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青木真也から新社会人に何か伝えるなら

2006年の4月1日は静岡県藤枝市にある静岡県警察学校で寮生活の1日目でした。希望に満ち溢れた社会人生活のスタートかと言われるとまったくそうではなくて、定年までの40年をただただ我慢して、時間を売って生きていくのかと考えると「嫌だ」以外の感情が出てこなかったことを覚えています。

僕の場合は警察官になりたかったわけではなく、公務員でクビにならないからと受けてみたら、受かってしまっただけなので、モチベーションは著しく低かったです。同期が「白バイに乗りたい」、「刑事になりたい」と目的意識がある中で、僕はとりあえず楽そうだからと受けて受かっちゃっただけなので、そもそも最初から続くわけがないのは一目瞭然です。それでも若いと言うのは怖いもので、「僕は大丈夫」と思っていたのだから、若い頃の根拠のない自信は武器だと思います。

思い返すと就職前に制服を採寸したりする最終説明会的なものに茶髪で行ってしまい、教官に「静岡県警を舐めてんのか」と問われて、「舐めてないですよ」と返答したものの、公務員でクビにならないからの理由で受けて茶髪で説明会に行くヤツが舐めてないわけがないのです。あのときの教官の「静岡県警を舐めてんのか」に100%同意するし、戻って謝れるなら謝りたいくらいです。(確か教官は森下教官でした。)

皆様、ご存知の通り僕は2ヶ月で早々に退職しました。そこから格闘技を仕事にして今に至るのですが、今考えてみても博打で成功するかどうかはわからないけど、我慢できずにやりたいことをする生き方を選びました。これに関しては正解も不正解もなく、僕が納得していればそれでいいと思っています。

40歳になって思うのは人生は自分が思っている以上に短いのです。時間は有限であっという間に過ぎ去っていきます。そして若い頃の体力や学びの吸収スピードもまた永遠ではなく、20代を頂点になだらかに衰えていきます。飯も食えなくなるし、練習もできなくなるし、海外遠征に行く体力も削られてくるから、若い頃にできることは躊躇せずにやることをお薦めします。挑戦するコストは若ければ若いほど安い上、挑戦が好転する可能性もまた若い頃の方が高いです。やりたくないことをやっている暇はないし、熱中できないことをやっている暇もないのです。熱中できること、没入できることに全力を傾けるに越したことはないと僕は思っています。

挑戦でその一瞬貧しい思いをしようと、挑戦で一般的なキャリアから逸れようとも、個体の力がつけば生き残ることはできるはずです。高度経済成長期と違って、定型のキャリアを築けば社会が後押ししてくれる時代ではなく、個の強さでゲリラ戦を生き残っていくかが重要な時代になっています。

嫌だったら辞めればいいです。無理してやることは何もありません。
ただ頑張ることだけは手放さないでほしい。腐らないでほしい。何でもいいんです。自分が信じること、熱中できることから逃げずに闘い続けてほしいんです。必死に頑張って闘っていると気がついたら、情熱の温度と形が同じ仲間ができて、人生は面白く展開していくものです。

仕事はめちゃくちゃしんどいけど、めちゃくちゃ面白いです。頑張ってたら自分が憧れていた対象と一緒に仕事ができることもあります。新社会人の皆様。気合い入れて働いて、学生時代と比べものにならないほどに充実した楽しい人生を送ってください。

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