It's a beautiful night!

 ショーウインドウの前を歩いていると、私はぐいと肩を引っ張られ、気がついたら一枚の板切れになってミニチュアの街のなかにいた。セルロイドでできたビルディングの隙間に、紐で吊るしたブリキのお月さまが鈍く光っていた。
 ショーウインドウの前に立っている私は、それがショーウインドーの中の風景であると分かっていたが、板切れになった私は、どうしてもブリキのお月さまから視線を外すことができなかった。
 昼下がりの喧騒だけが、私の耳を通り抜けていた。

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