星空観察者の話

 市立公園の広場で望遠鏡を設置して夜空を覗き込んでいた男が、突然大慌てをしてポラロイドを望遠鏡に当てて撮影した。
 男が出てきたピールアパート・フィルムの剥離紙を剥がすと、そこにはカーボンアークランプが写っている様子だったが、私が声をかける暇もなく男は望遠鏡を片付けると、その場から姿を消してしまった。
 その日は、いつも通り星空が瞬いていたのだが、結局、男が撮った写真がなんであり、それがどうなったかを知ることはできなかった。

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