お月様を追いかけた話

 お月さまに追いついてやろう。そう思った私は外に出てオートモービルに乗ってお月さまの方向へと走らせ続けた。
 お月さまはすごい勢いで私から逃げ出して行ったが、アクセルをいっぱいに入れると徐々に距離が縮まり始めた。そしていよいよ、という所でお月さまがニヤリ、と笑うのが見え、次の瞬間、私は壁に当たってはねかえされてしまった。
 なんと、私がぶつかったのは、風景が描かれた四角い部屋の一番端だったのだ!
 そして、壁の上にかかれた平面のお月さまが、勝ち誇った表情を浮かべながら壁の上をするすると走って、再び私から遠ざかって行くのが見えた。

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