A vos souhaits !
アセチレン灯が退屈そうにくすぶる夜。
『今夜は一つ、ほうき星でも見てやるか』
市立公園のベンチに座る男は、そう言ってラムネのビー玉をスポンと落とすと、お月さまをランプにして下からのぞき込んだ。すると、案の定、瓶の底からいくつかのほうき星がしっぽを上に伸ばしながら立ち登っていくのが見えた。
"ハークション!"
そのうち、水面に揺れるお月様が、ほうき星にくすぐられて大きく一つくしゃみをしたので、男はラムネをあおるとベンチから立ち去っていった。
やっぱり退屈そうに、アセチレン灯がくすぶっていた。
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