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第1章 自分をどこまで信用する?~認知エラーについて

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「A Little Dough」はこれから社会人になる人、あるいはこれからのライフデザインを考えている人達の参考になるような「パーソナル・ファイナンスの考え方」について記載してい…
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#カーネマン

🅂1 自分をどこまで信用する?

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂1 ▽錯視というのがあります。下の図はミュラー・リヤーの錯視としてよく出てくるものです。私には上段の線が長く、下段が短く見えます。横線の長さは同じですが、両端についている短い斜線の効果で私のような錯覚に陥るというものです。 ノーベル経済学賞を受賞した認知心理学者で「ファスト&スロー」の著者であるダニエル・カーネマンは、この錯覚に逆らうために私たちにできることはたった一つしかない、といっています。 「羽根

🅂21 「もう一人の自分」を知る

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂21 ▽この章では行動経済学によって明らかにされてきた数々の例を参考にしながら、私たちの日常的な認知エラーについて考えてきました。ここで、🅂12で記載した内容の一部を再掲したいと思います。システム1やシステム2の働きと認知エラーについてもう一度確認し、その対処方法を考えていくためです。 (1)私たちは日常的に意思決定を行いますが、即決できるものは別にして、何らかの課題について思考を始めると、まず①情報収

🅂15 一度手にしたら離したくない!

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂15 ▽平成の初め頃、ベイエリアにあったイトキンやオンワードなどのアパレル会社の社員家族販売会。私が家族でない訳ですから想像はできましたが、いってみるととても社員の家族といった規模感ではなく、大変な混雑でした。僕は土地勘があったので車で行きましたが、田町の駅辺りからマイクロバスでピストン輸送しているらしく、何時も長蛇の列だったのを覚えています。 ▽やっとの思いで中に入ると、「さぁ、買ってくれ!」といわん

🅂13 おいしいビールは一杯目だけ⁉

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂13 ▽東京はこのところ6月とは思えない猛暑続きで、家で仕事をしていても夕方になるとキリっと冷えた生ビールが恋しくなってしまいます。ところでこのビールですが、1杯目は思わず「うまっ!」と声に出してしまうほどですが、2杯目、3杯目とおいしさが半減していくような気がします。私はビール好きですが、最近は身体のことを考慮して普通は350ml缶1本にしています。美味しいビールを出してくれるお店でも、せいぜい2杯です

🅂12 少しだけまとめてみると...。

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂12 ▽セクション2~3のサンクコストのあと、セクション4からセクション11まではヒューリスティックについて記載しましたが、やや長くなりましたので少しまとめてみます。内容は以下の通りです(それぞれのセクションのタイトル名とは違います)。 ▽セクション4では、システム1・2の役割とどのようにヒューリスティック(置き換え処理)を行うのかを記載し、結果のいい加減さにも触れています。セクション5では、まずエキス

🅂11 好き嫌いで決めます!!

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂11 ▽私は人事企画の仕事を何年か担当しましたが、採用グループの仕事は隣で見ていてもなかなか大変だったように思います。面接を受ける学生側からすると、面接官は高圧的だったり好き勝手なことを言ってるように見えるのかもしれませんが、実際は大きなプレッシャーで頭を抱えています。1名の採用につき3億円近い人件費投資、100名で300億円です。彼らが働く40年間、しっかり利益を出してくれる人材を採用しないと、会社は傾

🅂10 思い込んだら後には引けない…。

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂10 ▽確証ヒューリスティックとは、私たちが直感で「正しそうな答え」を思いついたときに、これに頑なに拘ってしまうものです。アンカーがめったにない閃きとともに降りた来たために、ついつい跳びついてしまうということなのでしょうか? ▽確証バイアスをWeblio辞書(デジタル大辞泉)で引くと「自分の願望や信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反証する情報を軽視・排除する心的傾向」とあります。私はこの言葉を意味

🅂8 暗示にかけないで...(アンカリング)

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂8 ▽その昔「ピザって10回言って」という前振りの後に、肘を指して「これなーぁに?」というクイズがありました。私はヒューリスティクス依存症なので、迷わず「膝」と答えたものです。ほかにも「シャンデリアを10回言って」の後に、「毒リンゴを食べたのは?」と訊かれて「シンデレラ」と答えたり、この手のクイズにはなすすべもなく引っ掛かっていました。誰だって10回も繰り返せば、呪文を唱えたようなものです。呪文は心に引っ