる方々は相応の経験値を持っています。これは誰に言われたでもなく「楽しいから」たくさんそのゲームを遊んで自然と獲得した経験値です。このような上級者にライト層が何かを教わる時、しばしばこの経験値を前提とした教えを受けるため、何を言っているのかわからない、何をしたら良いのかわからない、という事象が存在します。具体例を2つ、①スマブラにおける「画面を見て」という言葉②スプラトゥーンのサーモンランにおける「やばい状況になる前にスペシャルを使え」という言葉、を挙げておきます。
①の言葉「画面を見て」という言葉は、いろいろな方の解説動画等を参考に要約すると「画面から最大限の情報を得て」という意味だろうと思います。画面から得られる情報を可能な限り得て活かそう、という事ですね。しかしライト層からすれば、そもそも「画面から得られる情報」とは何なのかわかりません。また自分のキャラの操作で頭がいっぱいで画面から得られる情報になんて頭のリソースを割けないかもしれません。
②の言葉「やばい状況になる前にスペシャルを使え」という言葉はもっと具体的ですね。これは「危ない状況になった後からスペシャルを使っても状況の打開は困難だから、状況の打開が可能なうちにスペシャルを使おう」という意味だと思います。たしかに、スペシャルには全てをひっくり返すほどの力は無いので、シャケ達にステージを占領されてしまったら、いくらスペシャルを使おうとも打開は容易ではありません。しかしライト層からすれば、この「危なくなる前の状況」すなわち「これから危なくなると予想される状況」がまるでわかりません。したがって、結局スペシャルの使い時がわからないままプレイしている、という事ですね。(ここで、上記の言葉を文字通り受け取って開幕スペシャルぶっぱしたらそれはそれで怒るでしょう?)よくスペシャルを抱えたまま失敗したり余ったスペシャルをクリア後に祝砲代わりに使っていたりする人を見て不満に思う方がいらっしゃるみたいですが、この「スペシャル残し」は決して意図的ではなく、使い時がわからないままゲームが終わっているだけなのだろうと思います。
この2つの事例に共通して言える事は、「上級者はたくさん遊んで得た経験則からくる知識や能力をライト層も当然持っているという前提でアドバイス等をしてしまっている」という事です。これをされたライト層は、当然そのような経験値を持っていないため、何を言っているのか本質がわかりませんし、ましてやそのアドバイス等を実践することはできません。この差が、経験値の差と言えるでしょう。
その経験値とモチベ維持との関係は?
では、その経験値がライト層のモチベ維持とどう関係してくるのでしょうか?それは即ち「上級者とライト層との温度差」と言えるでしょう。前述した通り、上級者が獲得した経験値とは、「楽しくて遊んでいたらいつの間にか得られた経験値」であることが大半です、もしかしたら全部かもしれないレベルで。しかし、ライト層がその上級者と同じレベルでそのゲームを楽しみ、遊ぶ時間を設けているとは限らないわけです。もちろんライト層がその上級者と同様の「温度」を持っているのであれば何も問題ありませんが、極端な話、上級者は何百時間と同じゲームで遊び続けても飽きないのに対し、ライト層は数時間遊べば満足してしばらくそのゲームを遊ばないかもしれません。この温度差が、問題となります。
ここでもし、上記のような上級者がライト層に対し「経験値を必要とするアドバイス」をしたらどうなるでしょう?そのアドバイスをライト層が遂行するには、単純に言えば上級者と同様に数百時間のプレイ時間を蓄積させる必要があるわけです。しかしライト層からしたら数時間も遊べば満足してしまうゲームの事、残りの数百時間は「強要されて仕方なくプレイする時間」となるわけですね。そんなゲームプレイは続きません。いわゆる「モチベの低下」を招き、最終的にそのライト層はそのゲームから離れていくわけです。
