見出し画像

【WBC】決勝の見どころ (アメリカ代表選手の特徴)

WBCもいよいよ決勝を残すのみ!

日本vsアメリカの見どころを探ります。

今更予想をつらつら書いても意味が無いので、試合中にチラッとチェックしても楽しみが拡がりそうな情報をまとめてます。

具体的には、本企画はMLB合同noteの一環のためメジャーリーガーしか扱わないのですが、アメリカ代表vs大谷翔平、ダルビッシュ有、ラース・ヌートバーという形式で情報をまとめましたので、ご観戦の一助となれば幸いです。

※アメリカ代表の概要については以下もご参照ください。

準決勝の成績

決勝で同じ投手は出て来ないはずなので、打撃についておさらいします。

キューバを完膚なきまでに叩いたアメリカと、最後の最後でサヨナラを決めた日本とでは大きな差がありそうかな?と思ってましたが、比較するとそうでもないです。

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/team?timeframe=-1

HRが4本出ていますので全般的にアメリカの方が上なのですが、安打の数は4本差、四球数は同数に。キューバとメキシコの投手陣の差を想像すれば、打撃の調子そのものは互角と言っていいでしょう。

よって、ようやく本調子になったと言えそうなため、主に2022年の成績を引用し、予想オーダーとそれぞれの特徴に加え、日本代表にいるメジャーリーガー達との対戦成績をまとめる事にしました。

スタメンと特徴

スタメンは以下。日本の先発が左の今永投手という事で、その後は右のリリーフが予想される事や、ダルビッシュ有、投手・大谷翔平の登板も想定される事から、選手別に以下の項目をまとめました。(データは2022年)

■左右別打率/OPS (Savant)
■得意不得意球種 (
Savant)
■ダルビッシュ有対戦成績 (
Fangraphs)
■投手・大谷翔平対戦成績 (
Fangraphs)

1. 右 ムーキー・ベッツ (Mookie Betts) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .308/.983
vs右 .255/.832
■得意不得意球種
○→直球系
△→カーブ (かろうじて)
■ダルビッシュ有対戦成績
9打数2安打2三振
■投手・大谷翔平対戦成績
なし
■コメント
大きな弱点はありません。直球系は昔から強く、投げる場合は打ち損じを期待できるコースにすべきか。カーブは昔から空振り率が上がりますので、織り交ぜても面白そう。また、三振が少ないタイプながら、ダルビッシュから2三振しているのは面白いポイント。

2. 中 マイク・トラウト (Mike Trout) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .310/1.058
vs右 .273/.976
■得意不得意球種
○→直球系
△→スライダー (かろうじて)
■ダルビッシュ有対戦成績
N/A
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
対戦したのが運の尽きというレベルに弱点がないのですが、過去四年まで遡ぼるとスライダーのみ相対的に空振り率が増えます。この球種は毎年のようにトレンドが進化して別物になりますが、投げてみる価値はありそうです。

3. 一 ポール・ゴールドシュミット (Paul Goldschmidt) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .411/1.328
vs右 .294/.893
■得意不得意球種
○→直球
△→スライダー(かろうじて)
■ダルビッシュ有対戦成績
2打数1安打2四球
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
まずvs左が避けるべきレベルで抜けています。ただ、スライダーはどの年も空振りが増えていますので、トラウトと同じく投げてみる価値はあるでしょう。

4. 三 ノーラン・アレナド (Nolan Arenado) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .250 /.939
vs右 .303/.879
■得意不得意球種
○→直球
△→カッター、スライダー (かろうじて)
■ダルビッシュ有対戦成績
4打数3安打1HR
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
空振りが少ないタイプで、どの球種でも満遍なく少ないのですが、カットボール、スライダーは、年によって苦手になったり。ダルビッシュとの相性が抜群に良いですが、スラとカッターには自信を持つダルビッシュがやり返せるのかは注目です。

5. 指 カイル・シュワーバー (Kyle Schwarber) 左打

■左右別打率/OPS
vs左 .193/.687
vs右 .232/.900
■得意不得意球種
○→直球
△→スライダー、カーブ、チェンジアップ
■ダルビッシュ有対戦成績
6打数1安打3三振
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
ようやく分かりやすい打者が出てきました。明確に左投手に弱く、球種的にもスライダー、カーブでの空振り率が増えています。直球もご法度という程ではないので、甘くならない程度に投げつつ、変化球は思い切り投げ込めば、勝機は出てきそうです。

