ayumi hamasaki 25th Anniversary Live PART1

※LIVEレポートのため、ネタバレを含みます。
 全部でPART1~5までの5部構成です。
 他のPARTはこちらからどうぞ。


00. Opening

「夢の世界へようこそ」
3年ぶりのLIVE
11年ぶりの代々木
なんだか久しく
ayuのこのopening voiceを聞いていなかった気がする。

TAだけでぎっしり埋まったピンクの海の中。
シルバーの衣装を
纏ったダンサーズが駆け巡り、
四方からセンターステージへと集まっていく。
その手にはAマークを掲げた赤い旗。


いよいよ始まる。
リアルなLIVEは4年ぶりだけど
なんだかもう何年もayuに逢っていなかった感じがする。
コロナ禍とはいえ、変わらずずっと
ayuを観て、聴いて、感じて来た。
それなのに、もっともっと長い時間の流れを感じた。

ああ、そうか。
25周年だもんな。
正直会場に入ってからも、実感が湧かなかった。
25年の月日を改めて振り返っても、
全く実感がないまま当日を迎えていた。

私がayuに出逢ってから23年。
あの時の
出逢った頃の10歳の私は
今でもすぐ隣にいて
「ayuがね」って話しかけてくるような

実家の部屋のドアを開けたら
そこでMDコンポにかじり付いているような
そんな感覚だけがずっとあったから。


メインステージと後方サブステージとを繋ぐ長い花道。
赤い旗が一列に並ぶ。
ビートが刻まれ始める。
共鳴するようにピンクの海が波打つ。

そう、今宵、ここ聖地で、
“僕らだけの城”を築き上げるんだ、と。
各々の旗が高らかに頭上へと掲げられたその時・・・


01. We are the QUEENS

センターステージを囲んでいた円形パネルが
上方へ上がっていく。
会場中の視線がそこへ注がれる。

イントロが流れると共に
そこには
ゴールドとブラックのマントをなびかせて
QUEENが君臨していた。

25年もの間、一度たりとも
ステージに背を向けなかった
唯一無二の存在。
その佇まいが全てを物語っていた。


「戦いはそう君へのメッセージ」

「ひとりじゃないと知った 絆があると知った」

「倒れたなら強く立ち上がればいい
 壊れたならま創り直せばいい
 ダメだったならまたやり直せばいい」


何度倒れようと
ボロボロに傷つこうと
時に命を削って創ったものを
自らの手で壊しながら
それでも
愛すべき者達のため
守るべき場所のため
戦い抜いてきた

一発目をかき鳴らしたWe are the QUEENSは
浜崎あゆみの生き様そのものだった。


金と黒を纏って
強く強くそこに
立つ背中を見て

ああ
この背中を
ずっとずっと
追いかけてきた人生だったなって

愛も夢も希望も
闇も絶望も孤独も
その全てを
その背に背負って

それでも進み続ける
彼女を
追いかけ続けてきた人生だったなって

走馬灯のように
駆け巡る記憶達が
もう言葉なしに
私の頬を濡らしていた

会場のボルテージを上げながら
花道を後方サブステージへと向かう。
ayuが声を張り上げるたびに
代々木が大きく脈打って
この日を盛大に盛り上げて
お祝いしようとする
気持ちで溢れていた。



02. Mirrorcle World

暗転したステージ。
2曲目のリズムが刻まれ始める。

「現在のこんな未来を僕は望んでいたのだろうか?
 現在のこんな未来を君は望んでいたのだろうか?」

15年前に書いた歌詞が
鋭く響く。

「始まりなのかって?
 終焉なのかって?
 諦めたのかって?
 踏ん張ってんのかって?
 開き直ったかって?
 絶望したかって?」

それは
ayuから浜崎あゆみへと
濱崎歩から浜崎あゆみへと
突きつけられる問い


全て経験して来たんだろう
あらゆる始まりと終わり
諦めたものと
諦められなかったもの
踏ん張っても
開き直っても
絶望は否応なしにやって来る。

だとしても
それでも

「ただ前に進めと
 あなたが言うんじゃない」


浜崎あゆみに対して
誰よりも
辛辣で
何よりも
核心を突く
言葉を突きつけて来たのは
彼女自身だ。

10周年の時に
作られたこの曲。
当時を振り返って
あの頃は
10周年を祝うということよりも
そうやって
ただひたすら
もっと進め、止まるなって
その気持ちの方が強かった。
前に進むしかなかった。
そんなことを
ayuが話していたことがある。


「あなたが言うんじゃない」と
まっすぐに前を指差す
その先は・・・

ayuから見た浜崎あゆみ
浜崎あゆみから見たayu

そう、ここは
Mirrorcle World
鏡の世界


25周年を迎えた今。
TAに囲まれて
同じ言葉を歌う彼女は
なんだかもっと
大きくてしなやかで
抱えていた葛藤が
昇華されていくような
清々しい強さを
たずさえていた。

鏡の中の
その存在を
凌駕したんじゃないかって
思うほどに
強く輝いていた。

彼女の名を呼ぶ声が響く。
こんな声を聞けたのももういつぶりだろう。

泣いてる場合なんかじゃない。

今日というこの日を
胸に刻むため
私はここに来た。

彼女が創る夢の世界を
完成させる
最高のラストピースになる。

そう誓った。



03. Prologue 〜 starting over 〜 Catcher in The Light

久しぶりのバンド演奏。
カウントダウンライブと同じA Stringsの面々。
そしてayuの歌声に華を添える、コーラス。

特別音楽に詳しいわけではないけど
ここまでのあらゆる音を
奏でながらも
一つの音楽として
一つの空間として
成り立たせている
その完成度と
それらを繋いでいる深い愛みたいなものは
浜崎あゆみがエンターテイメントに
向き合い続けてきた
何よりの証なんだと思う。