ここで私の事例を一つ。私は現在、スマブラ(アイテム無し1on1ルール)へのモチベが皆無となっております。様々な理由がありますが、全てに共通しているのは「楽しさを見出せないプレイ時間を蓄積し経験値を得ないと成長できない」という点です。トレーニングモードにおけるテクニックやコンボの練習なんて何が楽しいのかわからないですし、自身の試合を見返しても何が良くて何が悪いのか皆目検討もつきませんので全く面白くありません。そのため、「対戦アクションゲームとして楽しい時間」が過ぎたらもう満足してしまい、それ以上は「飽きたゲームを無理矢理プレイする時間」となってゲームプレイが続くことはありません。一応、「全キャラVIPに入れる」「最上位勢のプレイの上手さを自分なりに理解する」といった目標はあるものの、その境地にたどり着くまでの道のりが楽しくなくて挫折している、といったところでしょうか。要は「楽しくなるまでの道のりがつまらなくて楽しくなるまでに至らない」という感じですね。この、私のような人間に対して「コンボ精度を高めよう!」とか「試合のリプレイ動画を見て反省しよう!」とか言っても全く効き目はありません。(強いて言えば、例えば「コンボの練習をするのにこんなに面白い練習方法があるよ」との紹介を受けて、実際に面白かったらコンボの練習もできるかもしれませんね。)
そんなライト層になんて構ってられないよ
いや、全くその通りです。上記のような、熱量に乏しいライト層の熱量を上げることはなかなか難しいです。そんな手間をかけてまでそのライト層を育て上げるよりは、元々熱量のあるライト層を相手にした方が遥かに良いでしょう。ライト層側も、熱量を合わせてくれない上級者に深く考えずに質問を投げかけると思わぬ熱量を求められて苦しい場合があると思います。ライト層が質問をする場合に気を付けるべき点はこれですね。この、上級者とライト層の「棲み分け」がお互いにできているのであれば、大きな問題は起こらないでしょう。
しかし、現状はそう簡単に割り切れるものではありません。まず第一に、複数人で遊ぶゲームは一緒に遊ぶ人がいなければ成立しません。よく「界隈」という言葉を目や耳にしますが、この「界隈」が衰退することは即ち一緒に遊んでくれる人が減るということと同義です。ましてや最近は「ゲーム実況者」や「プロゲーマー」のような、ゲームを主軸に生計を立てる方も増えつつあります。そういう方々にとっては特に、自身がプレイするメインゲームの界隈の衰退は死活問題だと思います。ここから、界隈を発展させたい・衰退させたくない、という上級者の方々はライト層の獲得・維持という問題から目を背けることは難しいでしょう。そのため、「熱量の足らないライト層は勝手に去ってくれ」と割り切れないのではないでしょうか。そしてライト層側も、上級者側が積極的に受け入れる体制を整えてくれているのであれば、素直に受け入れられようと考える人は少なくないと思います。そうなれば当然、上級者とライト層が一緒にゲームをする空間が生まれるわけですね。
また第二に、オンラインゲームがあまりにも普及していること、特にチームゲームが流行っている現状から、ランダムマッチングというシステム上どうしても生まれる、いわゆる「野良」と言われる人々に対する文句等が見られるようになった、という問題があります。例えば、同じチームとなった野良の人に「なんで◯◯しないんだよ!」みたいな感じです。これは、言ってしまえば「文句を言っている人が野良の人に良いプレイを要求している」という行為です。もちろん、他人に不当な要求するのは論外ですが、仮にこの「要求」が正論で、経験値を必要とするものであった場合、前述のような「要求された経験値を積めるほどの熱量が無い」という問題が起こるわけですね。これは、気心の知れた仲間でフルメンバーを揃えて遊ばない限り付き纏いかねない問題です。
このように、上級者とライト層が完全な棲み分けをすることは現状不可能だと思います。とすれば、上級者・ライト層ともに経験値や熱量の差を理解し、歩み寄る必要があると思います。
上級者とライト層の歩み寄り
では、上級者とライト層が歩み寄るには、具体的にどうしたら良いのでしょうか。一見すると、上級者がライト層に一方的に歩み寄る必要があるように感じますが、実はライト層側にもできることがあると思います。
