写真集『Flash』が放つ輝きに魅せられて

5年後の夏コミはC110。
これはもうイトウさんの為だけにあると言っても過言じゃねえ!

お疲れ様です。
コミケでお会いした推しの美しさに正気が消滅し、拘束されたハンニバル教授みたいな状態で緊急搬送されたともっぱらの噂の僕です。

ちなみに推しの美しさ以外は完全に嘘です。

でもイトウさんもウトラさんも超可愛いしさぁ……やべぇよな、夏コミ。夏の熱気に浮かされて幻覚見てたんじゃないかな、と自分を疑うくらい素敵な体験でしたね。
美人が目の前に二人もいるなんてこと有り得るんだね。ホントに楽しかった。僕はキョドりまくってたけどね!

さて、巷の噂では、一冊あるだけで家庭内不和から環境問題まで容易く吹き飛ばし、果てには緑なき砂漠に雨が降る凄まじい癒し効果があると言われるイトウさんの写真集。
今回もその感想、もとい怪文書を書いていこうと思う。

まずはあいどろっぷす氏に敬意を。
ウトラさんを含めた御三方の協力のもと、写真集が販売される度に僕の部屋には家宝が増えていく。
家宝が多くて困ることはないので、これからも写真集を出される度に買う所存です。
あいどろっぷす氏は常に素晴らしい作品を作られる方だ。もはや写真集を開くたびにノックアウトされている状態なので、今度からは先に白旗を上げてから読もうと思う。完全に降参です。



本文

夏コミ新刊セットにはそれぞれ違う感覚を抱いた。
菊花を意味する『Mum』の名を冠したあちらには、さながら一面に広がる花畑のような柔らかさ、そして鮮やかさがあった。色や形の違う花々が思い思いに咲き乱れる幻想の花園。
そして『Flash』は、例えるならば宝石箱だ。
それぞれが淡く、眩しく、時に透き通るような輝きを持っている。エイシンフラッシュの几帳面さを表すような精緻な美を写しながら、それぞれが目も眩むばかりの光を放つ。
この異なる美しさを同時に手元に置けるとは、なんと幸せな事だろう。心の底からそう思った。

詳細に語るためには、まずは表紙からだ。
凛とした佇まいがなんとも麗しい。
クリークの青とはまた違う青い瞳は、ブルートパーズのように透き通った美しさを湛えており、口端が緩く上がった口元は薄い桃色で、まるで薔薇の花弁のよう。
そしてすらりとした四肢が形作るポージングは凛々しさを感じさせる。
この麗しき被写体に欧風な背景のデザインが相乗効果を及ぼすことで、芸術作品の領域にまで及んだ美しさを更に押し上げている。
右下に固有スキル名である「Scwarzes schwert」を記してあるのはデザインをされたウトラさんのアイデアだろうか。この細部までのこだわりがあればこそ、整然とした美しさを見るものの心に焼き付ける。
これぞまさしくエイシンフラッシュ。
誰もが見惚れる高嶺の花だ。

満足してしまうのはまだ早い。
「閃光のような鋭い輝きを放って先頭に立った その光の名はー」の文と共に、エイシンフラッシュの背面からの姿が映し出される。
表紙とは逆に、レイピアを携えた右腕がこちらの側へと映し出される構図に惚れ惚れとする。
武器が持つ武骨な雰囲気は、それを持つ乙女に重なる事で研ぎ澄まされた美しさを作り出す。

なので読み始めて数分もしないうちにエモみが濁流のように溢れ出てきてしまった。
まだまだ先があるのに、この尊さに耐えられるのかな……不安……。

しかしなんと心地よい不安か。もはやこの感情に身を委ねて揺蕩うしかない。
そう思いながら、僕の意識は水面の葉のように流されて行った。

黄色い部屋の中、夏制服でこちらに微笑むフラッシュがいる。小さな箱の中にいるようなスタジオのセットであることや、背景の色合いがスポンジケーキを思わせる為だろうか、さながら『不思議の国のアリス』のようだ。
どこかメルヘンチックな香りが漂う中で様々なポーズを見せるイトウさんのエイシンフラッシュ。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と讃えることが相応しかろう。
些か古風な言い回しではあるが、美しさを讃えることに時代など関係ない。美には時代も国境もないのだ。

ページをめくった先には、内股座りのフラッシュと、カーテンを緩く掴みながらこちらを見つめるフラッシュが並んで映し出された。
一瞬どちらと目を合わせるべきか躊躇ってしまう。
どちらも美しい。どちらからも目を離したくない。
なぜヒトの目は2つもあるのに片方ずつ情報を処理できないのだろう。
しかしここで左右を同時に見ようと挑戦し続けるわけにはいかない。
まだ見ぬ美しさがこの先にあるのだ。
航海に出る探検家のような気持ちで、後ろ髪を引かれながら次へと進んで行く。

夏制服を着た教室での姿が目に写る。
それが見開き2ページもの間繰り広げられる。
肩にギリギリで触れない長さの黒髪と、その佇まいの美しさは「清楚」という言葉のイメージそのものだ。
品行方正で容姿端麗な優等生。
そんな彼女が机の上に腰掛けている自由奔放な姿を見て、彼女の視線の先にいる人物との距離感を想像して思わず口元が緩む。それもまた青春の1ページだ。

