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学会員インタビュー⑬クレーンさん

天海春香学会Vol.3出版記念として、「学会員」のみなさんへインタビューを行う記念企画。今回は、クレーンさんのインタビューの模様をお届けします。

インタビュー:そにっぴー/スタントン
文:スタントン
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GO MY WAY!!

――早速最初の質問です。春香学会のインタビューをさせていただくのは初めてですよね。クレーンさんがアイマスや天海春香をお好きになった経緯をお聞かせください。

クレーン:
アイドルマスター自体は、XBOX360版が発売されるかされないかあたりの時期に「GO MY WAY!!」のPVを見かけまして……

クレーン:
キャッチーな曲が素晴らしかったですし、アイドルが華やかに歌って踊っている姿を観て、「こんな世界があったのか!?」とびっくりしたのが、知ったきっかけでしたね。

――それまでは他のゲームは色々されていたのですか。

クレーン:
そうですね……任天堂のゲームはしていたんですが――これは昔、中村繪里子さんがよく言っていた表現ですが――"女の子がいっぱい出てくるゲーム"はあんまりやっていなかったんですよ。そんななかで、偶然「GO MY WAY!!」の動画を見かけたんです。ちょうど当時はニコニコ動画がでてきたタイミングでして、しばらくはそれ(ニコマス)を楽しんでいました。

――そこから、春香を好きになった、担当しはじめたきっかけは何でしたか。

クレーン:
しばらくニコマスを観ていたんですが、春香は――いじられる方向ではありましたが――気になってはいました。ちょうど「MASTER ARTIST」が発売される時期で、曲が「I Want」だったので……とてもびっくりして……!「公式がそういう方向性で来るんだ……!」という驚きを楽しんでいました。

クレーン:
アイドルマスターSPからゲームを始めたんですけど、その頃にはもう「ゲームをするなら春香から始めたいな」と、そういう風には思っていました。「これだ」というような一つのきっかけがあって好きになったというよりは、色々なものが積み重なってだんだん好きになったような感じかもしれません。

――SPで春香をプロデュースしてみて、どのような印象でしたか。

クレーン:
衝撃的でした。響ちゃんがライバルというストーリーなんですけれど、「I Want」のとは全く違って、春香が泣き虫のようなキャラクターとして描かれていて、新しく知ったというか、印象的でしたね。


この人はそういう人なんだよな

――クレーンさんは中村繪里子さん関連でもお名前をお見かけしています。繪里子さんをお好きになったのは、春香さんと同じタイミングでしたか。それとも時間差がありましたか。

クレーン:
繪里子さんを知ったのは春香さんと同じタイミングでした。当時のニコマスは、中の人ネタが使われることがよくありまして、結構早いうちからラジオを――「ラジオdeアイマSHOW!」の第2期からだったと思いますが――聴いていて、「面白いお姉さんだなあ」と知ってはいましたね。ただ、気になったきっかけが他にあります。「ラジオdeアイマSTAR☆」の最後の公開録音イベントで「星春桜歌祭 Powerful☆Miracle☆Chefftival☆」というイベントがあったんです。


クレーン:
繪里子さんはアニメイト系のラジオ番組に初期からずっと出続けていて、ここで一旦卒業だったんです。そこで当時、リスナーのみんなで桜の花びらに繪里子さんへのメッセージを書いて送ろうというサプライズ企画をしたんですが、繪里子さんが深々とお礼をされていたんです。それで「そうか、この人はそういう人なんだよな」と改めて認識しました。アイマス以外の個人のイベントにも行こうと考えだしたのはこれがきっかけでしたね。

――ありがとうございます。一歩踏み込んで繪里子さんを知っていくと、人間として尊敬できる方だという印象を受けますし、そういう方が天海春香の声優をしているということに嬉しさを感じます。

クレーン:
まさにおっしゃる通りですね。

春香はミュージカルに向いている

――クレーンさんはアイマス以外で好きなものやハマっているものはありますか。

クレーン:
ミュージカルが好きです。ミュージカルの舞台を見に行くことが多いですね……好きになったきっかけは劇団四季の「キャッツ」なんですけれど、海外ミュージカルの公演を含めて色々観るようになりました。もしかしたら、好きになった方向はアイマスと似ているかもしれないですね。「GO MY WAY!!」で華やかな曲・ダンス・歌に惹かれたのと同じように、ミュージカルも美しい曲のなかに華やかな美術やダンスがあるので……。

――(そにっぴー)ここまで聴いて、スタントンさん。

――(スタントン)はい。

――(そにっぴー)スタントンさんは何が好きでしたっけ。

――(スタントン)宝塚が好きです。劇団四季も「ライオンキング」を観たりしてます……!

