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最初に考えた a little dough の意味

▽チャップリンの映画、ライムライトに出てくる言葉。
”Yes, life can be wonderful, if you're not afraid of it.
All it needs is courage, imagination, and a little dough”
そう、人生はすばらしい。恐れてはいけない。必要なものは、勇気と想像力、そして少しばかりのお金。
この言葉の力点は前半にあって、後半では忘れてはいけないことを付け足しています。(未来を)恐れることなく、勇気と希望(想像力)を持って人生にチャレンジしよう、そうそう少しはお金も必要だけど...といった感じで。

▽それでも私が気になるのは、何故お金にだけ、”a little”とつけたのか、ということです。多分(たくさんの)勇気と(たくさんの)想像力に対し、(たくさん)のお金ではなく(少しばかりの)お金、なわけです。

▽どうも、お金はやみくもにたくさん持ってはいけない、というチャップリンの教訓めいたものを感じてしまいます。チャップリンにとってお金は、
"a little"こそが理想的だったのかもしれません。お金は必要だけど、少しでいい。少し、とはいったいどれくらいか?これは想像ですが、タブン生きていくのに最低限必要なお金。つまり雨風が凌げて、空腹を満たせる程度のお金、かなと思ったりします。

▽ライムライトの主人公は、もういい年の老人です。それでも、"a little dough"と言っています。彼は、ダンサーを目指し挫折した20代の女性に、『人生』を語っています。その文脈では、"a little"以上のお金は必要ないのかもしれません。余分な貯えは、安住と心の迷いを生み、挑戦する強い気持ちの妨げになる可能性があります。勇気を持って人生に挑戦する人間にとって、貯えは不要。だから”a little dough"。

▽一方で私たちの多くは、”a little"ではどうかな、と思ってしまいます。少なくとも、「雨風を凌げて空腹を満たせれば」それで充分、とは思っていないでしょう。それでは、ちょっと『不安』です。現代の私たちの生活パターンは、月決め月払いというのが主流です。給料でも家賃でも、多くは月払い。とすれば、毎月の「雨風を凌げて、空腹を満たせれば」となり、やがて1年分もあれば安心かな、となっていきます。そして仮に将来に渡って継続的にお金を得ることができるのなら、それはとても魅力的なことだと思えてきます。これによって、少なくとも衣食住についての不安が軽減され、その結果他のやるべきことに集中できる、と思えるからです。

▽ぎりぎりのところで頑張るからいいのか、貯えを持ち生活の心配をせずに集中できるのがいいのか、答えは人によって違うかもしれません。ただ、継続的にお金を得ようとすると、多くの場合、より大きな代償を払う必要がでてきます。その代償が必要以上に大きくなれば、やがて自分の人生にチャレンジする「勇気と想像力」をスポイルすることにつながるのも事実でしょう。

▽何故お金にだけ、”a little”とつけたのか?
人間は目先の不安解消に一所懸命になる傾向があります。やがて、それ自体が目的化してしまうことすらあります。お金はその最たるものなのかもしれません。そして、人生において最も重要な『充実した時間』さえ、知らぬ間に犠牲にしてしまう可能性があります。
生活できる「お金」があるのなら、それで十分。持っているエネルギーは「勇気と想像力」に注ぎ、充実した人生を送るべきだと...

いってるのかな。

 

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