SKY-HIがCEOになる話

2020.9.26、前代未聞の配信ライブが行われた。

SKY-HIが実家でライブをして、それを生配信したのだ。

実家、ということだから、ご両親も出演された。コール&レスポンスでは手を挙げてライブさながらに息子さんと歌う。

ライブ自体も、家でやるクオリティを難なく超えていた。

ん?日高家はライブハウスなのか?と疑うほど(笑)

お母さまの、「光啓、起きなさい」から始まったライブは『Blue Monday』からスタートしたのだが、ライブ前に序章があった。

インスタライブだ。本番5分前に「眠いから5分後に起こして」と言い残し、インスタライブを終えたのだが、まさかここで伏線を残すとは…

さすがSKY-HI。ぬかりなし、すぎる…!

いろんなアーティストが登場しながらライブが進み、後半ではとある発表があった。

その発表の前には、日高光啓という人間を好きな人なら、気になるであろう、AAAというグループへの気持ちも語られた。

AAAの活動休止については、違う記事でまとめようと思う。

個人的には、SKY-HI名義のライブ中に彼がAAAの名前を出したことが衝撃だった。

ある年の3月31日、メンバーが卒業した日、大阪でライブを行ったSKY-HI。

私もその場にいた。そのときは、クロノグラフを歌った。

でも、AAAについては何も触れなかった。

それくらい、区別しているのだと思った。だから、今回、SKY-HIがAAAの名前を口にしたことさえも凄いことだと思う。

そして、AAAが活動を再開できるためにやれることを頑張ると伝えてくれたSKY-HI。

その後発表されたのが、会社を設立したということ。

社名は「BMSG」。SKY-HIがCEO。

彼が会社を設立するに至った経緯などは、HPに記載されているので、そちらをぜひ。

本当に素晴らしいと思った。

「才能を殺さないために。」

日高光啓という人が、SKY-HIでもAAAでもインディーズを経験し、今では日本の音楽業界のスターであるからこそ、設立できた会社だ。

才能よりも愛想が重要視されるようになってきた日本の芸能の世界。

個人的にもそれを感じるタイミングはいくらかあった。

たとえばアーティストによる握手会。ファンに優しく手を差し出し、優しい言葉と表情を与える。

でもそれはその人の音楽とは切り離された空間である。

ファンにとって、握手会やお話会といったイベントは、「直接曲やライブの感想や感謝の気持ちを伝える場」から、「推しに認知される場、特別扱いしてもらう場」になったと思う。

イベントで少しでも不愛想にすれば、離れていくファンもいるだろう。

実際私も、ある握手会に参加したとき、全メンバーと流れるような握手会であったが、少しでも気づいて欲しいという想いがあった。

流れるような握手会だから、1メンバーあたりの持ち時間は1秒もなかったかもしれない。

私の順番がついにきたとき、3番目にいたメンバーが突然上着を脱ぎだした。

そうなれば、もちろん手は出てこない。上着を掴んでいるのだから。

でも、流れ作業のためスタッフが私の背中を押す。「通り過ぎろ」と。

結局、そのメンバーとは握手ができなかった。そのあと、「どうして握手より上着を優先したのか…ファン思いじゃないなぁ…」なんて思ってしまったのだ。

そのメンバーのパフォーマンスは、握手会の前後で何ら変わらない、もしくは成長しているはずなのに、私には不愛想というフィルターがかかってしまって、「手、抜いてない?」と見えてしまうのだ。

このとき、私は「才能を殺した」と思う。

日高CEOが所属しているAAAについても同じだ。

ダンス&ボーカルグループは、ファンがどうしてもアイドルとの境目を見失う。(もちろん、アイドルの方も歌やダンスのクオリティが高いのだが、そこにサービス精神がかなり必要になる職業だと思う)

そりゃ、あんな美男美女で、歌もダンスもできて、そしてファン思いだから、「ファンサービス」を受けることが目的になるファンもいるのも納得。別に、それが悪いわけでもない。

でも、「見てくれなかった」「干された(無視されたの意)」と、ライブ後に言うのはどうだろう?

ライブってそもそも、アーティストのエンターテイメントを見るものじゃなかったっけ?

こちら側がアーティストに見てもらう必要性はない。盛り上げる一因にはもちろんなるし、必要だけれど。

「ファンサがもらえなかった」はまだいい方だ。

AAAは男女混合グループ。

8人でも5人でも、そこに男女がいれば、たいてい叩かれるのは女性メンバーだと思う。AAAの場合は男性メンバーが多いから、ファンに女性が多く、やきもちみたいなものが発生しやすい。

でも、そういう声が才能を殺すのだと思う。

ある程度精神が強くないと、芸能の世界ではやっていけないと思う。

黒い声が才能ある人を悩ませ、才能から逃げさせる。

せっかくの才能。私にはないものがあるのに、いなくなる。

すごくもったいない話ではないか。

一時的な感情や個人的な感情で傷つけて、才能を殺す。

握手会、ライブというように、ファンが加害者になることも多いのではないだろうか。

さらに、私たちの知らない”事務所”や”レーベル”などの裏側でも、才能は殺される。

テレビでうまく話せなくて、CDの宣伝ができなかった。CDの売り上げが減少。

そうなれば、当然ビジネスとしての決断をすることもあるんだろう。

音楽ってそんなにサービス精神が必要なものだった?

でも、そうなっているのが現実だと思う。

人柄が音楽を形成するひとつになっているのは間違いない。売らなきゃいけないのもわかる。

だけどせめて、汚れたフィルターなしで音楽を聴ける環境を用意したい。

それを叶えるのが、BMSGではないだろうか。

アーティストが作る、アーティストのための会社。

ビジネスだけをやってきた人がプロデュースするアーティストと、アーティストがプロデュースするアーティスト。

きっと何かが変わるはず。

会社がアーティストの意見をないがしろにしているなんて思わないけど、時には会社の方針が優先されることもあるだろう。

その会社のトップがアーティストであれば、アーティストとアーティストのコラボのようにもっとクリエイティブなものになるのではないだろうか。

そして、日高光啓という人だから、さらに期待が膨らむ。

どのような才能をこの世に送り出してくれるのだろうか。10年後の日本の芸能界をどう変えてくれるのだろうか。

楽しみで仕方がないし、もし、もしも、そこに私が関わることができたら、とも思う。

個人的に、アーティストは大好きなのに、運営方針が大嫌いなことが多い。

だから、運営側を変えてみたいと思っていた。

違うアーティストなのに、同じ運営の仕方をするのは間違いだと思うから。

ただ、無力すぎる私にはできなかった。叶わなかった。

日高CEOがその基盤を作ってくれるのなら、ぜひ、その一員になりたい。

そんな想いで、BMSGを応援することにした。

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