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学会員インタビュー①とりむねにくさん

天海春香学会Vol.3出版記念企画として、「学会員」のみなさんへインタビューを行うシリーズ企画。

第1回は、とりむねにくさんへのインタビューをお届けいたします。

聞き手:スタントン/そにっぴー

文:そにっぴー

―――

――よろしくお願いします。


あの日見たリボンを生やした女の子

とりむねにく:
よろしくお願いします!

――とりむねにくさんは初めての学会インタビューということで色々お伺いしていきます。まずはアイマスや春香さんとの出会いについてお伺いしたいです。

とりむねにく:
私が最初に天海春香を認識したのは箱マスが出たぐらいですね。小学6年生くらいだったんですけど、ニコニコ動画が黎明期で、そのときに動画とか見ているとやはりアイドルマスター関係のものが多かったので、それで頭に2つリボンを付けた子が天海春香ちゃんって言うんだ、っていう認識くらいでしたね。最初の出会いとしては。

――頭にリボン生やしてる子がいるなと。

とりむねにく:
生やしてる(笑)

――そこからすぐにアイマスをやろう、春香さんを好きになろう、といった感じではなかったのでしょうか。

とりむねにく:
そうではなかったですね。私がよく聞いてたラジオとかにアイマスのキャストさんが出ていて――繪里子さんであったりとか――を聞いたりとか、それとかで知っているので、近くにはあるんだけど自分が積極的に関わるコンテンツじゃないというか。そういう距離感のあるコンテンツだったのかな、と今は思いますね。

――元々距離感があるコンテンツだったんですね。そこから今は春香P、アイマス好きのポジションにいると思うんですけど、一歩踏み込むきっかけは何だったのでしょうか。

とりむねにく:
それがだいたい2017年なので、ちょうど就職活動とかを意識するような時期ぐらいに、デレステを始めました。理由はって言うと、周りが就職活動をしている中で私はもう大学院進学を決めていたので、一人だけ暇になっていて(笑)友達も就職活動頑張っているから、遊びに行こうよと気軽には誘えない状況だったので、暇つぶしの一環としてちょっとデレステ触ってみようかなと思ったのが、アイドルマスターの入りのきっかけですね。

――アイドルマスターの入りでまずデレステを選ばれた、と。

とりむねにく:
はい。で、その始めた1か月ちょっとくらい後にミリシタが配信されるということがわかって、ミリシタを入れました。

――そうなんですね。まずはデレステから初めて、その後にミリシタを入れてみたら、昔見たリボンを生やした子が。

とりむねにく:
(笑)あ~天海春香ちゃんがいる~、後輩ポジションの子たちがいっぱいいるんだ、へぇ……みたいな感じで始めました。

――それでミリシタに触れたのが今の天海春香(担当)に繋がるところだったんですね。

とりむねにく:
はい。

――他のプロデューサーさんにインタビューしていても、きっかけとしては春香さんだったけど今は別の子の担当になっているとか、別の子をパッと見で好きだったけどそこから春香さんに担当が変わった方もいらっしゃるんですよね。今Twitterのアイコンにされているくらいには春香さんのこと好きだと思うんですけど、ミリシタで触れてもやっぱり春香さんが好きだったんでしょうか。

とりむねにく:
最初に触ってみようと思ったのが、知ってる子だった春香さんだったんですよね。でも色々自分で触っていくうちにこういう子なんだって色々知って。アニメを見たりとかしていくうちに、あっ私好きなんだって気づいちゃいました。そんな形で、これは春香Pを名乗ってもよいな、と思いました。

――アニメとかをはじめ、春香さん関係のコンテンツにどんどん触れていったのですね。

とりむねにく:
そうですね。ミリシタからどんどん派生して見ていきました。

――春香さんのどんなところが好きですか。

とりむねにく:
すごく明るくて前向きなんですけど、かと言ってそれだけじゃない深みがあるっていうか。頑固であったり、人一倍にはちゃんと落ち込むし、でもそこからちゃんと這い上がってくるような強さもあるし。そういうところを見ていくとすごく人間として魅力的なんだな、そういうところが好きなんだなと。

