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利用者さん連れて嚥下外来に行ってみた

地元の大きな病院に嚥下外来があると聞き、私が担当する利用者で、とろみをもの凄い拒否する人がいるため、早速予約して行ってみた。

自動受付で受付票を発券すると、まずは採血をとのことで利用者を連れて採血室へ。
受付の人に、採血の前に血圧を測ってきてと言われ、利用者は車椅子だったため普通の機械で測れず、反対側にある部屋で看護師に測ってもらうことに。

終わった後「はい、良いですよ〜」と手書きの紙を渡され、看護師がその場から離れようとするが、利用者の腕には血圧測定器の腕帯が巻きついたまま。
慌てて「これ…」と指差すと「あらやだすみませんねえ」と外してくれた。自分で外すタイプかと思った。

その後、さっきの部室に戻り、採血へ。
針を準備する過程で看護師のおばちゃんの手元が狂い、なぜかおばちゃん自身の手の甲に針がぶっ刺さり、おばちゃん流血。

あらやだと言いながら、テープで簡易止血しながら、利用者の採血に再度挑むおばちゃん。
私は、テープから滲む鮮血を見て痛そうだなあと思いながら、採血を見守った。今度は無事に成功した。
しばらくバンドで止血している間に、おばちゃんの手もちゃんと洗って止血していた。

次にレントゲン検査室へ向かう。
車椅子のままでも撮れるようで、私は廊下で待っていた。5分程で終わって、次は歯科口腔外科へ向かった。

20分ほど待った後、中へ呼ばれる。
始めに、栄養士から普段の様子などいろいろ聞き取りをされた。身長や体重、握力測定もしたかったようだが、車椅子の利用者は出来ず。手も拘縮して測定器を掴めず断念。身長と体重は過去のものを伝えた。

その後に、歯科衛生士と歯科医師から以下のような検査を受けた。
・口腔内の水分測定
・丸い部分が付いた棒を舌で押し返す検査
・衛生士が喉に手を押し当て、時間内に何回飲み込みが出来るか
・口腔内の歯の状態
その内、指示が入らず検査がしっかり出来ないのが何個かあったが仕方がないのでそのまま次の検査へ。

最後は、耳鼻科で鼻からカメラを咽頭まで入れて、その状態のまま色付きの水を飲んで嚥下状態を観察する検査だった。

案の定、拒否して暴れる利用者。4人がかりで押さえつけながら、カメラを入れ水やゼリーを飲んでもらうが断固拒否。
結局、医師がすぐに「残念です」と匙を投げ一番肝心な検査が出来ずに終わった。

がっかりしながら、別室に移り最終評価を聞く。
結果として、肺も綺麗で歯も揃っており、咽頭も綺麗で嚥下機能は問題なさそうなため、とろみなしでも良いんじゃないかとのことだった。
「やったー!」と内心大喜びする私の横で真顔の利用者。早く帰りたい様子だった。

全て終えて2時間。長かった。
普段ならこんな長い検査は我慢出来ない利用者も、今回ばかりはとても頑張ってくれて本当にありがたかった。
だがしかし。
会計になった時に急に不調モードに。
「車椅子が揺れるううう!」と大声出して暴れ始めた。
まあ、後は会計だけなので先に車に乗ってもらい、私だけで会計へ。いろんな検査したのに2600円で済んだ。福祉医療制度は安くて素晴らしい。

なんだかんだ無事に通院終了。
最後に利用者に感想を聞くと、楽しかったとのこと。

施設に帰って看護師に報告し、話し合いの結果、とろみなしに変更することに成功。
努力が報われた瞬間だった。

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