ABCお笑いグランプリの話

はじめに

 どうも、明石です。

 ABCお笑いグランプリが終わりましたね。

 去年は今ほどお笑いにのめり込んでなかったので、ABCを生で観るのは今年が初めてでした。それに、賞レースにこんなにわくわくしたのも初めてです。一ヶ月前に決勝戦出場者が決まってからずっと今日を心待ちにしていて、自分が出るわけでもないのに不安になったりそわそわしたり、落ち着かない日々を過ごしていました。

 この大会をすごく楽しみにしていた分、終わってしまったことに一抹の寂しさもあるのですが、これが後に控えているキングオブコントやM-1の前哨戦のような感じもするので、夢溢れる賞レースの季節がやっと到来したというようなウキウキ感も心に芽生えつつあります。


 今回は、そんなABCお笑いグランプリを観て思ったことや感じたことを書き留めていきたいと思います。あくまでも自分が自分の記憶を整理するために書くものなので、素人がネタに解釈ぶってんじゃねえよと思う方はここでブラウザバックしてください。


Aブロック

 1. Gパンパンダ

 片方が公認会計士の資格持ってるんだっけな〜ぐらいの知識しかなかったコンビなので、ネタを観るのは初めてでした。

 正直、マジシャンの煽りに対して笑いよりもうざさを感じてしまいました。でも観ている人にうざさを抱かせるほど役を完璧に演じ切るって、コント師としての能力が高いなぁと思います。

 そして、マジシャンに対してうざさを感じたからこそ、お客さん側の反撃?シーンでめちゃくちゃスカッとしました。結局マジシャンに切り返されるけど。

 あと、審査員のコメントでもあったけど、マジックネタでマジシャンがうざいっていうパターンがかなり斬新だったから、切り口が面白かったです。


 2. さすらいラビー

 面白かった!男の子役?の人のキモさが絶妙だったなぁ。女の子役のツッコミも好きでした。漫才のツッコミというよりも役の中で自然にツッコんでる感じがよいです。

 あと、展開に緩急があってハラハラした!序盤は男の子のキモさで押してきてるけど、中盤の月のくだりで安心させて、でも終盤にどんでん返しがあるっている展開が、短編小説を読んでるみたいな見応えを生んでた。くしゃみの伏線がここで回収されるのもスッキリしました。


 3. オズワルド

 来ました大本命!やっぱり芸歴10年ってだけあって、達者だなぁ!

 面白いことはもちろんのこと、伏線回収の仕方とかネタの構成とか、ネタ作りの技術の高さを感じました。T.Oが隣の奥さんのイニシャルなの、フリオチが見事すぎて興奮しました。

 あと、トーンの高まりも見事すぎません?ネタの導入部は静かなんだけど、そこである程度お客さんを笑わせたら伊藤さんのツッコミの声量が少し上がり、釣られて畠中さんのボケの声量も上がり、ネタが一番盛り上がるところで伊藤さんの声が高くなって耳にインパクトを与えるという、4分間の中でクレッシェンドがかかる感じが大好きなんですよねぇ。

 ツッコミの言葉選びも斬新ですよね。そういう例えあったんだ!とか、このボケをこう説明するんだ!とか目から鱗が落ちることが多くて、オズワルドの漫才を聴いているとはっとすることが多いです。

 オズワルドってツッコミ(というか伊藤さん)に注目が集まりがちだけど、畠中さんのボケも唯一無二だなぁって感じました。あののんびりした感じで突飛なことを言うだけでめちゃくちゃ面白くないですか?ボケの突飛さがとても好きです。

 Aブロックの1位は満場一致でオズワルドだったけど、やっぱり面白さだけじゃなくてネタのうまさとか芸達者な感じが他のコンビより頭ひとつ抜けていたから、オズワルドがぶっちぎりの評価をもらったのかなぁと思いました。