――「人間味」ですね。

とりむねにく:
人間味です。

――前に別の方も「人間くさい」という言葉を使われていました。そういうところに惹かれる方が多いみたいですね。

――デレステやミリシタで、春香さん以外に気になっている子や担当している子はいらっしゃいますか。

とりむねにく:
シンデレラだと早坂美鈴ちゃんという子を担当にしていて、ミリオンだと高坂海美ちゃんですね。

――その2人はどうして好きになったのでしょうか。春香さんとは違った経緯があったりするのでしょうか。

とりむねにく:
早坂美鈴ちゃんは、アイドルをやっていくうちにどんどんプロデューサーと信頼関係が生まれていくコミュがあります。そういうところを見て、つんつんしてるんですけど心を開いていくところがすごく可愛らしいなと思いました。あとは誰にも理解されずに自分だけの殻に籠っていたところを、アイドルを始めて、仲間の存在の良さに気づいていくコミュであったりとかを見ていくうちに、この子はすごく良い子なんだなあ、と分かりました。
高坂海美ちゃんは、彼女ってすごくパッションみ溢れる子というか、暴走しがちな部分とか、ミリシタ内のコミュでも引っ掻き回しのキャラクターで置かれることが多いんです。けど、彼女が仲間のことを誰よりも大切にしているところとかを色んなところで目にしていくうちに、仲間に熱いところをすごく好きだなって思いました。かといって2人が天海春香に似ているから好きになったというわけではないですね。

――興味深いですね。今「似ているから好きになったわけではない」と仰いましたが、聞いていくと、第一印象とは違った良さがあるですとか、仲間に対して心を開いているとか、そういうところが共通していて面白いなあと思います。


春香P宝塚部

――とりむねにくさん本人のことについてお伺いします。トピックスとして「最近アイマス以外でハマっているもの」というのを用意したんですけど……私(スタントン)、とりむねにくさんの趣味知ってるんですよね

とりむねにく:
そうですよね(笑)

――ちなみに、何にハマっていらっしゃいますか?

とりむねにく:
宝塚歌劇団です。

――私(スタントン)も好きです。

とりむねにく:
(笑)

――宝塚の話をガーってすると5時間くらいかかってしまうので、かいつまんでお伺いします。宝塚にはどういうきっかけでハマったんですか?

とりむねにく:
宝塚にハマったのは、母親が好きで、その流れで私も一緒に円盤を見るような仲になって。地元が福岡なんですけど、博多座っていう劇場があって、毎年夏休み、8月の1か月くらい、宝塚の組がやってきて1か月公演するのが恒例なんです。それを見に行って、あっ好きだ……ってなってしまいました。それがきっかけですね。

――宝塚の演目を見て、「好きだ」ってなった瞬間とか要素はありますか。

とりむねにく:
当時は宝塚って古めかしいイメージがけっこうあったんですけど、見た演目っていうのが、キャラクターがすごく2次元キャラっぽいんです。トップコンビのキャラクターとしてもお互いツンツンして素直になれなくて、お互い好きなのに素直になれなくていじいじしてるとか。ヒロインのお兄ちゃん役がすごくツンツンしてるんだけど、好きな女の子に対しては「好意を持たれてるのも嫌じゃない」みたいな雰囲気を出しているところとか。古めかしいイメージがあったのに二次元っぽい作品だったのがすごく印象的でした。あとビジュアルも、まんま画面の外に出てきたみたいなイメージの人たちが。ああ本当にこういう人たちっているんだ、っていうのに衝撃を受けて、そこからズルズルとズルズルと落ちていきました。

――私(スタントン)も現在進行形でハマっているのでわかります。とっつきにくそうなイメージとは裏腹に、意外と現代的だったり、アニメ・二次元的な作品もあったりして、入り口が豊富ですよね。

とりむねにく:
そうですね。初心者ホイホイにピッタリな作品が色々あります(笑)それにハマるとすごく大変な世界です。

――ちなみに、どの作品をご覧になったのでしょうか。

とりむねにく:
私が初めて見たのは、「めぐり会いは再び」という作品です。一緒に併設の小作品で「ノバ・ボサ・ノバ」というショーをやっていました。今でも私が好きな演出家2人を好きになったきっかけなので、私はその2人には一生……首を垂れるような気持ちで……ありがとうございますという気持ちでいっぱいです。

