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『フェイクドキュメンタリーQ シーズン2』オマージュ&連想作品リスト (随時更新)

YouTubeのホラーチャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』では様々な作品や実在の事件などの要素が用いられていることが、視聴者の間で語られています。

そこで現在シーズン2に入った『Q』におけるオマージュ、連想される作品などをまとめてみました。

公式に影響元が言及されているわけではないので、視聴者の間で指摘されているものや、個人的に思い出したもの、切り口として汎用性があって楽しみが広がるものを選びました。


※ネタバレをしている参照作品があります。注意書きを添えたので、読みたくない人は飛ばしてください。  
※シーズン1のリストはこちら



S2Q1  ノーフィクション


◆『ノロイ』白石晃士

ホラーモキュメンタリー。ノロイを観たことがある人なら、ノーフィクションの住人初登場シーンで「言い方ァ!」の女性を思い出してしまったのではないでしょうか。

お札やお面、ディレクターの交代など既視感のあるネタもあり。

スタッフが家の物を漁って更なる闇を発見するところなどは皆口さんが関わってるゾゾゾの『捨てられた心霊写真』を思い出します。

◆『サイコ』アルフレッド・ヒッチコック ※ネタバレ

「ノーフィクション」の行方不明の姉はそもそも本当にいるのか、腕を捕まれて云々の話は何なのか。『ノロイ』を見た後だと、あの仮面のことも踏まえて女性が何かしら“”降ろして“”いるようにも思える。この辺も含めて更に思い出すのがこの作品。

モーテルの管理人の男と、姿を見せない母親の“”二人暮し“”。滞在客が途中で死亡、行方を追って新たな人が宿にやって来る。登場人物が交代する構成。


S2Q2  プランC


◆『蓋』

テレビ東京で2021年に放送されていた謎の番組。ディレクターは『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平氏。
皆口さんがインタビュー(※1)で最近見た面白い番組として名前をあげています。

無音で写真を次々に表示する「これは何の蓋」クイズの作りが、プランCに僅かながら影響を及ぼしてる?

◆『恐怖』高橋洋

リングの脚本をはじめ、多くのホラー作品でお馴染み、高橋洋氏の監督作品。
ネットでメンバーを募って車内で煉炭自殺を試みるが…?という、プランCと似た出だし。

S2Q3 -(basement)-


◆エリサ・ラム事件


セシルホテルでの失踪事件の際のエレベーター内の監視カメラ映像が有名。
事件としては解決済みとのことですが、奇行ともいえる行動も相まって様々な憶測を呼びました。
『Q』は解決しなかった世界線に振っています。

S2Q4  マインドシーカー


◆「霊感テスト」 (『死画像』収録)

廃墟で拾ったVHSをダビングする度に映っている人の顔の角度が変わり、だんだんとこちらを振り向くというもの。 界隈で有名な「クニコ」と同じ巻に収録されています。


S2Q5  怪 談


◆ゾゾゾ「消えた女性客...幽霊の目的地」 46:37~

「怪談」の元ネタとなったのは、恐らくゾゾゾのタクシーを待たせたまま戻ってこない乗客の話かと思われます。シンプルですが、これはこれで怖くて物悲しい。Qではこのタクシー運転手、乗客、肝試し自体がそもそも信頼出来るのかといった方向へ発展させています。

◆ ゾゾゾ 「取り残された廃屋」


心霊スポットでの“”先客“”との遭遇はゾゾゾのこの回や「首狩神社」を思い出します。
こちらが訪れた時に何故都合よくいるのか、ということに関して「廃屋」では前フリが効いてると思いました。
「怪談」では劇中映像だけでなく、信頼できない語り手も含めて、真偽不明の沼に引っ張りこんで様々な可能性を残しています。