 4. さや香

 すごい、鼻くそだけで4分もたせるのすごい。コンビってネタの中で奇人役と常識人役っていう棲み分けがなされているけど、一つのネタの中でその役が入れ替わることってあんまりない気がするんですよね。でもこのネタは終盤で常識人と奇人が入れ替わっていることが面白いなぁと思いました。ネタの王道から少しずれた構成だからこそ、同じテーマであるにもかかわらず聴き手を飽きさせずに4分を走り抜けられたのだと感じました。



Bブロック

 1.パンプキンポテトフライ 

 う〜〜んつかみがよく分からなかった。つかみで掴まれなかったなぁっていう第一印象でした。このコンビの笑いのセンスが自分に刺さらなかった気も少しした。

 でも聴いていくうちにツッコミに引き込まれていました。レゴのツッコミ、めちゃくちゃ面白かった。あとツッコミの人の声質がいいですね。ツッコミの声に特徴があるコンビはそれだけで有利だと思っているので、他の漫才も見てみたいと思いました。


 2.ダブルヒガシ

 ほんのり名前は知っていたけどネタを初めて観たコンビのうちの一組です。

 面白かったし、どんなすごい人が来るのかなっていうドキドキ感はあったけど、ネタとしてのうまさがもう一歩っていう感じがしました。それまでの漫才は構成の妙とかフリオチの鮮やかさが際立っていたから、ただ「面白い」だけだとちょっとインパクトに欠けるのかなぁと思いました。


 3.コットン

 タバコ出てきたところでめちゃくちゃ笑いました。キョウコさんかなり重度のヘビースモーカーじゃん。育ちがいいこととヘビースモーカーのギャップにいい意味で翻弄されまくりました。

 これを考えるのは野暮かもしれないけど、結局男の人はヘビースモーカーのキョウコさんのことをどう感じていたのかが気になって仕方なかったです。そこに少しもやもやが残った。


 4.蛙亭

 Bブロックの本命!めちゃくちゃ面白かったなぁ。自転車撤去っていうかっるいテーマを題材にしてサスペンス感満載の展開をやっているっていうギャップが死ぬほど面白かったです。

 最初に仕事の話を持ち出して、男の人どんな仕事してるの?っていう疑問を抱かせて答えを期待させて、その答えが自転車撤去って分かった時の肩透かしのような感覚がよかったです。観ている人全員もっと重めの仕事を想像してたと思います。

 中盤の岩倉ちゃんの変わりようとか、中野さんのこけ方とか、そういうところで蛙亭の演技力の高さを痛感しました。もっとコント観たいなぁ!

 あと、最初に中野さんが軽めに「うるせ〜〜!」って言ってたのが一種のフリみたいになってたのが面白かったです。中盤で本気の「うるせ〜〜!」が出てきたから、そこもギャップを感じました。

 そしてオチが良かったなぁ!短編小説で言うとラスト一行で展開がガラッと変わる感じ。この展開とかセリフ、めちゃくちゃ鮮やかで良かったです。

 Bブロックだと蛙亭が圧倒的に笑えたし、構成とか展開のうまさに感心することが多かったです。



Cブロック

 1.チェリー大作戦

 ヤクザの親玉がかわいいことして子分の気を引くっている牧歌的な雰囲気が大好きでした。伊坂幸太郎の小説でありそうな設定だなぁって途中まで思ってました。

 でも、終盤で部下の沈黙の理由が分かったところから展開が一気に暗くなって、ダークな小説みたいになる感じに意表を突かれました。起承転結がはっきりしていて、転で一気に話のテイストが変わるのが良かったですねぇ。あと中盤で出てきたオカリナがフリになってて、最後オカリナでオチてるのがすごい好きでした。


 2.赤もみじ

 ツッコミの人がめっちゃ叫ぶんだよなぁっていうことしか知らなかったから、どんな漫才なのか結構気になっていました。すごい面白かったです。

 「田んぼや!」とか「プレゼントモルモット」とか、ツッコミの言葉自体も面白かったけど、やっぱりツッコミの声量とか勢いに圧倒されて笑っていました。淡々とツッコむタイプの人がこの漫才やってもこんなに笑いは起きない気がするから、ツッコミのタイプによって相性のいい漫才ってあるんだなぁっている新しい気づきを得られて興味深かったです。