――宝塚って演出の先生にも着目できるのが面白いところですよね。


タカラジェンヌ天海春香概念

――では、春香さんと絡めて宝塚のお話を伺います。宝塚に春香さんがいたらどういうタカラジェンヌさんになっていたと思いますか。

とりむねにく:
わあ、どういうタカラジェンヌさんだろう……。最初は、パッとした下級生時代ではない雰囲気があるんですよね。

――成績が中間くらいの。

とりむねにく:
中間より下くらいでしょうか。でも、新人公演とかでちょくちょく良い役をもらってそうな感じの娘役さん……という感じのタカラジェンヌさんですかね。色んな経験をしていくうちにどんどん才能が開花して華やかさも溢れるようなタカラジェンヌさんになりそうです。

――元々パッとしなかったけれど、最初期の頃から新人公演(入団7年目までが出られる公演)に抜擢されたりとか、色んなところに出たりとかして、どんどん上に上り詰めていく娘役さんというイメージですかね。

とりむねにく:
でも新人公演ヒロイン抜擢もけっこう遅めで、研6、研7(※入団6年目、7年目)でギリギリ掴む、みたいな。

――タカラジェンヌさんって、歌が上手かったり、お芝居が上手かったり、ダンスが上手かったり……と色々と持ち味があると思うのですが、春香さんがもしタカラジェンヌさんだったら、やっぱり得意なのは歌でしょうか。

とりむねにく:
ああ、でも……「歌姫ってことじゃないけど歌は上手い」、っていうタカラジェンヌさんで、あとは娘役芸が上手そうなイメージはありますね。

――娘役芸、ですか。

とりむねにく:
はい。ドレス捌きであったりとか、佇まいであったりとか、雰囲気で魅せるようなのが上手そうな子かな、と私は妄想しています。

――春香さんって悪役だったり正ヒロイン的な役だったり、それから端役だったりしてもそれぞれ輝ける子だとは思うので、ヒロインに抜擢されたら「私、ヒロインです」みたいなオーラがめちゃくちゃ出そうですね。

とりむねにく:
そうですね(笑)プレッシャーは感じるんですけど、見た人には「そんなことなかったよ」って言われるような子かなって思いますね。

――男役さんと寄り添う天海春香さん……見てみたいですね。

とりむねにく:
膝折りしちゃう天海春香さんですね。

――良いですね。良い感じの身長差になるようにちょっとスカートの中で膝を折って、身長差を魅せるっていう芸ですね。

とりむねにく:
春香さんはそういうのが上手そうだなと思います。

――相手の気持ちを考えたりとか、周りのことを見て考えて行動するっていうのが上手そうな子なので、まさに娘役芸が似合う感じがします。


冬の空気、あたたかい君と

――天海春香学会についてお伺いします。とりむねにくさんは今回のVol.3が初参加でした。天海春香学会に参加しようと思ったきっかけを教えてください。

とりむねにく:
そうですね、私もVol.1やVol.2を読んでいて、色んな天海春香さん――色んなプロデューサーさんの天海春香像が1冊の中に凝縮されているじゃないですか。そういうのを表現できるのって凄いなあって思ったのと、じゃあ自分もそういうところに(作品を)出してみてもいいのかもしれないと思ったので、参加してみようと思いました。

――今回はイラストと文章で参加されています。それほど参加したかったのでしょうか。

とりむねにく:
文章はけっこう悩んだんですけど……本当はイラストだけ参加しようと思っていました。ただ私の妄想を詰め込んだ天海春香さんを出したかったというのはありますね。文章は、まあ色々あって……

――そうなんですね、後ほど色々お伺いします!まずはイラストについてお伺いします。寒い中で暖かそうな恰好をしている春香さんのイラストですね。どうしてこのようなイラストで参加しようと思ったのでしょうか。

とりむねにく:
(天海春香学会Vol.3が)冬に出るって聞いていたので、「冬っぽい天海春香さんかあ……」って考えて真っ先に思いついたのが、お鼻を真っ赤にしている天海春香さんでした。「それは可愛いな」と思って、「じゃあお鼻真っ赤にするくらいまで外に居させる理由って何かあるのかな?」と思ったら、たとえばお仕事の帰りとかでコンビニとかで温かい飲み物をプロデューサーがおごって、それを飲みながら他愛もない話をしている感を出せたらいいな……というところまで来て、よし、これを書こうって……真夏に書いてました(笑)

