5月に読んだ本(前半)

 よーし月1更新が板についてきたぜ!!!!月1更新が板についてきたところで、書きたいこと書いてたら長くなっちゃったから前後編に分けることにしました。今日のところは、まず4冊。

ルバイヤート

 4月末に読んだイランの本の中で「やたらと酒について述べてる詩集」みたいな引用のされ方してて、酒飲みとしては読んどいた方がいいかなって思って読んだ。
 詩集って言っても全然堅苦しくなくて、それこそ酒飲みながらでも楽しめる。イスラーム化する前のイランの人ってお酒大好きだったんだろうなあ。


人間はなぜ歌うのか?人類の進化における「うた」の起源

 一度でも試したことがある人になら絶対に分かってもらえると思うけど、好きな音楽聴きながら好き勝手めちゃくちゃに全力で身体動かすのって、かなり強めの快楽に浸ることができるんです。合法であることが疑わしくなるほどに。今まで何度か友達とその理由について考えたこともあったけど、「だって俺たちはバカだからさ!ハッハッハ!」ていう結論より先に進むことはできなかった。
 そんな疑問に、人類史という観点からひとつの仮説を提示してくれたのがこの本です。具体的には「ポリフォニーはモノフォニーにも言語にも先行する」っていう仮説についての一般向け解説書。
 少しだけ補足すると、ポリフォニーっていうのは主旋律+コーラス(本文中ではコーラスの種類ごとに更に詳しい考察がなされてるけどここではコーラスでまとめる)で成り立っている合唱で、モノフォニーは主旋律しかない歌。モノフォニーは旋律が一つしかないっていうだけで、独唱とは限らず合唱の場合もある。
 木から降りた人類の祖先は、足は遅い・目も悪い・鼻も効かない・空も飛べない。およそ武器になるものがなにもない。でも似たような他の動物と同じ隠蔽擬態ではなく、ポリフォニーによる警告モデル(つまり合唱による威嚇)を採用して生き延びた、って言うんです。
 ポリフォニーがモノフォニーに先行してた証拠として、険しい山岳地帯とか密林の奥地とかそういう地球上の僻地に残る古い民族音楽がたくさん紹介されてて、それもものすごく興味深い。ぐぐった中で気に入ったやつを貼っとく。

 上の方はジョージアに伝わる古い太陽賛歌のlilaっていう歌。どれくらい古いかっつーとキリスト教が入ってくる3〜4世紀よりも前から残ってるらしい。最後の1音でポリフォニーからモノフォニーになるのも、合唱のフォーマットとしてかなり古いものだって本文中にあった。
 下の方はブルガリアの民族音楽で、キリスト教化前のヨーロッパ古層音楽のフォーマットが残ってる地域だそうです。
 本の構成として、まず最初にポリフォニーの分類について解説があって、その後に世界中の民族音楽の紹介、それから人類の祖先の歌についての仮説っていう順番になってて、まあとにかく情報量がやばい。ぐぐる指が追いつかない。特に難しい本じゃないのに、毎晩ぐぐりながらちょっとずつ読み進めて、読み終わるまで10日くらいかかった。
 原著が2011年で、最近の遺伝子研究による人類の分布拡大の推移説明とは噛み合わない部分も一部あるけど(他地域進化説を推してるところとか)、それでもたった3000円かそこらでこんな知的興奮を味わえるこのよろこび!


絵とき ばね 基礎のきそ

 そろそろバネについて真剣に考えてみる時期かもしんない、と思って買いました。うそ。推しが番組の小道具として使ってたので買いました。
 いやでも今までバネの種類とか知らなかったし、難しい説明も数式もほとんどなくて、めーっちゃ勉強になった。素材にする金属についても詳しく書いてあって、いつか私がバネを設計する必要が出てきたらそのときは最初にこの本を読み返すことに決めた。
 面白かったんで同シリーズの歯車編も買ったんだけど、そっちは絶賛積んでます。


音楽嗜好症

 上に書いた「人間はなぜ歌うのか?」にこの本の引用があって、そーいや昔にハヤカワNFがkindleセールになってた時オリヴァー・サックスまとめ書いして半分くらい読んだまま放置してたな!?って思って、大至急読み直しました。
 例のごとくたくさんの症例が載ってるんだけど、特に「解放性幻聴」っていうのが面白かった。幻聴に悩まされる後天性難聴患者の話。

耳が遠いので、通常の入力を奪われた脳の聴覚野が、独自の自発的な活動を起こし始め、それがおもに若いころの音楽記憶による音楽の幻聴という形をとっているのだ。脳はたえず活動している必要があり、聴覚的なものであれ視覚的なものであれ、通常の刺激を受けないでいると、幻覚という形で独自の刺激をつくり出す。

 幻覚って精神的な原因ばっかりだと思ってたら、神経学的な理由で起きる場合もあるんだねえ。通常の刺激をうけないと幻覚で補うってことは、じゃあ脳は『通常の刺激』っていうものを覚えてるっていうことなんだろうか。
 不思議だ……。脳科学の話は、学術系読んでも臨床系読んでも全然わからん……。


 つづきはまたこんど。おわり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?