3.カベポスター

 去年のM-1の敗者復活戦のネタがすごい面白かったから期待値が高かったです。それでも、このネタは敗者復活の時より笑いました。山内さんも言ってたけど、確かに使わないで観られるネタでしたね。より何も考えずに笑える感じが良かったです。

 あとつかみが超面白かった。ここで一気に心を掴まれて、カベポスターのネタで笑う準備ができました。カベポスターの人あるある強そう。

 蛙亭のコントは軽めの主題を超重く扱って笑いが生まれると思ったんですけど、この漫才は軽めのタイトルの話題がどんどん重い話に派生していくことで笑いが生まれてるなぁって感じました。軽いものと重いもののギャップって面白いですね。

 あと、警察に通報するときの言い回しになるほどと思いました。オズワルドもそうだけど、同じことを伝えるのにちょっと捻った言い回しされるのに弱いんですよね私。通報の時も軽い事実を激重い言葉で伝えていたから、重さのギャップに笑いつつ、「こういう言い回しもできるんだ」って知的好奇心を刺激されていました。

 で、何個かのエピソードで軽い話題がどんどん重くなることを印象付けているからこそ、最後の話がただのほっこりエピソードだったっていうところでストンと落とされましたね。重い話が来ると思いきや軽い話で落とするのも、構成が上手いからこそなせる技だろ思いました。


 4.空気階段

 Cブロックの本命ですね。空気階段のネタ死ぬほど好きで結構たくさん観てるんですけど、このネタは最初があまりにもサイコで面食らいました。このサイコなところが響いて、空気階段は最終決戦に行けなかったのかなぁって邪推してしまいました。

 でもネタが進んでいくごとに、サイコなところがどんどん面白さに変わっていくのが空気階段のうまさですよね。かたまりさんのサイコキャラを観る側が受け入れたタイミングで面白いことが起きるから、中盤になるとそのキャラも含めて面白いと感じていました。空気階段すごい。

 あともぐらさんの「癇癪を起こしていいのは150センチの子供までだ」っていうツッコミに笑いました。空気階段って言葉のうまさで笑わせるタイプのコンビじゃないから、不意打ちの面白ワードはより笑ってしまいます。

 最後のソーラン節、めちゃくちゃエキセントリックで良かったですね。本当にこういう意味わからないネタ大好きです。



最終決戦

 オズワルドvs蛙亭vsカベポスターになるとは!ABC始まる前はオズワルド、蛙亭、空気階段の同期対決になるとばかり思っていたから、カベポスターがラストイヤー組の対決に食い込んでくる展開が激アツでした。

 でもやっぱりオズワルド、蛙亭、空気階段の三つ巴は観たいから、いつかこの三組でユニットライブしてほしい。


 1.カベポスター

 2本目コントだ!っていうことにまずびっくりしました。漫才オンリーのコンビだとばかり思っていたから、コントやることに新鮮な驚きを抱きましたね。

 永見さんが最初手品初心者っぽく振る舞ってたのに、実は超能力ばりの手品やるっていうギャップでまず驚いたし笑いました。そして最初の手品で出てきた名前入りのトランプも後々の伏線になっていて、中盤でその伏線が回収されるのがめちゃくちゃ面白かったです。1本目も2本目も面白かったけど、2本目の方が上手いなぁって感じました。

 惜しむべきは最後でしたね。あくまで私個人の意見なんですけど、コントのなかお客さんの存在を意識されるとちょっとコントの世界から引き戻される感じがするんですよ。漫才でお客さんに語りかけるのは演出としてありだけど、コントでそれをやるのはちょっと違うなって感じているから、コントの中では観ているお客さんなんていないものであるかのようにその世界を演じきってほしいんですね。だから、最後にお客さんに向かって「ありがとうございました」って言ってるところでちょっとだけ冷めちゃいました。暗転しないとかのトラブルがあってそういう終わり方になったかもしれないけど、最後は浜田さんの困惑顔→暗転っていう流れの方が綺麗だったなぁって思います。