6. 遊 トレイ・ターナー (Trea Turner) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .298/.886 vs右 .298/.782
■得意不得意球種
○→直球
△→なし
■ダルビッシュ有対戦成績
9打数1安打2三振
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
不得意球種無し、としたのは、過去数年をみても「直球以外は満遍なくうち、満遍なく空振る」からでした。今大会絶好調で優勝時のMVP筆頭ですから、直球が偏重にならない範囲で、場面に応じたバッテリーのフィーリングで抑えに行くくらい割り切って良さそうです。また、ムーキー同様ダルビッシュ有に弱い為、ピンチでトレイに回ってきたらダルビッシュ有を、なんて事もあるかもしれません。

7. 捕 J.T. リアルミュート (J.T. Realmuto) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .262/.804
vs右 .281/.826
■得意不得意球種
○→チェンジ、カーブ、カッター
△→スライダー、直球
■ダルビッシュ有対戦成績
3打数0安打1三振
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
どの年でも打率が高いのは中間球+カッターという事になりそうです。スライダーと直球については長打には出来ているものの、打率と空振り率がどの年も悪く、組み立てでは基本になってきそうです。

8. 左 セドリック・マリンズ (Cedric Mullins) 左打

■左右別打率/OPS
vs左 .209/.578
vs右 .279/.781
■得意不得意球種
○→直球、シンカー(2シーム)、カーブ
△→スライダー、カッター
■ダルビッシュ有対戦成績
N/A
■投手・大谷翔平対戦成績
N/A
■コメント
スライダーは長打にはしているものの、21-22年も打率が低いので、甘くならなければ多投もいけそうです。直球、ハードに動くシンカー(2シーム) は危険ですが、長打には出来ていないので、コースに決めればスライダーとのコンビネーションには有効そうです。

9. 二 ティム・アンダーソン (Tim Anderson) 右打

■左右別打率/OPS
vs左 .397/.960
vs右 .281/.686
■得意不得意球種
○→シンカー(2シーム)
△→直球、スライダー
■ダルビッシュ有対戦成績
N/A
■投手・大谷翔平対戦成績
3打数1安打
■コメント
珍しい傾向ではありますが、どの年もシンカー(2シーム)はそれなりに打てています。離脱が多い選手なので他と比べて母数が少ないのですが、直球とスライダーは概ね打率が低下。この二つは質が高ければ大事故にはならなそうです。

想定起用投手と特徴

先発はメリル・ケリー (Merrill Kelly) との事で、これまでの継投とキューバ戦の状況をみるに、アメリカ側の勝ち逃げパターンは以下と思われます。

■複数回組
メリル・ケリー (Merrill Kelly)
カイル・フリーランド (Kyle Freeland)
ブレディ・シンガー (Brady Singer)

■火消、ショートイニング
アダム・オッタビーノ (Adam Ottavino)
ジェイソン・アダム (Jason Adam)

■勝ちパターン
デビッド・ベッドナー (David Bednar)
デヴィン・ウィリアムス (Devin Williams)
ライアン・プレスリー (Ryan Pressly)

要するに残りの投手をフル動員して、勝ちパターン前の6回まで乗り切り、後は一回ずつ想定。

そこで、投手については、以下のような項目をまとめました。

■投球割合 (Savant)
■左右相性 (
Savant)
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar) (
Fangraphs)
■vs野手・大谷翔平 (
Fangraphs)

メリル・ケリー (Merrill Kelly) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤4シーム 29.2% ☆
 ➤チェンジアップ 21.8%
 ➤カットボール 18.3% ☆
 ➤シンカー 17.0%
 ➤カーブ 13.5%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 1.87/1.30
vs右 4.61/1.01
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
2打数1被本塁打
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
分かりやすい特徴の投手。投球割合のバランスは良いものの、チェンジアップが強みになっていない事から、左に有効な変化球に欠けるため、右に直球とカットボールを中心に投げている状態。上位に左が並ぶ日本に出すのは悪手にも思えます。ただしチェンジアップは割合が高く落差もあるため、注意自体は必須。

カイル・フリーランド (Kyle Freeland) 左投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤4シーム 23.2%
 ➤スライダー 22.5%
 ➤シンカー (2シーム) 22.1%
 ➤カーブ 18.2%
 ➤チェンジアップ 13.9%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 2.91/1.63
vs右 2.36/1.35
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
4打数1安打1奪三振1犠飛
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
マネーピッチに☆を付けなかったのは、彼がいわゆるグラウンドボーラーで、どのボールでも空振りではなく打ち損じを誘いに来るから。例えば直球はMLB平均より縦3インチ横1インチも垂れたり、別の意味で厄介。唯一登板できそうな左腕の為、上位に左が並ぶ日本に相性がいいと思いきや、WHIP で見ると左の方が苦労しているという状態。彼が2-3イニング食える可能性は低く、目先を変える+αの登板になる可能性が高いです。

