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ONE166 ジョシュアパシオさんのスープレックス決着 「That’s Life」今は無事を祈ります

初のカタール開催で三大タイトルマッチを据えて、明らかな肝入り大会であったONEですが、興業の難しさとそれ故の面白さを示す大会で、その魅力に興業主(プロモーター)と言う仕事は魅了されていくのだと思いました。日本大会のようなロッタン欠場、セージノースカット直前欠場があっても感動的な神興業とされる大会もあれば、今大会のように期待値は高かったけれど結果としてセミとメインがなんとか形にしてくれる興業もあって、これこそが興業の面白さだと思います。

ヘビー級でフィニッシュ必至と期待されたアリアックバリ対ブラーは、僕が20年プロ格闘技選手を見ていて、初めて見る消極的な姿勢による失格負け。北米ルールには消極的な姿勢による罰則を取られることはないから、消極的な姿勢による失格負けもないので、ONEルールが故に見られた光景で、このルールに賛否はあれどもエキサイティングな試合をさせようとするONEの姿勢だと思うとそれはそれで納得です。格闘技=護身と捉えるのであれば消極的もマイナス要因ではないですが、競技であり、闘いであり、エンターテイメントで商売なので、消極的な姿勢での反則失格もまた理解できます。

ストロー級チャンピオンシップではジャレッドブルックス対ジョシュアパシオが組まれました。この試合は再戦で前戦が競り合った内容だったが故に好試合が期待されましたが、1Rにブルックスさんの投げがONEでは反則とされる、頭から相手を落とす行為「スープレックス」に該当してしまいブルックスさんが失格。試合結果はチャンピオンシップではありますが、反則による勝利で挑戦者ジョシュアパシオさんが王者となって王者移動。チャンピオンシップでの反則決着は不完全燃焼でモヤモヤした感じを残しますが、それ以上に頭から落ちて首が曲がった形でノックアウト状態に陥ったパシオさんの状況が心配でした。ただただ無事を祈るのみです。

スープレックス禁止ルールはONEのみのルールなので、見ているファンも参戦する選手も戸惑いはあると思うのですが、ONEのルールであるので仕方がないところです。スープレックス禁止に関しては僕も完全に納得しているわけではなく、格闘技としては有効な技術で受け手も防御する技術が必要だとも思うのですが、MMAがスポーツの枠でいるためには安全性の担保は必須なので、格闘技としてはスープレックスは有効であってほしいけれど、スポーツとしてやっていくには禁止にせざるを得ないのもわかるといったところです。柔道における蟹挟み禁止と同じ理屈です。基本的にルールは安全性と観客に対して如何に魅力的な試合を行う構造になっているかで変わっていくものです。

今回のスープレックスがジョシュアパシオさんが意識を失うほどのスープレックスになってしまったのは、スープレックスは反則で後ろに投げられる意識がなかったのとパシオさんもアームロックに入っていたのでアームロックに意識が集中していて受け身を取り損ねたのもあると思います。もしもスープレックス禁止でなければ、パシオさんの技量であれば投げられることを意識して受け身を取れたとも思いますので、現状ONEのルールで反則行為なので失格でパシオの勝利が妥当だと思います。チャンピオンシップが反則決着で王座移動はファンだけでなく、それ以上にパシオさんとブルックスさんが納得も釈然ともしないだろうし悔しく思っていると思います。

まずはパシオさんが無事であることと負傷を治して、また機会があって互いに望むのであれば、試合で互いに納得できることを祈っております。今は何よりもジョシュアパシオさんの無事を祈ります。

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