この辺りの映像や場所をめぐる不確かさは「フィルムインフェルノ」や「境界カメラ」の要素も感じられます。

更に、同じ心霊スポットへ行くという行為を“”反復“”と考えれば、「マインドシーカー」で何度も繰り返されるテストを連想したりも。



◆禍話 「アイスの森」


怪談ラジオ「禍話」のアイスの森という話。“”アイスの森“”と呼ばれる森に肝試しに行くと、地面にアイスの棒が何本も刺さっていて、よく見るとそこには…。
霊障に対して身構えてるところにヒトコワの可能性がヌルッと出てくる怪異。

参照動画は元の話から結構アレンジされていますが、映像化した作品とのことです。



◆世にも奇妙な物語 「扉の先」  

ある死刑囚が他の収監者を怖がらせるために、執行場についての作り話をする。嘘から始まる、正に「不思議なことなんて起こるわけないんです」という話。

S2 Live  ニ篷ッ、ホタクヌロソョ1 +2 (トロイの木馬)


◆『プロでやってる映画監督がスマホだけで撮るホラー映像』


アルコ&ピースのメガホン二郎という番組の企画でQ製作者の寺内さんがスマホで撮った作品です。

とある建物の調査?の記録。ある程度事情を知っている人達が残した映像らしいが、詳しいことは不明というところが今回のライブ配信と通じるかも。

呼び掛けに全く答えない男性の後ろ姿が風呂場の呪文男性と似たものを感じます。


◆『近畿地方のある場所について』 背筋  ※ネタバレ

Q絡みで名前があがることも多い怪談小説。

宗教団体の潜入取材や子供絡みの呪いのシール、信頼できない語り手など、Qとどこか通じるものがあります。


◆ 『冷凍メロンの怪談』大島清昭

『影踏亭の怪談』収録の短編小説。冷凍メロンが落ちてきて人が死ぬ(!)という都市伝説から始まるオカルトミステリー。

事の発端はある占い師が所有する“”コウベノカミサマ“”と呼ばれている箱で、どうやら占いと関係があるらしいという話。

家族の失踪、犠牲者、箱、神事などQを思わせます。


◆『夏をゆく人々』アリーチェ・ロルヴァケル

個人的に2回目のライブは見れていないのですが、同時視聴していた配信者の方が面白い考察(願望?)をしていました。

それは1回目と2回目の間でかなり時間が経過していて、だから廃墟になっていたのではというものでした。

ライブ配信なのでその方法はどうかなと思いますが、面白いアイデアです。


この短いスパンで時間が飛ぶという考察が『夏をゆく人々』を思い出させます。

『夏をゆく人々』は家を舞台にシームレスにマジックリアリズム的に時が経ち、語りの立ち位置が揺らぐような作品です。


S2Q6 隠しリンク

隠しリンクについて話すポッドキャストを聴きながら、スタッフが操作するPC画面だけが映される。語りと操作のタイミングが一致しているので、配信者が画面を操作してるように見えてくる。声と動きの主は別人のはずなのに同期している気持ち悪さ。

ここにもうひとつ面白い点が。配信者は隠しリンクの件を持ち出した友人のことも織り交ぜながら、「~したんだって」という言い方で話しています。不思議なことに、まるでこの話の出処である配信者の友人が画面を操作してるような、いわば回想シーンのような錯覚を覚えます。


そこで、語りと錯覚で思い出したのが『偶然と想像』の3話目「もう一度」

『偶然と想像』濱口竜介   ※ネタバレ


同窓会のために故郷に帰った女性。会いたかった同級生の女性に街中で会う。意気投合して昔話などするが、実はお互いにそれぞれ人違いだった。せっかくなので、現地で会った女性が同級生のフリをして再会をやり直そうということに。

この作品には回想シーンがなく、話を裏付ける第三者もいない。観客にとっては同級生のフリをしている女性が人違いだという確証がない。カメラ目線で同級生の演技をされると本当はこの人、本人なんじゃないかと錯覚する。思い出の中から本人が浮き上がって来たような驚きがあります。


