見出し画像

証言!『DREAM』(10)「約束と違ったオファー」

2016年、著書『空気を読んではいけない』(幻冬舎)を上梓した“バカサバイバー”青木真也。するとAmazonの売り上げランキングでもまさかの上位に食い込み、発売からわずかの期間で一気に2万部の増刷に至ったという。出版不況、格闘技は売れないと言われる中、なぜそんな奇跡のようなことが起こったのか。
 さらに昨年末、青木真也はBASEにてオンラインショップ「青木真也商店」を開店させた(『技術DVD 青木真也 足関節の精髄』も大好評発売中!)。これで昨年末に開設したオンラインサロン(現在移行中)に続き、ネット上での新規事業がスタートしたことになる。
 そんな“バカサバイバー”が、いつだったか、かつて自身が主戦場としていた『DREAM』について振り返りたいと提案してきた。『DREAM』といえば、2008年3月から2012年大晦日まで開催された総合格闘技のイベントだが、ここに関わった関係者やファイターを含めた流れが現在にも息づいている。そう考得るとこれを再考することで、今後の格闘技界の行く末が見えてくると考えるのは、実はかなりの確率で的を射ている気がする。
 ということで、早速、“バカサバイバー”と接触を図り、『DREAM』をひとつずつ検証して行くことに。
 果たして『DREAM』という夢の舞台から、改めて“夢”は導き出されるのか?
 そして、“バカサバイバー”は本当に空気を読んでいないのか――。(聞き手◉“Show”大谷泰顕)

以下、今回の記事の一部を紹介

▪︎人間白帯
▪︎山本KID徳郁への思い
▪︎約束と違ったオファー
▪︎魔裟斗×川尻達也戦

▪︎人間白帯

――今回は『DREAM9』(2009年5月26日、横浜アリーナ)を語ってもらいたいんですけど、この大会では試合が組まれなかったんですよね。
青木 ですね。『DREAM9』は今成(正和)とかが出たんですよね。
――フェザー級グランプリの決勝がありました。前半はチェ・ホンマンやミノワマンらの出場した、スーパーハルクトーナメントの試合が組まれていて。
青木 ありましたね。(元メジャーリーガーのホセ・)カンセコとか。面白かったですよ。
――ああいう世界観は、別世界の話でしたか?
青木 今はまだ、あれもアリっていうのはわかるんですけど、その頃はとくにあんまりいいとは思ってなかったッスね。
――その当時は? ですかね。今も?
青木 安っぽくは見えますよね、あれをやると。
――最近の『RIZIN13』(2018年9月30日、さいたまスーパーアリーナ)であった大砂嵐×ボブ・サップ戦のような?
青木 まあね(笑)。
――ただ、安っぽくしないと届かない層もあるんですよね、現実論としては。
青木 だからこそ、地上波のコンテンツとしてやるっていうのがもう死亡なのかもしれないですよね。
――地上波ありきの方法論はもう終わったと。
青木 ええ。直接(ユーザーに)刺さらないですからね。
――なるほど。ちなみに『DREAM9』だと青木真也に関する話では、『DREAM10』(2009年7月20日、さいたまスーパーアリーナ)に出ることが発表されました。
青木 ビトー・“シャオリン”・ヒベイロ戦をリング上から発表したんですよね。
――「柔術黒帯、人間白帯の青木真也です」って挨拶して。
青木 うーん、それはそうなんじゃないの?
――今も白帯ですか。
青木 うーん。その頃、「あいつは人間白帯だ」って言われていましたからね。
――あ、その頃に?
青木 というか、昔から「あいつは人間性ができてない」とかって周りにずっと言われていたし。
――そんなに昔から?
青木 (無視して)だったらいいじゃん。開き直ってやろう、みたいな。
――なるほど。
青木 だから開き直って、人間ができていなくて何が悪いの? ってずっと思っていましたからね。
――だけど、元々そういう人たちが集まる世界ですからね、こっちは。
青木 はい。それなのに聖人君子を求めていますよね。
――もしそんなことを考えている人がいたら、そもそも論が間違っていますけどね。
青木 どういうことですか?

ここから先は

3,211字
この記事のみ ¥ 500

サポートありがとうございます。選手活動、表現活動の活動費用に当てさせていただきます。更なる良いもの、面白いものを創作する原資に大事に大事に感謝を込めて使わせて頂きます。