 2.蛙亭

 面白かった!でも一本目の方が好きでした。これも最後でお客さんに向かって「ポイ捨て、あかん!」って呼びかけてるのがなんだかなぁって思ってしまいました。

 でも2人とも演技が本当に上手くて、この世界にぐいぐい引き込まれました。岩倉ちゃんは全身がめちゃくちゃ痛そうだったし、中野さんの怯えてる感じとか引いてる感じも超リアルでした。


3.オズワルド

 いや〜〜〜めちゃくちゃ面白かったな!!畠中さんの奇人役と伊藤さんの常識人役のギャップがぴったりハマってたし、序盤の些細な伏線が中盤とか終盤にどんどん回収されるのが面白すぎてゾクゾクしました。

 あとやっぱりツッコミの言葉が巧みすぎる!「発言が刺青だよ」とか「脳取り替えた?」とか、どう生活してたら思い浮かぶんだろう。

 それと、畠中さんの主張がどんどん迷宮入りしていくのが聴いてて楽しすぎました。てんてこまいに翻弄される感じが面白すぎて、聴き手も脳溶けそうでしたね。

 1本目の時に思ったことだけど、このネタもめちゃくちゃクレッシェンドかかってましたね。伊藤さんの、ここぞという時に声色とか声の高さとかを変えてツッコミに緩急をつける感じが本当に好きなんですけど、このネタはその緩急を存分に味わえました。最後の最後に高めの声色のツッコミが連発されて、最高潮にクレッシェンドがかかった状態でネタが終わるから、観終わった後に高揚感とか余韻がビリビリに残りました。思わず「すごいなぁ」って呟いちゃいました。

 去年のM-1でオズワルドのツッコミに対して意見が真っ二つに割れていたけど、オズワルド本人が今までのツッコミを続けていくことが分かってなんかスッキリしました。ローペースで始まってどんどんギアが上がってクレッシェンドがかかるこの構成こそオズワルドの漫才の真骨頂だと思うので、そのスタイルがABCで評価されたのはM-1優勝へのとっかかりなんじゃないかなとまで考えてしまいました。



おわりに

 夏が始まるタイミングでこんな激アツな賞レースやってるんですね。今回は好きなコンビが結構出てたし、どんなネタをやるか気になっていたコンビのネタもたくさん観られたので、満足感がたまらないです。これを全国に中継してくれたAbemaTVにも感謝を申し上げたいです。でも録画して何度も楽しみたいから、ABCが観られる地域の人は羨ましいな!

 ネタ本編とは関係なく感じたことなんですけど、審査員の人への感想の聞き方すごい良かったですね。やっぱり信頼と安定のABC放送だから、審査員方のコメントを発表する時間をちゃんと加味している感じがしたし、どのコメントもめちゃくちゃ興味深かったです。某R-1グランプリの件をいまだに根に持っているので、審査員方のコメントをたくさん聞けただけでお腹いっぱいです。

 あと山内さんのコメント、めちゃくちゃ論理的で面白かったです。プロの着眼点とか面白さの論理的な説明方法がわかってすごく興味深かったから、全ネタに対するコメントが聞きたかったです。かまいたちの賞レース講評動画が大好きだからABC版もやってほしいけど、さすがに全国ネットじゃない賞レースの講評はしないのかなぁ。

 

 最後の最後になりますが、一番最初のミルクボーイの漫才激面白かったですよね。内海さんのツッコミがかゆいところをピンポイントに刺激している感じで、めちゃくちゃ気持ちよかったです。確かにあの漫才聴いてうまい棒のアイツ検索したくなったけど、検索しても絶対ピンとこないんですよね。

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