上級者ができること
端的に言えば「目の前のライト層の現在の経験値や熱量がいかほどか」を把握することでしょう。特に、そのライト層にとって不相応にレベルの高いことを要求してしまうと上記のようにライト層が離れます。教える立場の場合、難しい話にはなりますが「楽しく自然に経験値を積める方法」をライト層が見つけられるように考えてあげると良いでしょう。そうでない場合であっても、せめて「この人は自分より熱量が低いから、◯◯ができなくても仕方ないかぁ」くらいの気持ちを持つと良いと思いますね。特に、玉石混交な野良全員に上級者と同じだけの熱量と経験値を期待をするだけ無駄です。お互いのためになりません。
ここで私の事例を一つ。私はマリオカートの経験値を積むにあたって、その知識を得るのにいわゆる「マリカ実況者」と呼ばれる方々の動画を見て覚えたものが多いです。この方々の動画は、プレイも上手であり知識も豊富であり、その知識や判断等を説明しながらプレイしてくれているのですが、それだけでなく純粋に見てて面白いので楽しく視聴でき、その結果自然と知識等が身に付くわけです。その知識等を自分で真似してみるだけでも勝率が上がり楽しいですね。このように、楽しく経験値を積む方法を見つける・見つけてあげることができれば、ライト層のモチベを維持・向上することが容易になるのではないでしょうか。(ただ私の事例の場合、思い返せば500本は余裕で超える本数の動画を見ていたので、「そっくり真似してね」とは言えませんが…)
ライト層ができること
自分の経験値・熱量を正確に把握し、上級者に伝える事ではないでしょうか。現在のモチべはどれほどか、現在の目標や課題はどこにあるのか、等を明確にしておけば、上級者にアドバイス等を求めた時により自分に合ったものが貰える可能性が高まりますし、そうでなくとも誰かに言われた言葉が「自分には不相応にレベルの高いことだ」と判断できれば、その要求されたプレイができない自分を責めることは無くなるでしょうし、モチベが無いのに無理矢理自分を奮い立たせて面白くないゲームをプレイし続けることは減るのではないでしょうか。
時々、自分のモチベが低い事を嘆き、モチベの維持・向上に関するアドバイスを上級者に求める方がいらっしゃいますが、これは「特にモチベが低下して悩んだことが無い上級者」にとっては難しい質問だと思います。というより、何が改善されたらモチベが向上するのかは恐らくご自身が1番理解できるかと思います。ですから、「何が向上したら自分は楽しく感じるようになるのか」を考察して、その「向上したら楽しくなるもの」を向上させる方法を質問する方がモチベ向上に役立つのではないでしょうか。それでもそのゲームが楽しくならないようであれば、そもそもあなたがそのゲームに向いていない可能性があるので、諦めも視野かと思いますね。(私の場合、スマブラにおける「格ゲーチックな読み合い」が理解できたらスマブラが数倍面白くなると理解していますが、現状理解には至っておりません。この「格ゲーチックな読み合い」を教えてくれる動画等は非常に乏しいですね。)
お互い熱量が違うことを把握する
両者、共通して言えることとしては、相手の熱量の度合いに気を付けることですね。これはいわゆる「価値観の違い」を理解することだろうと思います。上級者の「特別なことをしなくても無限にそのゲームで遊べる」という価値観と、ライト層の「少し遊べば満足してそれ以降は飽きて楽しく遊べない」という価値観を、お互いが理解し尊重すること、と言えるでしょう。こう言うと、なんだか当たり前の道徳を説いているように感じるかもしれませんが、普段「価値観の違い」を理解できている方でも、殊にゲームを介してこの「価値観の違い」を念頭に置いた発言をなさっている方は存外少ないように思います。これは、「同じゲームを遊んでいる」という価値観が共有されているだけに、見落としがちなのではないでしょうか。
