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【MIL】1月の補強まとめ

ブルワーズ担当のあなんです。
今回は1月に行われた補強について一気にお話しします。


○ Bryse Wilson獲得

現地1/4、パイレーツから25歳の右腕Bryse Willson(ブライス = ウィルソン)投手を金銭トレードで獲得しました。

これに伴いTrevor KelleyがDFAされ、後日FAになっています。


Wilsonは2016年ドラフト4巡目でブレーブスと契約。マイナーを順調に駆け上がり、20歳の2018年にMLBデビューしました。しかしMLBでは定着せず、2019年~21年でわずか20登板にとどまると、21年夏のトレードデッドラインでパイレーツに移籍しました。


昨年はパイレーツの先発ローテ3番手として、キャリアハイの25試合(うち20先発)に登板しました。

【2022年】
25試合(20先発) 115.2イニング
ERA:5.52 FIP:5.06
K/9:6.15 B/9:2.49 HR/9:1.56 fWAR:-0.1

成績は芳しくありません。四球の少なさが唯一の救いかもしれません。


Wilsonのスペックとしては、90mph前半(150km/h弱)のシンカーとフォーシームが50%以上を占めています。相手打者の立ち位置で投げ分けがされていて、左打者にはフォーシームとチェンジアップ、右打者にはシンカーとスライダーを中心にした投球です。ブルワーズにはあまりいないシンカーボーラーで、Houserと近いものを感じます。


懸念点としては、20年以降球速が大幅に低下していること。フォーシームとシンカーはそれぞれ1.4mphと1.1mph低下、スライダーはなんと5.0mphも低下しています(88.4→83.4)。その期間に大きな怪我をしたという記録もないため、いったい何が原因か気になります。


ブルワーズでのWilsonの居場所ですが、先発ローテは埋まっており、さらにマイナーオプションもないということで、正直ありません。ロングリリーフが関の山。しかし同じくシンカーボーラーのHouserがいるため、開幕時点でロースターに残っているかどうかすら怪しいです。


○ Wade Miley獲得

現地1/4、36歳の左腕Wade Miley(ウェイド = マイリー)と1年$4.5Mのメジャー契約に合意したと発表されました。

具体的な契約内容は以下の通り。

【2023年】
ベースサラリー :350万ドル
 75イニングで+15万ドル
 100イニングで+35万ドル
 125イニングで+50万ドル
 150イニングで+50万ドル
MAX:500万ドル

【2024年】
$10Mの相互オプション / バイアウト$1.0M
ソース


Mileyは今季36歳の大ベテラン左腕。昨年はカブスに在籍していましたが、肘の故障で開幕1ヶ月を棒に振ると、その後も怪我に悩まされ、わずか9試合37イニングの登板に終わりました。

Wade Miley

Mileyは三振を奪うというよりゴロでアウトを積み重ねるタイプ。2017年以降GB%は一度も50%を切っていません。また、20代はフォーシーム中心の投球でしたが、30代に入りカットボール中心に変更しています。


昨年はずっと怪我に苦しんでいたため、ノーヒッターを達成した2021年に戻れるかは微妙です。ただ、キャリア成績を見てみると1年間フル稼働した年はそれなりの成績を残していますし、そのフル稼働した年も2021、2019、2017と隔年です。この調子でいけば2023年は1年間投げてくれるのではという淡い期待を寄せています。


ちなみに、Mileyは2018年にMILに在籍していました。チャンピオンシップシリーズ第5戦で、打者1人を抑えて交代したシーンは非常に印象的ですね。



○ Justin Topa放出

現地1/7、マリナーズとのトレードが発表され、ブルワーズはJustin Topa(ジャスティン = トーパ)右投手を放出、Joseph Hernandez(ジョセフ = ヘルナンデス)右投手を獲得しました。


ブルワーズ内のリリーフ序列的にTopaは下から数えたほうが早く、MileyとWilsonの加入でロースター外に弾き出されるのは確実でした。ですので今回プロスペクトと交換できてラッキーという印象です。


