私の主催する大会の理念的なアレ

前書き

 先日、「第0回2on2大会」と銘打ってスプラトゥーン3の大会を開きました。ご参加いただいたりキャンセル待ちでもエントリーしていただいたりした選手の方々、本配信をご覧になられた視聴者の方々、Twitterでの広報等していただいた方などの皆々様に感謝申し上げます。
 さて、「第0回」と銘打っているからには「第1回」を想定しているのが明らかである通り、これから細々と大会を開催していきたいと考えております。これに先駆けまして、私が開きたいと思っている大会の在り方についてまとめておこうと思います。これは特定のゲームタイトルの大会にのみの話ではなく、私の主催する大会全体に共通する話のつもりですので、私の主催する大会にご参加を検討なさっている方は参考にしていただけると嬉しいです。
 なお、私の属性が「比較的長い間スマブラ競技シーン観戦勢をしていた」という感じであり、私の知らない界隈では当てはまらない話があるかもしれませんがご容赦ください。

私主催の大会の原点

 まず、私がなぜ大会を主催しようと思ったか、どういう大会を理想としているのか、といった私の思想の原点を述べていきます。

素人の「大会」体験

 ざっくり言うとこれです。プロのような最上位勢が大会やイベント等に参加している姿を見て、「楽しそうだなぁ」とか「自分がプロだったらこんなことしてるなぁ」と妄想したことのある方は多いのではないのでしょうか。これはゲームに限った話ではなく、例えばプロ野球を見ていて「自分がプロ野球選手だったら登場曲はこれにして〜」のように妄想する感覚です。私もよくしてました。そして、何の意味があるのか全く理解していないけれどとりあえずプロの真似をしてみる、みたいな事もしたことがあるのではないでしょうか。このような感覚から来る、最上位勢がよく参加している「大会」というものを体験したい、と言う欲求を満たすのが主目的の1つです。
 現在、最上位勢含めガチ勢が多く参加する大会というものは数多く存在すると思います。しかし、そういった大会は文面上いくら参加条件を緩くしても「ガチ勢前提の雰囲気」を拭い去ることは難しく、エンジョイ勢には敷居の高いものとなっています。これを言語化するのは少々難しいのですが、突き詰めて言えば「勝つことこそ価値がある」という価値観に由来している印象です。

私の思うエンジョイ勢

 ここで私の思う「エンジョイ勢」について触れておきます。私の感覚では大まかに「ガチ勢」「エンジョイ勢」「おふざけ勢」の3つに分けております。
 「ガチ勢」は「勝ちこそ全て」みたいな価値観です。負けず嫌いで、負けたら面白くないと感じたり心の中で強くリベンジを誓ったりする人たちですね。もちろん根底はそのゲームが楽しくて遊んでいるのでしょうが、何よりも勝つことが至上命題で勝つためならあらゆる手段を講じる印象です。
 「エンジョイ勢」は、というか私の価値観ですが、純粋にゲームという勝負を楽しむことが至上命題で勝ち負けは結果でしかない、という感覚です。その場の駆け引きを楽しむことさえ出来れば勝ち負けにはこだわらないのがガチ勢とは異なります。もちろん、駆け引きを楽しむには全力で勝負に挑む必要がありますのでちゃんと全力で勝負に挑みます。しかし、あくまでも「お互いに勝利条件を目指す」ということで成立する駆け引きを楽しむために手段として勝ちを目指すだけなので、その結果勝ったか負けたかはさほど重要ではないのです。
 「おふざけ勢」は、勝利条件を目指すことなく別の事で好きなように遊んでいる人です。究極的に言えば、改造等でなければそのゲームをどう遊ぼうがその人の勝手ですが、殊大会という場においては勝利条件を目指してもらわないと困るので残念ながらご遠慮いただく可能性が高いですね。
 もちろんこれらの分類にハッキリ分かれるわけではありませんでしょうが、ご自身の属性がどこに近いのか考えてみていただけると嬉しいです。

「エンジョイ勢」向けの大会

 では、「エンジョイ勢向けの大会」とは何か。概念的に言えば「勝利に必要以上の価値を与えない」「将来の勝ちを強要しない」の2点でしょうか。 
 「勝利に必要以上の価値を与えない」とは、勝ったことによる報酬を必要以上に多くしない、という意味です。もちろん勝ったことは褒め称えられるべき事ではあります。しかし、勝利の価値が大きくなり過ぎて勝つ事が目的になってほしくないのです。また、相対的に敗北の価値が下がり「負けたら何も価値が無い」という認識も持ってほしくないのです。勝っても負けても「楽しかった!」と言える、大会そのものを楽しんでもらえる、そんな大会を目指しています。ここから、例えば少なくとも私が「優勝商品」のような物を用意する予定はありません。
 「将来の勝ちを強要しない」とは、「この大会を通して強くなろう!」的なアレの否定です。言語化出来ていなくてごめんなさい。根底に「勝つと楽しいよね」という価値観があって、「今は勝ててないけど、これから強くなって勝っていこうね」という圧を感じるアレです。私の大会理念として「駆け引きを楽しむ事が第一」ですので、「勝つ事」「強くなる事」を大会側からは推したくないのです。ここから、出場者に実力制限を設けることは原則考えておりません。実力の低い人はもちろんのこと、実力の高い人も、です。一定の実力以上に行ったら「卒業」みたいに捉えられると、その実力に到達するのが目標みたいに見える気がするからです。ただし例えば、あまりにも実力が高く連戦連勝で、手応えの無い試合でも「勝てれば良い、勝ったから気持ち良い」みたいな感じの人など、大会の趣旨に反する人にはご遠慮願わなければならず、その方策は別途検討中です。

