見出し画像

「証言!『DREAM』③『僕は負ける気で試合をした』」

青木真也は本当に空気を読んでいないのか? 
「証言!『DREAM』③『僕は負ける気で試合をした』」


 2016年、著書『空気を読んではいけない』(幻冬舎)を上梓した“バカサバイバー”青木真也。するとAmazonの売り上げランキングでもまさかの上位に食い込み、発売からわずかの期間で一気に2万部の増刷に至ったという。出版不況、格闘技は売れないと言われる中、なぜそんな奇跡のようなことが起こったのか。
 さらに昨年末、青木真也はBASEにてオンラインショップ「青木真也商店」を開店させた(『技術DVD 青木真也 足関節の精髄』も大好評発売中!)。これで昨年末に開設したオンラインサロン(現在移行中)に続き、ネット上での新規事業がスタートしたことになる。
 そんな“バカサバイバー”が、いつだったか、かつて自身が主戦場としていた『DREAM』について振り返りたいと提案してきた。『DREAM』といえば、2008年3月から2012年大晦日まで開催された総合格闘技のイベントだが、ここに関わった関係者やファイターを含めた流れが現在にも息づいている。そう考得るとこれを再考することで、今後の格闘技界の行く末が見えてくると考えるのは、実はかなりの確率で的を射ている気がする。
 ということで、早速、“バカサバイバー”と接触を図り、『DREAM』をひとつずつ検証して行くことに。
 果たして『DREAM』という夢の舞台から、改めて“夢”は導き出されるのか?
 そして、“バカサバイバー”は本当に空気を読んでいないのか――。(聞き手◉“Show”大谷泰顕)

「僕は負ける気で試合をした」

――今回は『DREAM2』の話なんですけど、まず第1試合で青木真也×JZカルバン戦というライト級GP1回戦の再戦が組まれています。
青木 いま思うとあの試合で、初めてプロになったんじゃないかなあと思いましたね。
――初めて!?
青木 前回話したように、生まれて初めて(『DREAM1』でのカルバン戦の結末を巡って)世間に叩かれて、もう辞めてもいいやと思ってこの試合をするんですけど、それでも『DREAM』を動かしていくには、僕が試合をしないといけないんだなあと思って。
――『DREAM』を動かしていくために。
青木 その時に、僕は「止まった時計を動かさなければいけない」って言っているんですけど、まさにそういう気持ちでしたね。
――試合の5日前に公開練習をマスコミ向けにやっているんですけど、その時はなぜか新宿の中央公園に行って、坐禅をしていましたよ(笑)。
青木 やりましたね(笑)。
――その時には、「4月4日の記者会見以降、約3週間、毎日30分は座禅をした」的なことを言っていました。
青木 それは若干のリップサービスが入っていますけど(笑)。
――あ、そうなんだ(笑)。
青木 だけど真面目な話をすると、あの時のカルバンとの再戦は、負けに行ったんですよ。
――え! 
青木 負ける気で試合をしたと思う。
――負ける気で!?
青木 負けていいから、全てを置いてこようと思って試合をしたと思います。
――………。
青木 負けても、3月と4月のカルバンとの2試合分のファイトマネーがあれば、しばらくは生きていけるから、もうとりあえず全部終わらせよう。勝敗がどうなろうと、この試合をして辞めようと思っていたので。
――新宿中央公園で座禅をしながら、実はそんな心境でいたんですね。
青木 これで辞めてやる! これで最後! 勝っても負けても! そんな状況でしたね。実際、加藤(博之)さんにもそう言っていたはずだし。「試合が終わってからもう1回話させてください」って。
――さっきも言った通り、『DREAM2』でのカルバン戦は第1試合だったんですけど、会場の雰囲気を含め、どう感じましたか?
青木 その時は単純に、タレント(出場選手の顔ぶれ)が違ったよね。
――どういう意味ですか?
青木 『DREAM1』の時にはいなかった、桜庭和志、田村潔司もいたし、船木誠勝もいたし。
――桜庭和志、田村潔司、船木誠勝は『DREAM2』からスタートした、ミドル級GPに出場していましたもんね。
青木 あのメンツと一緒に並んでいたら、これは凄いなあって。船木さんにしても神々しさを感じましたよね。

ここから先は

5,515字
この記事のみ ¥ 1,000

サポートありがとうございます。選手活動、表現活動の活動費用に当てさせていただきます。更なる良いもの、面白いものを創作する原資に大事に大事に感謝を込めて使わせて頂きます。