Topaは来月で32歳になるリリーフ右腕。平均96mph弱のハードシンカーと横に大きく曲がるスライダーでゴロアウトを稼ぐのが売りで、ヤンキースのリリーフClay Holmesに似ています。


最大の懸念事項は健康面。2020年にデビューしますが、度重なる右肘の怪我で3年間でわずか18試合しか登板していません。過去にはトミージョン手術を2回(大学時代と2015年)受けています。また、その怪我が影響してか球速もデビュー時から2mphほど落としています。

~ Topaを少し擁護してみる ~

一方で、マイナーオプションは2つ残っています。序列を考えなければ放出する必要は感じられません。しかし、ブルワーズの近年の編成傾向を鑑みるとTopaは放出される運命にあったと思われます。


ブルワーズは奪三振力に秀でた投手を好む傾向にあります。Hader、Williamsはいうまでもないですが、トレード・FAで獲得したBush、Boxbergerなども全員奪三振力に秀でていました。

fangraphsより
fangraphsによると、
K%が23%で平均、27%でGreat、30%でExcellentです。
詳しくはこちら

今オフ、ノンテンダーとなり千葉ロッテに移籍したPerdomoはシンカーボーラー。Gottは肘の怪我で空振りを奪えなくなっていました。Boxbergerはクラブオプション($3M)を破棄されましたが、理由のひとつに奪三振率の低下(31.2%→25.4%)が挙げられます。同日にレイズから獲得したGuerra速球の平均球速が98.6mphと、奪三振マシーンのポテンシャルを十分に秘めています。


Topaは、ハードシンカーで空振りを奪えるには奪えますが、WilliamsやBushらと比較すると劣ります。彼の放出理由は健康面だけでなく、チームのブルペン編成方針に沿わなかったとも考えられます。Topaが移籍先のマリナーズでブレイクする可能性は大いにあるでしょう(とTopa擁護をしてみたけど、やっぱ怪我がちなリリーフはいらないかな)。


ちなみにTopaにはこんな逸話も。2019年1月、Topaは家の近くの野球トレーニング施設で大学生の打撃練習に付き合っているときの映像がTwitterに投稿されます。当時はまだ新天地が見つかっていませんでした。しかし、その映像が多くのスカウトの目に留まり大きな反響を呼びました。あのPitchingNinjaにもRTされたそう。そしてその映像はブルワーズのスカウト陣の目にも留まり、ブルワーズとのマイナー契約につながりました(そのツイートは現在削除されています)。Twitterで新天地が決まるなんていかにも現代って感じですよね。



Topaの見返りで獲得したHernandezは現在22歳の右サイドスロー投手です。昨シーズンは先発としてLow-Aクラスでブレイク。116.2イニングで防御率3.39、143奪三振でCaliforniaリーグの最優秀投手・最多奪三振を受賞しました。ちなみに、Carolinaリーグの最優秀選手はブルワーズのJackson Chourioです。


持ち味は大きく横滑りするスライダーで、昨年は全投球の60%近くを投じています。フォーシームも90mph中盤を推移し、伸び上がるような軌道をみせます。


課題はコマンドで、四球率は11.1%。フォーシームとスライダーの2ピッチ投球ということもあり、将来はリリーフでデビューするといわれています。



○ Brian Anderson獲得

現地1/17、マーリンズからFAになっていたBrian Anderson(ブライアン = アンダーソン)内野手との契約合意を発表しました。

契約内容は1年3.5M、出来高込みで最大$5.5Mです。


なお、Anderson獲得に伴いJon SingletonがDFAになりました。Singletonは現在FAになっています。Singletonをロースター入りさせたこと自体が驚きで疑問だったので、この動きは極めて妥当です。


Andersonは2014年ドラフト3巡目でマーリンズに指名された右打ちの内野手。2017年のシーズン末にデビューすると、2018年からは3年連続で100wRC+以上を記録するなど優秀な成績を残しました。

