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早田ひなさまへ

 鹿児島の特攻資料館行きたいと発言して絶賛されているそうですが、もしそれが、あなたが競技に専念できている平和な状況への感謝の気持ちからだというなら、もっとお手軽なことからはじめてみてはいかがでしょう。
 クーラーの効いた図書館で五輪の東京誘致が決定してから開催までこの国でどういうことが行われてきたか新聞の縮刷版を繰ってみてください。
 いまどきは各自治体に1箇所以上はある、いわゆる中央図書館という場所では、データベースなども無料で使えたりします。
 特攻隊なんかよりもっと直接的でわかりやすい「五輪」と「犠牲」の構図が見えます。

 ほとんどのアスリートは「それは私の考えるべきことではない」と思っておられるでしょうから、半ばあきらめていましたが、特攻隊と競技環境を関連付けられる高い感性をお持ちのようなので提案してみました。(それ以前の問題として、大海に放ったメモ入りの小瓶は高確率であっという間にネットの藻屑と化すでしょうが。)

 あとこれは蛇足ですが、「特攻隊」は太平洋戦争について学ぶにあたって初心者には向かないので、おすすめできません。
 NOYOUTHNOJAPAN代表の能條桃子さんはバックパッカー時代にアジア諸国の戦史博物館のようなところを見学して、「日本が加害者でもあったということに気づかされた」とおっしゃっていましたが、能條さんほどの人でもそうした経験でやっと日本の加害者性を意識できたというのが日本の現状です。

 特攻隊やかわいそうな象のような特定のテーマがエンタメ界でコンテンツとして繰り返し「消費」されてきたことによっていつのまにか日本人の意識は偏ってしまい、加害者性について語ろうものなら自虐史観などと攻撃されてしまうようになってしまったのが今の日本です。
 
 あるいは日常的に世界をまたにかけるような稀有な立場を利用して日本のフィルターがかかっていないものを目撃するというのも手かもしれません(それらが今度は逆に現地国のフィルターがかかってしまっているとしても、結論としてではではなくあくまで判断材料を得るのが目的なのだとしたら、ありでしょう)

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