数々のメンバーを迎え入れて
卒業していった人も多くいる。
もう二度と会えないところへと
旅立ってしまった人も。。

ただ
浜崎あゆみを
浜崎あゆみたらしめる
彼女の声と言葉の持つ強さを
より鮮明に届ける
そのために
集約された
プロ集団が奏でる音は

25年間
途切れることなく
受け継がれてきた賜物。


普段なら
さらっと聴いてしまうパートも
彼女を支える
全てのメンバーにも
歴史があることを
ひしひしと感じた

優しいStringsの音から
力強いバンドサウンド
そしてコーラスの方々の
凛々しい伸びのある声

彼女が
ショーにこだわって
創り続けてきた音が
25年の時を経て
何重にも重なって
代々木を埋めるTAたちを
包み込んでいた。


04. GAME

大画面には
過去アリーナツアーでのスクリーン映像
最後のシーンは2005年
MY STORYツアーでの
GAMEのイントロ

「ほら少しずつ
 あなたの残した温もりが溶けだして
 全部消えたら
 こんな体は何の意味をもつかな」

白にシルバーのフリンジが光るミニドレス
腰にはボリュームのあるファーと
白のロングブーツ
同じくシルバーのヘッドドレス

煌びやかで美しくて聡明で
そしてどこか悲しい
ショーガール浜崎あゆみのお出まし
2005年の完全なセルフオマージュ

「明日の今頃にはうまく笑える
 そうまるで何事もなかったかのように」


浜崎あゆみは
当時からもずっと
夢見がちな
おとぎ話の中の
お姫様なんかじゃない

ただ存在するだけで
羨望も賞賛も
嫉妬も反感も
責任や重圧も
その全てを生んでしまう
それらを背負っても尚
華やかな世界を魅せる
孤独なクイーンだ

その痛みが
垣間見えるからこそ
このショー空間が
より際立って私たちを魅了する


「言って
 きっと痛みだなんて
 幻想だって」


オンラインLIVEも
それはそれでよかったのだけど
やっぱり
リアルなLIVEは
全然違う

彼女の歌声が
歌詞が
言葉が
その瞳が
ダイレクトに訴えかけてくる

アリーナにいようと
スタンド席であろうと
もはやステージ上であろうと
関係ない
代々木を震わす彼女の歌声が
私たちを一つに染め上げていく



いつも思う
数万人のファンが目の前にいたとしても
いつでも
彼女は1対1で対峙している
1対数万人なんかじゃない
1対1が数万個同時に存在している

それが浜崎あゆみのLIVEであり
彼女の生きる場所


ここに集まったTAそれぞれがきっと
ayuと共に刻んできた思い出を胸に
ayuと共に歩んでいきたい未来を描いている

その空気は
リアルだからこそ伝わる



05.my name's WOMEN

センターステージが
ピンクのライトに照らされる
QUEENといえばのこの曲
my name's WOMEN

ともすれば
女性をお飾りとでも勘違いしてそうな
世の中の視線に対して
警鐘を鳴らす一曲

ムチを持ったパフォーマンスは定番
よく見ると
オマージュがもう一人
ダンサーのヒカルだ
ayuと瓜二つの衣装での
パフォーマンス
いや、オマージュじゃない
これはヒカルそのもの
ダンサーズの中でも
異彩を放つヒカル
そのパフォーマンス力が
さらにこの曲の
メッセージ性を強める

「時代はほら こんなにも移り変わり
 それなのに 涙が武器だなんてねえいつの話」

「私達 着飾っただけの人形なんかじゃないから」

「都合よく存在してる訳じゃない事を忘れないで」


このクイーンスタイルが確立されてから
もう何年経ったんだろう

芸能界や音楽業界
彼女が身を置いてきた世界は
女性ソロアーティストとして
一人脚光を浴びる彼女にとって
決して生きやすい場所ではなかったはず
ただでさえ
良くも悪くも目立つ彼女が
どれほどの非難や批判を聞かされてきたのか
外部の何も知らずに騒ぐ人たちだけじゃない
時には内部の信頼できるはずの存在だってそう


それでも
彼女は
大事な人と
必死に創り上げた
浜崎あゆみを
守って行くため
逃げなかった

「わかったような顔して 全て支配したつもり?
 私達夢ばかり見てる人形なんかじゃないってば
 満足そうな顔して 上手く誤魔化したつもり?
 そんなにも単純な生き物じゃないって事を覚えていて」

そんな葛藤も
ショーへ昇華してしまう
それが浜崎あゆみというアーティスト


ヒカルをここに起用したことに
どれほどの意図があったのかはわからない
ただ
性別に囚われない存在を描くことで
何を主張し
何を願い
何を好んで生きようが
私達の勝手でしょと
言わんばかりの
パフォーマンスだった


持っていたムチは
しなやかに宙を舞いながら
ボリュームのあるファーがその後を追う
ayuが踊るたびに
シルバーのミニドレスが光を反射させる

それは
アグレッシブで直接的な歌詞に表される
奥底の攻撃的な部分を
見事にカモフラージュしながら
よりしたたかで、冷静で
隙のない余裕のあるパフォーマンスへと導く

浜崎あゆみというアーティストを
女性の持つ強さで表現した
完璧なパフォーマンスだった


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