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企業はデザインをどの領域に取り入れるべきか

こんにちは。UXデザインカンパニーのアジケで経営に携わる神田です。

本来ならば、今ごろはオリンピック開催中で日本中がワイワイしていたはずでしたが、そんなことはもはや皆の脳裏になく、オリンピックを楽しみにしていた私は一抹の寂しさを感じております。

さて、私はデザイン業界に十数年身を置いていますが、10年前と今では「求められるデザインの役割」や、ビジネスプレイヤーのデザインへの理解が様変わりしていると感じています。
(私自身が普段会話する人や見方が変わっただけかもしれませんが・・)

今回は、経済産業省がまとめている「デザイン政策ハンドブック2020」から、デザインの仕事や業界を理解するためのトピックを解説します。(記事内で使用している画像はデザイン政策ハンドブック2020からの抜粋です)

デザインの重要性は感じている。でも、デザイン会社やデザイナーに何を求めれば良いのか、よく分からない。
そんな方のヒントになればと思います。

ちなみに、この「デザイン政策ハンドブック2020」は200ページに及ぶ大ボリュームレポートですが、私が紹介するのは第一章に全て掲載されています。

第一章:デザイン政策の概要
第二章:国のデザイン政策
第三章:地域のデザイン政策
第四章:諸外国・地域のデザイン政策
第五章:その他

非常に勉強になるレポートでした。それでは、私が重要だと感じたポイントを解説します

あなたの会社が必要としている「デザイン」の領域は?

上司から「デザインが重要」「デザインを取り入れよう」「デザイン会社を探して」と指示が上がってもすぐに問い合わせフォームからアタックするのは得策ではありません。ググって出てきたデザイン会社が得意としている領域や、上司が想像しているデザイン像は異なっている可能性が高いのです。

パッと思いつく「デザイン」関連の単語を並べてみます。

- グラフィックデザイン
- プロダクトデザイン
- UIデザイン
- 空間デザイン
- UXデザイン
- コミュニケーションデザイン
- サービスデザイン
- 組織デザイン
- デザイン経営
- Chief Design Officer = CDO

「デザイン」の定義が複雑になってきている原因は、領域の曖昧さにあります。
一般的にデザインと言えば、グラフックデザインやwebデザインなど具体的かつ、目に見える最終成果物を示していました。
しかし、近年では対象領域が広がり、複雑で目に見えない部分を指し示す広義の意味合いも含むようになりました。

それを図示してくれています。

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「コミュニケーションデザイン」や「デザイン経営」などが対象としている領域は、とても複雑です。

ニーズの例としては、

- ブランドやサービスとお客さまの関係構築をデザインで解決したい
- サービスを作るときの設計・開発プロセスにデザインを取り入れたい
- 組織にデザインの文化を取り入れたい
- ユーザーがもつ課題から事業ニーズを探りたい
などです。

解決したい課題の設定によって、解決方法やパートナーの選定基準、コスト、期間が変化するため、「解決すべき課題はなんなのか」を明確にしましょう。

デザイン活用度を軸として、自社をプロットしてみる

次に紹介するのはDesign Ladder Modelです。
会社が「デザインの力を重視している、重視したい」といっても、デザインの活用度には「段階がある」ということを説明してくれています。

あなたの組織や顧客が、どの段階にいるのかをプロットしてみても面白いかもしれません。

Ladderとは、日本語で「はしご」の意味です。はしごを順番に登り、企業におけるデザインへの取り組みを高めていくイメージだと思います。
一足飛びにstep4を狙っても、うまく作用することは稀でしょう。

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(右端の縦線が消えているのが気になる・・)

step1 NON-DESIGN
デザインを活用していない段階

step2 DESIGN AS FORM-GIVING
新たなプロダクトやサービスの、最終段階にデザインを活用している段階

step3  DESIGN AS A PROCESS
新たなプロダクトやサービスの、開発プロセスにデザインを活用している段階

step4 DESIGN AS STRATEGY
ビジネスの戦略を担う要素としてデザインを活用している段階

stepが上がるほど、難易度が高くなります。
あなたの会社はどこに位置していましたか?

目に見えない領域に取り組むデザインの効果は?

デザインが直面しやすい課題の一つに、費用対効果が挙げられます。
広告バナーの費用対効果を測りたければ、Google Analyticsさんにお任せしておけば、嫌というほど数値を表してくれます。
しかし、デザインの領域が抽象的になるほど、目に見える効果を示すことは困難になります。

ハンドブックでは、「デザイン導入の効果想定等に関する調査研究」を紹介してくれています。

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また、デザインに力を入れている企業(DVI)の株価の変遷も紹介しています。

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デザインに力を入れている企業の株価は、S&P500の株価よりも約2.1倍増大しているそうです。
このDVIに含まれる企業はこちら。

- アップル
- コカコーラ
- IBM
- スターバックス
- NIKE
などです。

うーん、企業名が凄すぎてリアリティが・・。
デザインの効果を示す材料としては、ちょっと強敵すぎるので参考程度に留めておいた方が良いかもしれません。

見えない、複雑な課題にチャレンジ中

いかがでしたでしょうか。
ビジネスシーンで、デザインの力を信じている人が多くなっていると感じます。
それぞれの人が、一ユーザーとして良い体験をして、心惹かれる会社が「デザインを蔑ろにしていない」ことへの実感が高まってきているからではないでしょうか。

アジケでは、デザインの対象が左から右に、梯子をゆっくりと一段ずつ上がってきています。
同時に、相対する顧客や担当者も変化してきています。
我々は「提供するデザインの領域」が変化し、アジケをパートナーとして選んでくれる会社は「解決したい課題がより複雑に」なっているため、当然のことだと思います。

組織や事業の複雑な課題を解決するために、デザイン会社が選ばれるなんてすごい事ですし、注目度や重要性は、日々増してきています。

デザインの力で会社を成長させたい方の参考になれば幸いです。

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