コヒーラ・スイッチという現象
コヒーラ・スイッチと呼ばれる、不思議な電気の装置を紹介します。
丸めたアルミホイルでコップを満たし、そこに導線を差し込み、電池と発光ダイオードを接続します。
このままでは接触不良で電気は流れません。
ところが、電子ライターを持ってきて、着火スイッチをパチっ!とすると、、、不思議なことに通電するようになります。
そして、そのまま電気のスイッチをON、OFFしても、電気が流れる状態のままなのですが、コップをゆすると再び通電しなくなります。
この現象って、何なの?
今日はそんなお話です。
1.接触不良だとなんで電気が流れないのか?
アルミニウムは、錆びたりせずにいつも銀色に輝いている印象がありますが、実はその表面は酸化被膜(酸化アルミニウムの薄い層)におおわれています。
この酸化アルミニウムは絶縁体なので、非常に電気を通しにくいのです。今回の実験のように軽く触れている状態では、この酸化アルミニウムの層に邪魔になってしまい、電気が流れることができません。
2.電波がくると電気が流れるようになる理由
ここでやってくるのが、電子ライターからくる電波です。
え?電子ライターの圧電素子って、電波がでているの?と思われる方が多いかと思いますが、侮ることはできません。
(はるか昔、ゲームセンターのスペースインベーダーのお金の検出器を誤動作させ、お金を払わずに遊ぶという犯罪があったのですが、その時に使われていたのがこの『電子ライターを改造したもの』だったくらいです。)
電子ライターからの電波が当たった物質は、ほんの一瞬だけ高い電圧がかかります。電気が流れないものでも、高い電圧をかけるとスパークが飛んで電気が流れる『絶縁破壊』といわれる現象が起きるのですが、この実験では電気を通しやすいアルミニウムから酸化アルミニウムの層にスパークが飛びます。
スパークが飛ぶと、その時に発生する熱で、接触していた部分が電気溶接(アーク放電の温度は10000℃以上になるといわれています)され、通電を邪魔していた酸化被膜がなくなってしまいます。
これが、電波によって、電気が通電するようになるメカニズムです。
3.コップをゆするとどうして電気が流れなくなるか?
溶着によって通電するようになりました。ここで、コップをゆすってみましょう。
大体予想されていた方も多いと思いますが、コップをゆすることによって溶着された部位が切断され、再び最初の状態に戻ります。これが、コヒーラスイッチの原理です。
不思議な現象ですが、この現象を勉強してくと、目に見えない電子の挙動の一端がつかめて面白いですよね。
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