「やさにちウォッチの中の人」が唸ったやさしい日本語の取り組み①

この記事は やさしい日本語 Advent Calendar 2021  の第15日目の記事です。

縁あって「やさしい日本語で記事を書くライター」という珍しい仕事をしています。「やさにちウォッチ」で、記事を書いています。

"やさしい日本語"と検索し、全国の取り組みを調べ、概要を短くやさしくまとめて記事を作成すること約3か月。担当した記事は100件ほどになりました。

僭越ながら、"やさしい日本語"で検索し調査し、かつそれに関する文章をものした回数、これは今のところ私が日本一なのではないか?と勝手に思っております。(「何を言う、私こそが日本一だ!」という奇特な方がいたら友達になりたいため、ご一報ください)。

ということで、私なりに「これはすごい」と思ったものをご紹介します。本日はこちらです。

「こがとも」やさしい日本語版

福岡県古賀市リーフレット「こがとも」やさしい日本語版というものです。(古賀市ウェブサイトへのリンクです。そこからPDFをご覧ください)

これは古賀市で発行している冊子です。可能であれば、まずリンクからPDFを見ていただきたいです。

私は古賀市で現物を入手できたわけではないのでPDFを見ての感想になりますが、私が調査してきた中では、トップクラスに行き届いた内容になっているように感じました。

優れていると感じたのは、内容が充実していることです。

マップ、防災、医療、観光、飲食、ごみの出し方、日本語教室の情報、自転車のルール、騒音の注意…と、この原稿を揃えるだけでも結構な労力だと思います。そして当然のようにルビ・分かち書き・平易な言葉選び・短文…とやさしい日本語の工夫もされています。

特に生活関係、

「ゴミ袋の水気を切る」

ふつうの 家から 出る 燃えるごみの うち、約40%が 生ごみ です。ごみ袋に 入れる 前に「水を 全部 しぼること」を しましょう。

「油を流さない」

油を 紙に 吸わせます。「燃えるごみ」で 捨てます。

など、日本人にも分かりやすいので、この部分なんかは全国的に配布すればみんな幸せになるのではないかとすら思っています。

改めて、これを作成する労力を思うと、頭が下がりました。

やさしい日本語の情報提供に「冊子部門」があるとして、2021年現在、古賀市の「こがとも」を超えるものはちょっと無いのではないか…?というのが、現在の私の実感であります。

といっても大事なのは、「やさしい日本語の情報提供を実践している自治体の方は皆すごい」ということであり、こういうのは優劣や勝ち負けではない。これは声を大にして申し上げたいです。本当に。ホームページにルビ入りのHTML(<p><ruby>市役所<rt style="font-size: 0.5em;">しやくしょ</rt></ruby></p>みたいな記述)を書いているすべての方々に「ルビ手当」を差し上げてほしい。

補足

1.古賀市は日本人向けのやさしい日本語講演や、「やさしい日本語缶バッジ」の作成など熱心な活動をされており、筆者は山梨県民のくせにひそかに応援しております。

2.「この実践もすごいぞ!」という素敵な情報をご存知の方は、やさにちウォッチ情報提供フォームからぜひ情報をお寄せいただきたく思います。

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