お月様がお空を突き破った話

 市電通りを歩いていると、ボール紙が破ける音とともに空からお月さまが突き抜けているのが見えた。どうやら足を滑らせてお空を突き破って出てきてしまったらしい。夜が来る頃にはお月さまは西の空に沈んでしまいそうになり、街は大騒ぎになった。
 やっとのことではしごの上から棒で押っつけてお月さまをお空から外すと、お月さまはしょんぼりとしながら東の方角へ歩いていった。
 その日、ふてくされたお月さまがお空に上ったのは、二時間も遅れていたといいます。

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