――良いですね、立ち話してるから寒そうな感じでも我慢できるし、暖かいし……プロデューサーとお話してるんですね。

とりむねにく:
そうです。くだらないことを話している、そういうのが一番幸せなんだよなあ、というのを出したかったというのもあります。他愛もない話をできるっていうのが一番の幸せかなと思います。

――春香さんもお仕事終わりでホっとした感じで話しているんでしょうね。

とりむねにく:
良いですねえ。一番リラックスできているのかなって。

――あと気になるのは、春香さんが持っている飲み物は何でしょうか。

とりむねにく:
あはは(笑)これはココアです。

――ココアるん!

とりむねにく:
ココアるんです!それが天海春香っぽいなと思って。コーヒーは違うなというのがあって、かといってコンビニとかで買えるものなので……まあ某コンビニのローソンさんですけど。ローソンさんならココアあるな、っていうイメージでココアにしました。

――ありがとうございます。「冬に立ち話をしているときに天海春香が持ってる飲み物選手権」とかやったらココアはまず出てきそうですね。

とりむねにく:
一番出てくると思います(笑)コーヒーじゃないんだよなあ……

――そうなんですよね。プロデューサーさんが「はい、どうぞ」って渡すとしたら缶コーヒーとかなんですよね。紙コップに入っている飲み物だったら、私(スタントン)は紅茶かな、と思ったんですけど、ココアって言われて納得しました。

とりむねにく:
良かったです(笑)2人でレジに並んで「何にしますか?」みたいな感じで。レジで2人で一緒に選べる喜びがありますよね。

――冬っぽいぼやけた感じが絵からよく伝わってきます。そのように意識して描かれたのでしょうか。

とりむねにく:
そうですね。空気はスンとしてるんですけど、冬独特の、ふわっとした雰囲気で。色味も夜遅めの雰囲気を出したかったので、あえてぼかすように意識しました。

――イラストを描いているときに大変だったことや困ったことはありましたか。

とりむねにく:
困ったことは……髪をどうしようかなと思って。髪の毛をマフラーで包んでいるので、フワっとさせるのか、それともあまりフワっとさせないのか。ちょっと悩んだんですけど、今回春香さんがつけてるマフラーは学校指定マフラーを意識してました。そこまで長さも無いようなマフラーにしたので、あまり髪の毛はフワってならないよな、って考えました。これがもし長めのマフラーならフワっとさせてたかなあ、とか考えています。

――前にTwitterで見た議論で、天海春香さんがマフラーを巻いたときに、髪の毛がフワってなるのか、内側に収納されるか、どっちかというのを見たことがあります。このぐらいの短さだと、普段の春香さんの髪型が出ていていいですね。

とりむねにく:
そうですね。ここはどうしようかとギリギリまで悩みました。髪の毛を足しては消して、足しては消して……を繰り返していました(笑)

――良い感じのフワっと感を出しつつ、横タレの感じも出しつつ。

とりむねにく:
ちょうどいい部分を見極めるのが難しかったです。

――このスペース(※このインタビューはTwitterのスペースを用いて公開録音を実施しました)を聞いた方やnoteの記事を読んだ方には髪の毛の部分を意識して見返していただけると思いますので、聞けてよかったです。


ファイナルデイ役、天海春香

――続いて、文章作品について伺います……「バスファイ芸人」こと、とりむねにくさん。

とりむねにく:
はい(笑)

――『ファイナルデイを通して見た天海春香さんについて』を投稿いただきました。このテーマで参加しようと思った理由を教えてください。

とりむねにく:
そうですね……昨今はTHE@TER CHALLENGEのリリイベとかが開催されていない状況で。すごく素敵な作品だし、春香さんたちが頑張ってたのがわかる作品なんですけど盛り上がりには欠けてたり、ちょくちょく話題にはなるけどスンっと落ち着くときは落ち着いてたりする。そういう作品の中で天海春香さんが、こんなに凄いんだよっていうのを示したかったっていうのがありますね。じゃあ何が凄いの? というのが本編で書いてる内容です。

――この原稿が書かれた・受け取ったのは夏~秋のタイミングなんですけど、ミリシタのメインコミュ100話で春香さんの演技力にフォーカスが当たりました。そういうところの先取りと言いますか、改めて天海春香さんの……文章中にもありますが「可能性の塊」であることを上手く書かれた文章で読んでて楽しかったです。