◆ 『競売ナンバー49の叫び』トマス・ピンチョン

迷宮的な小説。行く先々で起こる奇妙な出来事と待ち受けるように現れる、歴史の裏で暗躍した秘密結社のマーク。陰謀なのか妄想なのか。主人公は徐々に取り憑かれていく。


S2Q7 テイク100


御百度参りのように100テイク重ねることが何らかの手続きとしてあって、そしてそれを記録することを目的としていると考えるなら、S1の『来訪』やQ関連で言えば『心霊マスターテープ(1)』を連想します。

それらと『テイク100』が異なる点は、現場レベルでは特に何も起きていないか、もしくは変化を認知する人物が出てこないということ。記録媒体の劣化、加工が憶測を呼び込みます。

何の変哲もない素材に編集をちょい足しすることで、考察の余地を生み出してしまうのは緊Q特版『ラスト・カウントダウン』の「雑踏」にも通じます。


◆『ディケイシャ』ビル・モリソン

媒体の変質自体を作品に取り込んでいる例。劣化した無声映画フィルムをコラージュした作品。この世ならざる雰囲気を醸し出しています。


◆William Basinski 『Disintegration Loops』

音楽ですが、そのプロセスには共通するものがあります。テープ音源をCD化する際、修復不可能な程のテープの劣化を逆に活かし、反復の中で徐々に崩壊していくアンビエントミュージックに仕上げた作品。


物語、構造の面で見ると連想するのはコチラ

◆『女神の継承』バンジョン・ピサンタナクーン

女神を継承する儀式までの数日間をカウントダウン方式で描く。反復ではないが区切りを設けていて、徐々に原因不明の変化が起こり始めるところ、招いたものが理解を超える、手に負えないものであるところなど共通点があります。


◆『女優霊』中田秀夫

残された未現像のフィルムを見たことで、同じ撮影所での映画制作中に怪異に見舞われ始める。繰り返されるアクション(縦移動)、反復の怪異。


◆『非在の視線と不在の視線』(闇動画7)

マンションの一室で配達の様子をなぜか毎回ビデオカメラで記録しているという話。住人は姿を見せず、声だけがする。この設定だと普通はぽつんと置かれたカメラが映りそうなものだが、この話では部屋からの視点、ドアを開けて入ってくる配達員を映した映像だけで成り立っている。そして反復の中で徐々に変化が起こり始める。視線の主は一体誰なのか(存在するのか)、目的は何なのか、考え出すと薄気味悪い。


◆『ロクス・ソルス』レーモン・ルーセル

死体を蘇生させて、生前の印象的な場面を繰り返し演じさせる装置が出てくる小説。『テイク100』のもうこの世にいないであろう人(という設定)が同じテイクを繰り返す様子から連想。


S2Q8 MOTHER


書籍版の方は未読なのでわかりませんが、その他にはやはりどうしても、失踪、怪文書や謎の電話など、「カアイソウ」でお馴染み某有名未解決事件を連想します。

それ以外に映像作品で類似点があるのは例えばコチラ

◆ 『メメント』クリストファー・ノーラン

10分しか記憶が保てない男が、過去の自分が残したメモや写真、そして友人の助けを借りながら妻殺しの犯人を捜し出そうとする。

自分が残した手掛かりとはいえ、長期記憶がないため、それが信用出来る物とは限らない。
「MOTHER」で次々に送られてくる出処不明の郵便物と共通点があります。さらに考察の中で生きていくということも、どこか通じるものがあります。

突然の失踪を扱っていて、犯人から何らかのヒントが仄めかされる、そしてオチに出てくる物という点を見ると、『バニシング 消失』も連想されます。


S1では陰謀的な憶測を呼ぶ作りを複数話かけてやっていた感じがありますが、S2では1話の中にメディアとしての危うさを閉じ込めてる印象を受けます。
さらに「マインドシーカー」以降の作品は反復の中から怪異という差異が生まれる構造を持っていて興味深いです。


シーズン1 オマージュ・連想作品リスト


ご覧いただきありがとうございました🙌
他に何か思いついたオマージュ作品などあれば、お気軽にコメントどうぞ



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