旅の恥は掻き捨て

 日頃は謹厳な人でも旅に出るとつい羽目をはずす。それは旅先では知っている人がいないから、恥をかいたところで、そこだけのことで、わからないという気があるからだ。だから、ふつうならば恥ずかしくてできないことでも平気でやるのだろうが、そういう心をおこすだけでも自分の良心に対しては恥ずかしいことである。
 
 と、小学校の皆勤賞で貰ったことわざ辞典に書いてある。
 これ、何を「恥」とするかなんやけど、私はこの辞典にあるように旅先で破茶滅茶に暴れ回って「あー楽しかった」という風な意味には捉えていなかった。

 日常は目立たないようにひっそり生息することしかできなくても、旅先では賑やかな柄の服を着たり、気軽に人に声をかけたり、「嫌なものは嫌。いらないものはいらない。」と言う事ができる。素のままでいることができるんだ。よ。
 どこそこの家の誰それ、とか全くどうでもいい。どんな仕事をしているかも関係ない。子供の頃いじめられていたとか、昔、こんな失敗したとか、全く関係ない。

 そう言う意味で、また恥を掻き捨てる旅に出たいなー。と思うこの頃。


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