とりむねにく:
ありがとうございます。

――天海春香さんの役について、もしくは役を通した天海春香さんについて書かれているんですが、中でもとりむねにくさん的に春香さんはここが一番凄い、というのはありますか。

とりむねにく:
役に寄り添う春香さんが凄いなあって思います。ただセリフが書かれた文字だけだと、その人がどういうことを考えているんだろうってなるんですけど。じゃあ春香さんがファイナルデイをちゃんと理解しようとしているのが凄く感じ取れるな、と思ったのがSSRカードの「物好きめ」とか。感情の引き出しを出すところが上手だなと思います。でもそれの微調整はちゃんと春香さんがファイナルデイを理解してあげているんだなってなるし、その役に対して自分はどうやってアプローチしていったらいいのかというのを「ファイナルデイってこのときどういう気持ちだったんだろう」というのを考えているんだな、というのをすごく感じ取れるところを見ると、春香さんの優しさであったり、そういう部分が出てる、いいところだなあ、凄いなあと思います。

――役を理解しようとする姿勢は伝わってきますよね。SSRの衣装コミュで撮影のシーンがありました。そこで、どうやってやるのがいいのか悪戦苦闘していた印象があります。

とりむねにく:
かわいいですね……覇気がない(笑)

「さあ、みんな、私についてくるのだー!」
……うーん、何か違うなー……。
(SSR アウトサイダー[ファイナルデイ] 天海春香 覚醒コミュ)

――最初はかわいい感じになってしまったけれど、そこからだんだんと威厳のある感じになっていく。

とりむねにく:
その中でも春香さんはファイナルデイを若干掴めたのかな、と感じる良いコミュですよね。

――そういうポスター撮影の苦労に始まり、本編ではバスターブレードと心中するシーンの笑い方も……

とりむねにく:
すごいですよね。

――泣いてるんだけどちょっと喜んでる笑い声。

とりむねにく:
泣きすぎるわけでもなく、かといって喜びすぎるでもなく、彼女の中の若干複雑な気持ちもちゃんと出てるというか。理想を失って自分のことを不甲斐ないと思っていたりする部分も込みで、あの笑い声1つで出してくる17歳、怖いなって思いますよね。

――「引き出しから出してくる」という表現をよく役者さんがします。引き出しの数自体は17歳の子だから少ないはずなんですけど、そこを想像力で頑張って補っているのかな、とか色々と想像できます。

とりむねにく:
経験を想像で補えるって、それはそれで才能なので、凄い子ですよね。

――春香さんに聞いてみたいですよね。「役作りどうしたんですか?」とか。

とりむねにく:
聞きたいですねえ。あのコミュだけじゃまだ足りないんで(笑)

――とりむねにくさんは、近未来アウトサイダー2周年企画を主催されていたりもしました。この文章を書き上げてみて、とりむねにくさんの中で春香さんやファイナルデイに対する印象が変わったりはしましたでしょうか。

とりむねにく:
そうですね。書いたからこそ、2周年企画やってみようかなという気持ちになりました。これをきっかけに何回も何回もドラマCDやコミュを見返している中で、もっとこれを色んな人に見てほしいなあとか、出ているアイドルたちの演技が凄く素敵だから見てほしいという気持ちになりました。でもただ「これがこう良いんだよ」と言うのは簡単なのですけど、どういうふうに自分で行動を起こしていくか、って思ったら、「よし、誰かを巻き込もう!」っていう形になって。そのきっかけがこの文章だったというのはあります。

――そのような原動力になったのであれば、天海春香学会を企画した甲斐があります。ありがとうございます。

とりむねにく:
きっかけを頂けて、こちらこそありがとうございます。

――天海春香学会に参加された方が、参加してみたらもっとあれやりたい、書きたいとなることがあって、そのような創作意欲の循環が発生すると嬉しいな、とはいつも思っています。

