お星さまのお話

 彼はおもむろにコッピー鉛筆を取り出すと、空港近くにある白いコンクリートの地面に星座を書き始めた。 お日様が高いうちは彼一人だったが、暗くなるにつれて、彼を見守るギャラリーが増え始め、大変にぎやかになった。 

 大熊座、子犬座、オリオン座が完成し、ペガスス座を書きにかかったとき、ついにはちょっとした理由からギャラリーの中で喧嘩が始まってしまった。そこは大変にぎやかになった。 

  ふと、男が夜空を見上げると、そこにはお月さまだけが輝いていることに気がついた。男が、はて、と口にすると、ギャラリー達は口々にキャッと言うと、みんな透明な煙になって消えてしまった。

その日、お星さまが夜空に輝きだすのが一時間ほど遅かったといいますが、そのことには誰も気が付きませんでした。

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