マガジンのカバー画像

第1章 自分をどこまで信用する?~認知エラーについて

22
「A Little Dough」はこれから社会人になる人、あるいはこれからのライフデザインを考えている人達の参考になるような「パーソナル・ファイナンスの考え方」について記載してい…
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

🅂21 「もう一人の自分」を知る

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂21 ▽この章では行動経済学によって明らかにされてきた数々の例を参考にしながら、私たちの日常的な認知エラーについて考えてきました。ここで、🅂12で記載した内容の一部を再掲したいと思います。システム1やシステム2の働きと認知エラーについてもう一度確認し、その対処方法を考えていくためです。 (1)私たちは日常的に意思決定を行いますが、即決できるものは別にして、何らかの課題について思考を始めると、まず①情報収

🅂20 ジコチュウか思いやりか

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂20 ▽再び筒井義郎氏に登場いただきます。※本セクションは筒井義郎氏と山根承子氏がおよそ10年前に書かれた「図解雑学行動経済学(株式会社ナツメ社)」の「第3章利他性」の内容をベースにしています。  ▽この本の筒井義郎氏は、ユーモアたっぷりに書かれていて楽しい文章なのですが、ややホモ・エコノミクス(合理的経済人)のようになっています。実際私たちは、何もかも自分本位に考える「利己性」と他人のことを考える「利

🅂19 夏休みの宿題と異次点間選択(3)

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂19 ▽前回までのお浚いを少し。 🅂17では異時点間選択において夏休みの宿題を例に、「後回ししたり前もって計画的に進めたり」という異時点間選択を決めているのは何かということを検討しました。その結果「時間割引率」の高低(個人差)や双曲性(個人の割引率の変化)が大きく影響していることが確認できました。 🅂18では、こうした当初の判断が時間の経過によって、どういう影響を受けるかという視点を加えました。結論として

🅂18 夏休みの宿題と異次点間選択(2)

「A little dough」 第1章 自分をどこまで信用する? 🅂18 ▽前回は「宿題を後回しにする」という選択をする方は、「指数割引で割引率の高い人」か「双曲割引のひと」の可能性があることを記載しました。とはいうものの、私自身は「双曲割引」(後回し傾向が強い)であるにも関わらず、予め計画をたてて宿題を事前に済まそうとするタイプでした。ではなぜそうした判断をしていたのでしょうか、その辺りの原因をもう少し考えてみます。前回はあくまで「夏休み当初の決定」に絞り込んだ検討をし