2018年
156試合 670打席 .273/.357/.400
10HR 65打点 OPS.757 113wRC+

2019年
126試合 520打席 .261/.342/.468
20HR 66打点 OPS.810 114wRC+

2020年
59試合  229打席 .251/.350/.436
11HR 38打点 OPS.786 120wRC+

しかし、21年の5月に左肩を亜脱臼してからは成績が低下。21年はわずか67試合のみの出場に終わると、昨年も左肩の怪我に悩まされOPS.700を切りました。

2021年
67試合 264打席 .249/.337/.378
7HR 28打点 OPS.715 98wRC+

2022年
98試合 383打席 .222/.311/.346
8HR 28打点 OPS.657 90wRC+

怪我の影響からか、強い打球が打てなくなっています。HardHit率は2018年から38%→44%→35%と推移していましたが、2021年は29%、昨年は31%にまで落としました。


守備はデビューから三塁とライトを守っています。指標は昨年こそマイナスですが、19年から3年間はプラスを記録しており、怪我が完治すれば十分見込めるでしょう。


~ ブルワーズの内野手事情 ~ 

Andersonの加入により、ロースター内の二塁手/三塁手は6人に増えました。UríasBrosseauAndersonToroOwen MillerTurang(トゥレイン)で、Miller以外は2Bと3Bを兼任可能です。


fangrahpsのDepth Chartsによると、三塁はUríasがメインで、AndersonとBrosseauがバックアップ。二塁はTurangがメインで、Urías、Toro、Millerと続いています。ルーキーのTurangがいきなりレギュラー予想なのは驚きですが、そこは置いといて。


Uríasはコーナーを守る野手としては打撃面で物足りません。昨年は長打力を落としOPSは7割前半。今季もOPS7割前半という成績予測です。そのため、Wongの放出に伴いセカンドへのコンバートが予想されていました。一部ではレイズDiazとのトレードまで提案されていました(年俸・スペック・保有年数など色々無理あるから実現しないと思っていたら、契約延長されましたね)。


私はAndersonの怪我回復・打撃復活に期待して、Andersonをサードのレギュラーに据えて、Uríasをセカンドにまわすと予想します。Andersonのパンチ力は非常に魅力的で、打線の中軸に置ける存在です。


スプリングトレーニングでTurangが猛アピールしてくれるのも期待しています。まぁ現実的にはTurangは開幕ベンチにいないかな。Andersonが今オフFAなので、今季はMLBレベルを経験し課題を見つけるシーズン。来季以降レギュラーを掴むというのが希望的観測って感じです。


そういえば、2017年ドラフト1位指名のHiuraもセカンドを守れますね。彼はマイナーオプションが切れてるからこのまま扇風機が改善されないとブルワーズとおさらばですな(遠い目)。


〇 マイナー契約

春季キャンプ招待選手としてマイナー契約を結んだ主な選手は以下。

・Alex Claudio (LHP)
 2019年ブルワーズに在籍していた左のリリーフ

・Eddy Alvarez (INF)
 昨年はドジャースに在籍
 2021年東京五輪に米国代表として出場
 2004年にはスピードスケートの選手として、ソチ五輪に出場。5000mリレーで銀メダルを獲得。

・Thyago Vieira (RHP)
 昨年は巨人に在籍していたリリーフ

・Robert Stock (RHP)
 昨年は韓国球界でプレー
 イスラエル代表としてWBC出場予定

・Colin Rea (RHP)
 昨年はソフトバンクに在籍
 ドライブラインでスライダーをアップグレード(映像)

・J.C. Mejia (RHP)
 昨年薬物使用で出場停止処分をうける

・Josh VanMeter (2B)
 昨年はパイレーツに在籍

・Skye Bolt (CF)
 昨年はアスレチックスに在籍

・Monte Harrison (OF)
Yelich獲得のトレードチップ


以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

サムネ


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