――他に文章についてお伝えしたいことはありますか。

とりむねにく:
この文章を読んだ方は気づかれているかもしれませんが、頑なに中村繪里子さんの名前を出していないんですよ。出さずにこれを書こうと決めたんですよね。「ファイナルデイ役中村繪里子」じゃなくて「ファイナルデイ役天海春香(CV中村繪里子)」であって、ファイナルデイは天海春香が演じているんだというのがすごく大事にしている部分です。繪里子さんはどうやって演じたんだろう、とかは想像できるんですけど。17歳の天海春香がこの演技をしたのは、どういう考えでこういうお芝居を作っていったのかな、というのを考えた方が私的にはオイシイかな、というのがあったので。絶対に中村繪里子の名前は出さない! というのは決めていました(笑)

――繪里子さん自身も朗読劇や舞台で演技力を発揮している方ですが、「17歳の天海春香が体当たりで挑む悪役」に絞って書かれていたのが凄いと思います。

とりむねにく:
そこがけっこう難しかったです(笑)でも頑張ってるっていうコミュのバックボーンを見てから改めてドラマを聞いてみると、「こういうところ苦労してたよなあ」というのがわかってくる、プロデューサー面(ヅラ)がよくできるオイシイきっかけだったなというのはあります。さっきのポスター撮影も、春香さん頑張ってるんだなあというのを感じて……春香さんかわいいなあ、という部分ですね。


天井を衝け

――次に、他の作品についてお伺いします。気になった作品や面白かった作品を教えてください。

とりむねにく:
そうですねえ、まず???さんの『天海春香のあまみ通信』。すごい……天海春香って”居る”んだってのを感じられる……(笑)実在するんだっていうのを改めて認識できる、すごく良い企画だなって。絶対雑誌でワンコーナー持ったら天海春香こういうことするわ、って(笑)すごくいいなって思ったのと、ちゃんと(お菓子を)作った写真が載せてあるっていうのがポイント高いです。これ開いた瞬間、一瞬何事かと思うんですけど(笑)すごく面白いなあと思いますね。

――まさか我々運営もレシピが出てくるとは思っていませんでした(笑)

とりむねにく:
はじめ見たときめちゃくちゃ笑ってましたね。

とりむねにく:
あとは、次のページのじんさん。(天海春香、足りてる?)私もこの手の話は大学でやっているので。私が書こうと思ってた内容のひとつに、アミノ酸のことを書こうと思ってて。アミノ酸……アミノ酸……アマミ酸!? って思ったんですけど、おんなじこと考えてらっしゃって(笑)Vol.4ではアマミ酸中心で、ちょっと分かりやすい文章を書けたらなって思いましたね。

――次回も期待ですね。

とりむねにく:
あとは、ぷちますのはるかさん関係の話が充実されていて、Vol.3ならではだなあと思いました。生物学の教科書かな? って思うくらいの内容で……すっごく面白かったです。

とりむねにく:
あとはそにっぴーさんの『笑って!』の話(文字に残さなければならない『笑って!』の話)すごく好きで。

https://note.com/a_harukagakkai/n/n25adf19d936f

とりむねにく:
記憶で語り継ぐんじゃなくてちゃんと文字で残すってほんと大事だなって思っていて。そういうのも私ちゃんとやろうって思いました。

――(そにっぴー)大変恐縮です、ありがとうございます。

とりむねにく:
特別なものだからちゃんと形に残すっていうのは大事なことだし、尊敬するなって思います。私もファイナルデイ関係やバスファイ関係のことで、喋ったらすぐ残しておけるような状態にしておきたいですね。

とりむねにく:
あとは、10年後の天海春香について。これもなかなか私の情緒をぐちゃぐちゃに……(笑)色んな意味で振れ幅が大きすぎて、頭が追いつけてなくて、ええ~って思いながら2,3周くらいしました。
特になかやまさんのリボンの位置(リボンの装着位置の観測による10年後の天海春香予想)とか、はあ~……なんか、なるほどな? ってなって(笑)

とりむねにく:
確かに、だんだんリボンの位置は低くなっているけど、プレート(テクトニクス)の話に持っていくんだ、って、斬新な視点だな、さすが面白いこと考えるなあと。
そして、ゆきますくさんの……ね? ね??(White Planetarium

とりむねにく:
知らずに読んでいくんですけど、ええ!? みたいな……急に落とされる感覚がありまして。しばらく見て、閉じて、天井をじーっと見てて、嗚呼……という気持ちに。ああ情緒~ってなりながらその日寝ちゃったんですけど(笑)すごくインパクトのある作品で。
あとは、フブキさんの『桃と蝶々』はもう、いや~……

