金貨を拾った話

 ある夕刻、私がストリートを歩いていると、私の山高帽子にコツンの何かが当たり、それはカラカラと地面を転がった。私がそれを拾い上げてみると、一枚の金貨だった。
 金貨とは言えど、それはこの世に一枚しかない、即ちはお月さまだっだのだが、私が家に持ち帰って窓際のデスクの上においていたら、突然に窓の外から差し入れられた誰かの手がパッと金貨を持っていき、次の瞬間お月さまは元通りにお空で輝いていた。
 私はあいていた窓を閉めると、ポケットに入っていたニッカウヰスキーをデスクに置いて、何だか残念な思いを胸にしたまま、お月様をながめつつのんびりと飲み始めた。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?