大会の具体的な方針

 次に、上記の話を踏まえた上で実際の大会に何をどう反映させていきたいか、という方針を述べておきます。

「大会」と「トーナメント」

 まず前述の通り、素人の大会体験という目線から考えると、トーナメントは「ガチ勢の真似事」という路線で考えていきたいです。そのため、謎の敗者復活戦や曖昧な評価軸のボーナス点みたいなバラエティ番組にありそうな要素を盛り込むわけにはいきません。トーナメント形式は、雰囲気だけでもガチ勢の大会と同じにしたいです。
 一方、広い意味で大会というイベント全体で考えますと、参加者全員がなるべく長い時間楽しめるような構成を取りたいと考えています。現状具体案には乏しいですが、Bクラストーナメントのような物を作成したり敗者が勝者のチームに吸収されたりなど、本トーナメントの優勝者が決まるまでの間に遊べる要素を増やしたいという願望があります。

勝負のルールは運要素を少し強め傾向

 そして、肝心の「勝負のルール」ですが、傾向として少々運の要素を強めにしたルールにしたい気持ちがあります。もちろんガッツリ運ゲーなのは大会として面白くないでしょうけど、勝敗へのこだわりが比較的薄いエンジョイ勢向けの大会ですから、高水準な競技性はそこまで重要ではないと考えています。もちろんガチ勢の真似事である以上、ガチ勢が好むルールをそのまま借りる場合もあるでしょうが、そこに運要素の強い味付けをしてオリジナリティを出したい心地がする場面が多いです。
 余談ですが、私は昨今のゲーム界隈における「肥大化する競技性追求を肯定する雰囲気」にかなり疲弊しております。対戦ゲームはもちろん、1人でまったり遊ぶ事が想定されていそうなゲームですらも「スコアアタック」や「タイムアタック」のような形で誰かと競い、誰よりも早く正しい「正解」を見つけることばかり考える人がいます。そうでなくとも、攻略サイト等を見ていち早く「正解」を検索し示された「最適解」をなぞる事こそがゲームの遊び方だとする人もいます。それ自体は個人の楽しみ方の範疇ですから何とも思わないのですが、今のゲーム界隈ではそういった人たちが集まって形成した界隈しか無いような印象を受けるくらい、その姿勢で遊ぶのが「当然」とされているように感じてしまいます。この風潮へのアンチテーゼが、私が大会を主催する主目的の1つでもあります。

身内での遊びとは違う「公募」の遊び

 想像に難くない意見として、「単にエンジョイ勢的な遊び方をしたいなら友達と勝手に遊べばええやん」と思われるかもしれません。特に最近は、有名配信者の視聴者サーバーなど「友達グループ」の幅も広がっており、人を集めるのも比較的易しくなっていることでしょう。しかし、やはり友達と遊ぶことと大会を開くのとでは大きな隔たりがあると感じています。
 まず、公募というのは当然知らない人との試合が組まれる可能性があります。これにより、友達同士の遊びでは感じることのできない独特の緊張感を感じることになるでしょう。これは「大会体験」としては一種の魅力と言えます。そこから新しい友達関係が築かれるかもしれませんし、ね。
 また、いくら「友達グループ」が広がったと言っても、大会を開くことが可能なレベルの人数を集めることは容易ではありません。例えば、あるゲームの最上位勢の視聴者サーバーがあったとして、そのサーバーで「ガチ勢を除く大会出場者」がどれほど存在するでしょうか。配信者の実力に惹かれて集まった人たちのどれほどが「ガチ勢ではない」のでしょうか。一方、エンジョイ系の配信者の視聴者サーバーならどうでしょうか。そもそもそのゲームを遊んでいて大会を開いたら興味を持ってくれる人がどれほどいるでしょうか。体感、そのような「近しい温度感で遊ぶ人」を大会が開ける人数集めるのは、友達だけでは難しいです。…誰がボッチじゃ!

最後に

 この記事は、個別の大会の「大会概要」に載せるには抽象的過ぎるけどどこかに明記しておきたい、という気持ちで書きました。小難しい事も言っているやもしれませんが、要は「自分が参加したい温度感の大会が無いから自分で開いてしまおう」ってノリです。ネットの世界は自給自足、まぁよくある動機ですね。
 あと、ちょっとした野望として、ゆくゆくはゲームタイトルに縛られない「エンジョイ勢界隈」的な界隈を作れたら嬉しいな、と思います。何でもかんでもガチる人たちとは異なる世界の、私にとってのオアシスを形成し「棲み分け」をしていきたいです。
 なお、この記事は書くべき内容が思い付き次第適宜追記していく予定です。よろしくお願いいたします。


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