とりむねにく:
ミリシタの(美也の)メインコミュ(第85話)の衝撃があったので、他の方はどんなことを考えているんだろうというのがあったので。実際に見てみると、ああそうかあ……って、なるほどなあって納得ができた部分と、春香さんの10年後がすごく頭の中ですごく出てくるみたいな錯覚が出てきて、これも読んだ後しばらく天井を仰いでしまうくらい衝撃で(笑)今回もすごいなあと、情緒を狂わされてばっかりでした。
10年かあ……って考えると、色んな方が想像する春香さんってこんなにも違くって、こんなにも様々な形があるのを思うと、そりゃ情緒も乱されるよなあ……と思いながら1週間かけて読みました(笑)イッキには読めなくて……「ちょっと待って」が多くって(笑)
あとは、もやこさんの電車のイラストも、シンプルな中に色んな要素が詰め込まれてて。

とりむねにく:
ここってこういうことなのかな? って見ている側に投げかけてくるイラストってすごいなって思いました。イラスト見るだけでも1ページ見る度に天井を仰いで(笑)特別企画でこんなに情緒を乱されるんだな、怖いなって思いました……。情緒が1週間かけて終わりました。


エゴだけれども、ずっと

――それでは、とりむねにくさんとしては、10年後の天海春香ってどうなっていると思いますか。

とりむねにく:
あー、これは私のエゴでしかないと思うんですけど……芸能活動を続けてほしいなってのはあって。春香さんがもし結婚して(芸能活動を)やめるってなってもちゃんと尊重はするんですけど、でも私の中では、続けてほしい。もっと天海春香を見ていたいっていう気持ちが強すぎるなってのはあります。自分のわがままでごめんだけど、アイドルを続けてください、アイドルじゃなくても芸能活動を続けてくださいっていう気持ちがあります。

――ファンとして会える場所がちゃんと欲しいということでしょうか。

とりむねにく:
そうですね。プロデューサーとしても見続けたいし、ファンとしても、テレビとかじゃなくても、イベントだったりとかで何かしら、歌を歌ったりとか、そういう春香さんを見ていたいっていうのはありますね。

――宝塚の話を先程させていただいたのですけど、意外とタカラジェンヌさんでも退団後に芸能活動を続けてくださる方もいらっしゃいます。そういうの見てると、春香さんにも芸能活動を続けてほしいなって思います。

とりむねにく:
現に私が応援している方、(宝塚を)辞められた方なんですけど、1年間芸能活動をするのかどうなのか分からない時期があって、自分の中で悩んでた部分なんですよね。自分は(芸能活動を)続けてほしいけど、もしその人が芸能活動をしない道を選んでも――大学に入って勉強するとか――そういう道を選ぶ可能性もあったので、自分の気持ちを押し付けて本当にいいのかな、というのは本当に悩んでいました。でもやっぱり戻ってきてほしい。だから春香さんも、ずっと、というか、春香さんが納得できる形で芸能活動を続けてほしいなっていう気持ちが強いです。

――10年後も、天海春香に芸能活動を続けていってほしい。

とりむねにく:
ほしい。それは私のエゴなんですけど、もうしょうがないですけど……でも続けてほしい!


あなたとの距離

――最後の質問です。あなたにとって、天海春香とは。

とりむねにく:
難しいですけど……私にとって、一番近い存在でありながら、遠い人かもしれませんね。

――近い存在でありながら、遠い人。

とりむねにく:
プロデューサーとしては二人三脚で春香と一緒に芸能活動を支援する形はとれるんですけど、近くにいるからといって春香さんのことを全部わかってるわけじゃないので。その面で言うと、物理的な距離は近いんですけど、心ではまだ離れているのかなというのはあります。深く知りたいって思うから、ずっと春香さんのことを好きでいられるのかなと思います。だから、近くて遠い存在です。

―――

近未来アウトサイダーや宝塚歌劇団をこよなく愛するとりむねにくさんならではの、熱のこもった対談になりました。

天海春香学会Vol.3、及び既刊のVol.1・2はBOOTHにて絶賛頒布中です。この記事で興味を持ってくださった方は是非覗いてみてください。


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