――たしかに、アイマスとミュージカルは共通点が多い印象があります。華やかなステージだったり、歌だったり。春香さんに絡めてお伺いしてみたいんですが、春香さんはミュージカルに向いていると思いますか。

クレーン:
向いていると思います!むしろ、出てほしいなあ。春香の感情表現の能力ってすごく高いと思っていて、音楽にただ音を載せるだけではなく、感情を載せて歌ってくれますよね。だからこそミュージカルに向いているんじゃないかなと感じます。

――春香って"感情が高ぶると手がつけられなくなる"という紹介をされていた時期もありますが、裏を返せば感情の出し方を知っている子でもあると思います。だからこそ、嘆き・歓びといった表現をする天海春香のステージを帝国劇場や宝塚大劇場だったり、凝った演出の作品をシアタークリエだったりで観たいなあって思います。

クレーン:
ああ!いいですね。

――「春香さんにこういう役をやってほしい」という願望はありますか。

クレーン:
具体的になってしまいますが、「レ・ミゼラブル」のコゼット役をやってほしいなって思います。

クレーン:
純真な気持ちを出す子なので春香にピッタリだというのと、エポニーヌという役を美希にやってほしいと思っています。春香が気づかないまま、美希の恋のライバルになる構図になるので……観たいなあって妄想はよくしています。

はるかさんの甘嚙み

――作品についてお伺いします。「ぷちます」を題材にされたきっかけは何でしたか。

クレーン:
学会誌のVol.1とVol.2を読ませていただいて、「みなさんの熱量が物凄いなあ」と思ったのですが、ぷちますに関する話題がなかったのがちょっと寂しいなという感じもしたんです。なので、自分が春香学会に参加するとしたらぷちますを題材にしようと最初に決めていたんです。

――ぷちますのなかでも「甘嚙み」に注目されています。根拠になったエクセルも送っていただいたかと思うんですが、これを集計するのはなかなか大変だったのではないでしょうか。

クレーン:
そうですね笑。「何巻第何話の何コマ目ではるかさんが甘嚙みしている」というのをエクセルにまとめさせていただきました。ひたすら数えたので時間はかかりましたね笑。

――エクセルを見たとき、行の数がすごくて驚きました。時間をかけて作っていただいたんだなあと……

査読時、クレーンさんにご提出いただいたエクセルファイルの一部

クレーン:
むしろ査読の段階でエクセルファイルを提出させていただいたところ、しっかり原作と照らし合わせていただけて……「ここは数えなくていいんですか?」みたいに返ってきたことに驚きました。

――「こんなことを申し上げるのも失礼だなあ」という感じもしましたが、すごく丁寧に作られていたのでしっかり査読をしないのも失礼だと思いまして……最終的にいいものができてよかったと思います。我々運営が文章を確認してみて、論文を書きなれてらっしゃる方なのかなあと思いました。大学やお仕事でこういった文章を書かれているのでしょうか。

クレーン:
気づいていただけて嬉しいです笑。「ぷちます」を題材にしているので "ですます調" でやさしく書こうとは思っていたんですけど、その上で論文の形式に沿って書こうとも意識してみました。

――甘嚙みのコマ数が多い順でいえば雪歩・春香・伊織という順番でした。集計してみてどのような感想を持たれましたか。

クレーン:
はるかさんとの具体的なエピソードがある律子が(コマ数が多い順で)上にくるのかなあと思っていたのですが、伊織が上位になったのが意外でしたね。

――伊織については、後半のおまけ(とは言えないレベル)のコーナーで調べられていましたね。甘嚙みの表情についても着目されています。表情を取り扱うのは珍しいと思うのですが、最初から書こうと思っていたのですか。

クレーン:
今回の計測では、1巻と13巻をひと通り数えてみて、データ集計ができそうだと判断して全巻集計し始めたんです。先に1巻と13巻を見てみると、「結構、甘嚙みしているときの表情が多様だな」と気づきました。表情もデータにしておくと面白いんじゃないかなと思って注目していきました。

――クレーンさんとして、はるかさんのどういったところが魅力だと思いますか。

クレーン:
最初のころのはるかさんって「何を考えているのかわからない」という印象を持たれることも多かったと思うんです。でも、だんだんと心の中が見えてくるといいますか、765プロのアイドル達・ぷちどるの仲間たちと一緒に仲良く過ごしたいんだという姿がだんだんと見えてくるところが魅力かなと思います。例えば雪歩は、はるかさんのことを怖がって逃げ出していましたが、だんだん仲がよくなっていくのがいいところだと思います。

