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万能な縫製仕様はあるか?

結論から言えば万能な縫製仕様はないと自分は思う。縫製仕様はデザインとの相性や全体バランスやコストを優先して決める事もある。一部分だけを見て最適か否かを判断する事は、ほぼ不可能だと思う。

以下の内容は縫製仕様を知らない方向けに書いた。その為、服飾専門学校以上の知識がある人には読む価値はほぼ有りません。また、イメージだけを理解して貰うように意図的に省略した説明にしている為、気になった点があればお近く(?)のパタンナー等に確認お願いします。


裾の仕様を例にとって考えてみる

デザイン例

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例えば、上図のようなデザイン画(平絵)があるとする。(筆者が即席で描いたので、デザインセンス等についてはご容赦を。)

裾は【3つ折り3.0㎝ステッチ】と説明を受けた場合、一般的には下図A.Bの2通りの方法が考えられる(裏側から見た図)。

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【注】3つ折りという表現は会社やブランドによって異なり、それにより選択肢が無い場合もある。また、アパレルでは表記ブレが非常に多く問題になることもあるがそれについては別の機会があれば書いてみる。


違い・特徴

厚みの出方が異なる

・A:縫い代の厚みが2段階に分かれる →加工やプレスでアタリが出る
 B:縫い代の厚みが均一       →張りや重みが出る

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・AはBに比べカーブに追従しやすい。 詳細は割愛するが、カーブに対し広いステッチ幅の三つ折りは難易度が高い。


・AはBに比べ、生地必要用尺が少ない。単純にコストに影響を与える以外に小ロットなどの場合、一反で綺麗に取り切れるか等にも影響する。

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・その他

生地の特性・隣接する部分の縫い方など関連付けて考慮・選定する事柄は多い。何を優先するか次第で選択は変わる。

パタンナーはデザイン説明を受けた時これらを0.3秒で脳内処理している。(当社調べ)


つまり?

裾の一例でさえ詳細を説明しようとすると膨大な情報量になってしまう。
縫われている個所全てに複数の選択肢がある。また、縫い目が入っていない場所にも関係する処理(仕様)もある。

縫製仕様に関わる変数は生地相性・コスト・縫製難易度など多岐にわたる。
外観は一見同じに見えても全く意味が異なる縫製仕様もあり、組み合わせの数は恐ろしく多い。逆に言えば知識の量だけ自由度が広がるともいえる。

とはいえ、すべての可能性を考慮しなくても一般的に(量産する場合)良いとされる縫製仕様は限られる。こういった事は、ライブラリのようなモノが出来れば良いと思うしシステムで解決できる部分でもある。


最後に。

途中から内容が脱線してしまったが、縫製仕様に対する考え方や選択肢は色無数にある、という事さえ何となく把握して頂ければ良いかな、と。

基礎を知っていることで初めて、敢えてハズすといの表現が出来る。
また打ち合わせでの共通言語となる。

専門的な事が分からないのであれば、この縫製仕様が一番高い、とか言わずに、これが好きだから選んだとか

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