ブレディ・シンガー (Brady Singer) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤シンカー (2シーム) 53.8% ☆
 ➤スライダー 38% ☆

 ➤チェンジアップ 7.7%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 3.71/1.18
vs右 5.55/1.18
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
N/A
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
軌道が一定でないツーシームとスライダーを投げるというわかりやすい投手。大会中の登板で調子が悪かったものの、シーズン成績そのものは優秀。日本としてはスライダーを見きりつつ、シンカーを大振りせずに捉えるかが重要と言えるでしょう。

アダム・オッタビーノ (Adam Ottavino) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ 
 ➤スライダー 42.9% ☆
 ➤シンカー 32.5%☆

 ➤4シーム 12.3%
 ➤チェンジアップ 7.1%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 5.25/1.59
vs右 4.83/0.77
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
N/A
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
スライダーが特長的な投手で数種類を使い分ける。その対を成すシンカーも上々。ただし、左打者には WHIP でみれば苦しいため、日本の上位に使うのは勇気が必要か。この指標から、既に37歳でもあり、下位打線か緊急用で待機の可能性もあります。

ジェイソン・アダム (Jason Adam) 右投 

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤スライダー 35.6% ☆
 ➤チェンジアップ 32.2% ☆
 ➤4シーム 32.1% ☆

■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 5.00/0.65
vs右 4.17/0.83
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
N/A
■vs野手・大谷翔平
2打数1安打
■コメント
分かりやすい投球配分で、どれもマネーピッチになっています。ただ変化量はあるものの、球速帯はどれも平均的。球種を絞る事が攻略の近道と言えそうです。

デビッド・ベッドナー (David Bednar) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤4シーム 53.6%☆
 ➤カーブ 29.5%☆

 ➤スプリット 16.9%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 3.33/1.06
vs右 5.57/1.17
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
2打数0安打1奪三振
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
ここからは基本ノーチャンスの勝ちパターンです。ベッドナーはホップが強い直球を50%以上投げ、カーブの緩急と、横変化のあるスプリットが特長。強いていえばカーブに絞るべきでしょうが、初めて見る打者が多く、軌道を落とし込めるか。あるいは直球をホップ意識で叩くか。打者の対応力が試される投手と言えるでしょう。

デヴィン・ウィリアムス (Devin Williams) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤チェンジアップ 58.1%☆
 ➤4シーム 37.7%☆

 ➤カッター 4.2%
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 3.10/1.17
vs右 3.25/0.90
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
1打数0安打0奪三振1四球
■vs野手・大谷翔平
N/A
■コメント
一番難しいのが彼。回転軸上は「左腕の投げるスライダーと類似」という、唯一無二の変化を起こします。つまり右投げが左投手の軌道でボールを投げてくるわけですから、打つのは至難の業。そんなのが58.1%もきて、昨年は落ち幅も調節し、ストライクも取れるように改良。これを初見で打てというのは相当な無茶です。四球が嵩むタイプなので、活路を見出すなら打つより出塁になるかもしれません。

ライアン・プレスリー (Ryan Pressly) 右投

■投球割合 ☆マネーピッチ
 ➤スライダー 36.8% ☆
 ➤4シーム 32.6%
 ➤カーブ 27.0% ☆
■左右相性 (K/BB/WHIP)
vs左 5.86/0.87
vs右 4.00/0.91
■vsラース・ヌートバー (Lars Nootbaar)
N/A
■vs野手・大谷翔平
1打数0安打0奪三振
■コメント
球筋的な意味での無理ゲー度はデヴィンの方が高いのですが、安定感あって隙無さ過ぎな意味での無理ゲーはこちら。スライダーとカーブのコンビネーションという珍しいレパートリーながら、投げ間違いが殆どないコントロールなのは、二球種+直球なのに左の方が相性いい事で察して頂けるでしょう。チャンスがあるとすれば4シーム一本に絞る事ですが、スラでもカーブでも簡単にカウントが取れるため、絞り切れない可能性も。デヴィンのように四球をもぎ取るのは困難な為、打者の知性が試されそうです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?