別のもので例えるならば、例えばスポーツを思い浮かべてください。私は野球が好きなので野球で例えますと、甲子園を本気で全力で目指していた経験のあるほどの野球大好きな元高校球児と、今までスポーツなんて体育の授業か運動会くらいしかやってこなかったが最近ちょっと野球に興味を持った運動不足が同じチームで野球をするような感覚でしょうか。この時、元高校球児が、自分が上達するためにしていた練習だからといっていきなり運動不足に地獄のノックを始めたら、運動不足はキツすぎてしんどくなって野球を辞めちゃうのは明らかじゃないですか。また、運動不足が運動不足ゆえに走るのが遅かったり投げるのが下手だったりするのに対し、元高校球児が正論ぶつけて怒りまくってたら、これもまた運動不足はしんどくなって野球を辞めちゃうのは明らかですよね。これでは、せっかく野球に興味を持ってくれた人がいるのに、その人をみすみす手放してしまう結果となりますよね。一方で運動不足側も、原因が練習不足で習得できていないことが明らかな能力を練習せずに身に付けようと元高校球児に懇願しても元高校球児は困るだけです。練習が楽しくないのであれば、その練習を楽しくする方法を考えた方がまだ建設的です。また、無理に元高校球児と同じだけの頑張りをしようとしても、楽しさが見出せないうちは無理を重ねるだけでしんどくなって野球が面白くなくなるでしょう。このように、現実のスポーツなどに例えれば情景が容易に目に浮かぶであろうこの現象が、ゲームでは頻繁に起きているのではないでしょうか。
結局はお互い楽しくゲームしましょうよ、ってこと
結論からすれば、上級者は上級者なりに、ライト層はライト層なりにゲームを楽しむのが1番ってことですね。楽しくゲームができているうちはモチベが云々等と悩むことも無いでしょう。あくまで価値観の違いなので、どちらの価値観が正しいとかはありません。当然のことです。その上で、自分とは違う価値観を持った人に接触する場合は、相手の価値観を理解して接しましょうって話です。誰かに教え教わるというような直接的な接触に限らず、野良の人に対しても、です。「そんなん当たり前やんけ!」とお思いの方、少なからずいらっしゃると思います。私もそう思います。しかし一歩踏み込んで考えてください。その「当たり前」のことをあえて言っている、言わなければならない、その意味がおわかりいただけますでしょうか。
補足
こんなキレイな言葉を並べておりますが、私自身、「野良民に不満を爆発させる人」の価値観があまりわかっておりません。もちろん、野良の人は前述の通り玉石混交なので自分の思い描いた行動や論理的な行動を取るとは限りません。中にはふざけて真面目にゲームを遊んでくれない人もいるでしょう。そういう人に不満を感じるのは理解できます。しかし、そういう人は多くなく、自分なりに真面目に遊んでいる人が大半なのではないでしょうか。その中で「爆発するほどの不満を抱える」ということは即ち、「野良が期待した行動を取ってくれなかった、期待への裏切りから来る不満感」なのだろうと考えております。これが理解できません。野良に何を期待しているのでしょうか?スマブラでのスマメイトやマリオカートでのラウンジのように、ある程度上級者や上級者と同等の熱量を持った人々が集まっているとわかる場所においてはまだその熱量や経験値を求める気持ちはわかりますが、ただ遊んでいるだけのライト層が混ざっているのが明らかな野良に、ですよ?どこかにわかりやすく言語化された解説は無いかなぁ…
後書き
今回は大きな話題を取り上げて書きましたので、個々のゲームの事例に関しては詳しく述べることはできませんでした。しかし、今回具体例として取り上げた事例を筆頭に個々の事例それぞれに対し思うところがありますので、気が向いた時に個々の事例一つ一つをピックアップした記事を書きたいと考えております。基本的には文字数制限の無いTwitterくらいの感覚で書いていきますので、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
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