ある猫の話

『ある海岸で水と珊瑚と砂糖を混ぜたものを猫がペロリとなめたらカモメになったんだってさ。』

横を歩いている友人がそういったので、ハイそうですかと適当に返事をしてとりあわずにいたら、フーッ!と猫の叫びと共に友人の姿が消えてしまった。

私はいまできたばかりの痛む腕の引っ掻き傷を押さえながら、アセチレン灯の照らす路地裏へスーっと消えてゆく黒い尻尾を眺めていた。

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