何故アルカリで手がヌルヌルするの?

学生のころ、理科や化学の先生から、

『アルカリに皮膚が触れるとヌルヌルするのは、皮膚が溶けるから』

と、こんなショッキングな話を聞かされたことのある人、多いのではないでしょうか?
確かに、強いアルカリはタンパク質を加水分解する性質があります。でも、それは非常に強いアルカリ溶液の話です。

それでも、非常に薄く希釈したアルカリ水溶液に触れて、手がヌルヌルになったことを経験したことある人、多いですよね?
じゃあ、このヌルヌル、一体何なんでしょうか?

というわけで、今日は、このヌルヌルの話をします。

普通、触れたことのあるアルカリ水溶液って、水酸化ナトリウムの水溶液だと思います。授業で使う時は、皮膚が溶ける濃度とは程遠い、非常に薄い濃度で用いていたはずです。

じゃあ、この薄い水酸化ナトリウム水溶液が皮膚ついたとき、何が起こっているのでしょうか?
水酸化ナトリウムの水溶液(pH8.3以上)には、ナトリウムの陽イオン(Na+)とOH-が含まれています。このNa+が皮脂とくっつくと、皮脂と結合して石鹸と同じ界面活性剤に、OH-は皮脂と結合してグリセリンに変化します。
(一般的な石鹸の成分は脂肪酸ナトリウム or 脂肪酸カリウムです)
早い話、手がヌルヌルするのは、石鹸化した皮脂に皮膚がおおわれているからだったんですね。

『皮膚が溶けている』と思いこんで必死に洗い流していたものは、Na+とくっついた手の油だったんですね。こう考えると、少しショッキングさが薄れるのではないでしょうか?ちなみに、温泉なんかで皮膚がヌルヌルするのも、温泉中のNa+やK+が原因らしいです。こっちは、ありがたいことですよね?
私は、今の仕事でとあるアルカリ性の水溶液を使うのですが、こう考えると、この水溶液が手にかかっても、温泉と同じでお肌がすべすべになって、きっと体にも、、、いや、いいわけないでしょ!!(絶叫)

以上、アルカリのヌルヌルの話でした!

(付録)じゃあ、石鹸(界面活性剤)がヌルヌルするのって、何で?
私たちが普段感じているぬるぬるって、何なんでしょう?
人間がヌルヌルを感じるのは、液中で指を滑らせたときに摩擦抵抗の周期変化が小さく、より滑りやすいものに触れたときらしいです。
(指が『きゅきゅきゅ』とスリップ&ストップをせず、より『スーっ』と滑るもの)
そして、水中の石鹸(界面活性剤)は凝集して『ミセル』という塊になっています。これが、指や滑り込んで摩擦係数を落とします。
その結果、指が『スーっ』と滑るようになり、すると人間の頭が『これはヌルヌルしたものだ!』と感じるという仕組みです。
普段は意識しませんが、人間の感覚って、細かいことまで本当に良くできてますよね!

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