他作品について

――お気に入りの作品やお好きな作品はありますか。

クレーン:
まず、Vol.3で自分以外にもぷちます関連の作品があったのが嬉しかったです。

――そうですね。例えば、兎爺さんの『はるかさんの分裂に関する研究』ですとか。

クレーン:
理論的に見られているところもすごく面白いですし、発見したときの喜びのスケッチまで書かれていて。まるでエジソンの伝記を読んでいるかのような親しみやすさもあって、楽しく読ませていただきました

 あと、イラストでいうと松風さん。OFAの春香の専用衣装のトラスティフォーチュンですかね。春香とはるかさんの二人が着ているもので、しかもアルティメットアピールをした後の変身したバージョンだと思うんですけど……細かいディテールをぷちドルのサイズへ落とし込むのってきっと大変だったと思うんです。でも、すごく可愛らしく描かれていて素敵な絵でしたね。OFAの個別ストーリーも――ファンの一人ひとりを大切にしている描写があるお話で――好きなんです。先ほどお話したように、ぷちどるのはるかさんもみんなと仲良く過ごしたいという気持ちを出しているところが好きなので、そこは(前のお話と)共通しているなと思いました。

 ぷちます関連以外で挙げますと、はじかるみさんのイラストもすごく好きです。表情が気になりますよね。春香のステージでの表情って元気なところが特徴的だと思うのですが、この絵はそうではない。いろいろな感情を含んでいるような……ここまで頑張ってきたものを感じ取っている表情といいますか、ずっと眺めていたくなるといいますか……すごく印象的でした。

――『ニュータイプ』の表紙になったムビマスの表情を思い出しました。

クレーン:
はい……!はい……!あの絵も初めて見たときは衝撃的で、「こういう表情もするのか!」っていう感じでしたけれども、確かにおっしゃる通り似た方向性があるのかもしれないですね。はじかるみさんのイラストは本当素敵です。

――ステージまでの積み重ねがすべて詰まったような表情ですよね。

クレーン:
もう一つ挙げるとしますと……司令官さんが監修された『天海春香のあまみ通信』。レシピではあるんですけれど、春香が書いたエッセイなんですよね。「どういう気持ちで書いたんだろう」と思えるような、ショートストーリーのような感じで読ませていただきました。

次回作は……

――天海春香についての作品をまた寄稿するとしたら、書いてみたいテーマはございますか。

クレーン:
うーん、当初の目的である「はるかさんを書くこと」はもう達成しましたので……。もう一回はるかさんについて書くのでもいいですし、『スターリットシーズン』が出ましたので、そこの関連で書くのもいいかもしれないですね。

10年後の天海春香

――今回、特集テーマとして「10年後の天海春香」というものを設定させていただいています。クレーンさんの考える、10年後の天海春香はどのようになっているのでしょうか。

クレーン:
どうでしょう……もしかしたら、少し転ばなくなっているのかもしれないですけど、いい意味で大きくは変わらないんじゃないかなと思っています。先ほどお話をしたように、ミュージカルのような役者の仕事をしてほしいとは思うんですが、そういう役者のお仕事もしつつ、今のように明るく歌ってくれたりもするんじゃないかな、してくれたらいいなって思っています。

――アイドル以外で演技のお仕事をしてほしいという春香Pの方、結構多くいらっしゃいます。

クレーン:
そうですね!やっぱり、春香の「演技」を観たいです。

フレッシュな気持ち

――あなたにとって「天海春香」とは。

クレーン:
いつでもフレッシュな気持ちをくれる人かな、と思います。もちろん、出会いのときから……「I Want」の衝撃があったり、SPの泣き虫だったり、出会う度に色々なことを見せてくれるなあと思っています。例えばMRステージ。1stステージの初回を拝見したんですけれども、あれもすごく衝撃でした。


クレーン:
「立って応援してもいい」というアナウンスが一応あったんですけれど、最初は雰囲気がわからなくてみんな座っていたんです。そこに春香のソロがきて、あの声が響いてきて、「さあみんなスタンドアップ!」って言ったんです。あのひと言で何かが流れ込んでくるような衝撃があって……。プロデューサーとの会話も記憶がなくなりそうなくらい楽しくって、初回公演が終わった後、近くのローソンに駆け込んでその日の予定全部すっ飛ばして残り2回のチケットも買ってみました笑。出会ってから10年以上経ちますが、春香は何回見てもフレッシュな気持ちをくれるしさせてくれるなって思います。

MRステージの会場となったDMM VRシアター(筆者撮影)

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天海春香についてフレッシュな気持ちをくれる人と形容いただきました。

クレーンさんの記事も収録している「天海春香学会Vol.3」をはじめ、さまざまな書籍をBOOTHにて頒布中です。
ぜひご覧くださいませ。


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