見出し画像

過激な恋愛

“バカサバイバー”青木真也、「過激な恋愛」を語る!

 マット界において、“バカサバイバー”と呼ばれる青木真也。
 2017年の現時点まで、修斗から始まったプロのファイターとしての舞台は、『PRIDE』、『DREAM』、『ONE FC』、IGF……、とその活躍の場を広げ、気づけば10年以上のキャリアを持つまでに至った。
 しかし、決してその道程は平坦なものではなく、時には泣き、笑い、物議を醸し、賞賛も侮蔑も浴びながらここまできたという側面を持つ。その様子はまさに文字通り、「バカ」な話を潜(くぐ)り抜けながら「サバイブ(生き残る)」を実践してきたと言えるもの。
 もちろん青木真也自身に実力がなければ、ここまで生き残ってこられなかったのは当然だが、さりとて、青木真也は断じて一人で生き残れたわけではない。その影で尽力してくれた人物が一人ではなく何人もいてこそ、確実に今の青木真也が存在する。
 とくに今回、青木真也がなぜか今このタイミングで語っておきたいとの心境に至ったのが、青木真也の格闘技人生において最もその可能性と才能を高く評価し、目をかけて育ててくれた人物、加藤博之氏への思いである。加藤氏は現在、マット界からは少し離れた場所にいるが、『PRIDE』『やれんのか!』『DREAM』などが存在した頃には、常にその中心におり、青木真也を決して甘やかさず、文字通り「厳しく」育てていた。
 そしてそこには金銭的なつながりを遥かに凌駕する「人間関係」が存在し、「忠誠」や「責任感」や「浪花節」が見え隠れしている。
 両者の関係性を青木真也は「過激な恋愛」と評する。
 とはいえファイター・青木真也が加藤氏のことを口にする時、そこには加藤氏が青木真也の育ての親でもあり、兄でもあり、確かに恋人よりも深い関係性を保っていた時期が存在したことがダイレクトに伝わってくる。
 果たして、これから記すのは、両者がそんな「過激な恋愛」を育んでいた頃の話だが、この視点は、青木真也を注視する「観る側」の方々にとって、非常に重要な見方を提示することができると自負している。しかも、そこには「格闘技」や「リング上」を飛び越えて、「人間関係」の築き方や「仕事」に対する考え方にも十分、応用できる話が詰まっているのではないかと考える。
 つまり青木真也を考えることから、己の日常にフィードバックしてもらったほうが、よりその世界観を堪能できることは確実。
 少し仰々しい物言いになってしまったのだけれど、ひとつ言えるのは、ここにはリング上に至るまでの激しい「闘い」があったことが記されている。
 そうした「闘い」の先に、初めてリング上の「激闘」が形成されること。一人のスターを育て上げるまでに、そしてひとつのものを創り出すまでにどれだけの「喜怒哀楽」が日常的に行なわれているのか。それを念頭に、“バカサバイバー”の歴史の一端とそれを記した文字を追っていただければ幸いである――。(聞き手◎“Show”大谷泰顕/2017年2月22日、都内カフェにて収録)

月給+ファイトマネー

ここから先は

25,399字
この記事のみ ¥ 1,000

サポートありがとうございます。選手活動、表現活動の活動費用に当てさせていただきます。更なる良いもの、面白いものを創作する原資に大事に大事に感謝を込めて使わせて頂きます。