そんな感情に浸る思考を、黒板に体を向けながら振り向いたフラッシュの眼差しが射抜いていった。


見透かされていたような気持ちのまま、写真集は進んでいく。
私服姿のシックな雰囲気が調度品とよく似合う。
名家の令嬢のような気品漂う姿で本を読む姿に思わず身が引き締まり、そうかと思えば白い上着を肩にかけて笑うフラッシュには心を和まされる。実に優雅だ。
そうなった先で「今日は貴方のスケジュールを私にいただけますか?」と問われてしまえば、否と言う選択肢がこの世界から一つ残らず消え失せてしまう。

ベッドの上からこっちを見る構図はまるでご令嬢に揶揄われているかのようで、見ていてなんだか照れ臭かった。




私服の後には勝負服だ。
ディアンドルの各部に皮ベルトのような装飾が施したエイシンフラッシュの衣装は素敵だ。
両手で剣を立てる姿は麗しき騎士のよう。
普段はほんわかした表情の印象が強いのに、本気を出すと急にかっこよくなるイトウさん本当にすごい。
そしてTwitterの投稿曰く、実は真顔の撮影が苦手でつい笑ってしまうらしい。かわいい。どこをとっても可愛いなんて、可愛さ世界遺産か?もはや可愛いの概念そのものな気がする。

話が脱線したけれど、その後に続く写真が本作で僕が一番好きなポイント。『SPA CREEK』の時の怪文書で書いたけど、イトウさんは淡い光がとても似合うんですよ。
シャンデリアのようなライトに淡く照らし出された笑顔は見るものの心を優しく照らしてくれる。
そして勝負服とお城風なセットが合わさると、まるで舞踏会の一幕のよう。
見つめる二人の背後では他の招待客が優雅に踊り、テンポ良く語り合い、一夜の催しを楽しんでいるような気すらしてしまう。
そんな妄想の中でThe Driftersの名曲、『Save the last dance for me』の一節が脳裏に浮かぶ。

愛しい人よ、ラストダンスはどうか私に。




同じ衣装でも、やや暗い背景では先程とは大きく雰囲気を変える。
闇夜に浮かぶ月のような美しさを見せるのがイトウさんの魅力、そしてあいどろっぷす氏の技量だ。
三日月のようにシャープな美しさも、満月のように優しく照らす美しさも、イトウさんの表情ひとつ、あいどろっぷす氏の画角一つで思いのままだ。
緩急を見せる美の化身に完全に魅せられてしまった。
たった二つのセットで作り上げられた切ない夜が、僕を捉えて離さない。

しかしいずれ夜は更けていくもの。
寝起き姿のフラッシュを見た瞬間に、庇護欲のような感情が満ちていく。なんだかパパになった気分。

布団にくるまる姿が可愛い!眠そうに目を擦るのも可愛い!目覚ましを止めるのも可愛い!
良さみ、尊み、ありがたみ。三つ揃ってもはや神!

このタイミングで油断した姿を演出されると、尊みが大爆発して県ごと消し飛んでしまう。
俺が爆心地!

起き上がってこちらを見るのも、少し体を傾けるのも、全てがエモみで感情を袋叩きにしてくる。
朝の支度まで見られるとあってはもはや同棲シチュ。ファンの心をくすぐるのが本当にお上手。
クラクラするほどに惑わされてしまう。

これを知らずに生きる人生のなんと味気ないことか!偶然にでもこの文章を読んだ方の中に、未だ『Flash』をお持ちでない諸兄がいるのであれば是非とも手に入れてほしい。後悔はしない。むしろ買わずにいた自分を後悔するだろう。

危険なまでの可愛さといえば、コレクト・ショコラティエ衣装もなかなか。
こんなの幼い女の子にでも見せたら、一発で将来の夢がパティシエになるレベルの甘さですよ!
それだけ甘いのに、溺れるような甘さではないのはエイシンフラッシュだからだろう。
デコレーションで見目鮮やかに整えられたケーキのようだ。一つの衣装、一人の被写体に、色とりどりの色彩が飾り付けられているような華やかさがある。
特に最後の、手紙を隠し持ったまま浮かべる恋するような表情がいじらしい。
その思いの先で彼女の作り出す恋はどんな味なのだろう。
甘酸っぱいシトラスのような味わいだといい。
ほろ苦いビターな経験でも、きっと彼女を素敵なレディにしてくれる。
恋とはまさに魔法で、フラッシュは今その中にいる。
そんな恋への憧憬に浸ったまま、この本は終わってしまった。


夢の時間というものはとても短い。
たとえ実世界でどれだけの時間を費やしていたとしても、体感では砂時計の砂の一粒が落ちるより早く過ぎ去ってしまう。
かくも儚い一瞬の幻影。なんと狂おしいことか。
それが一冊の写真集となれば尚のことだ。
本を開く度、時間はその姿をすっかりと潜めて数十ページの向こう側で勘定をしながら待ち構えている。
やはり感じる時の流れと実際の時間が合わない。
そんな様子だから、きっと千ページあったとしても一瞬に感じてしまうのだろう。
気付かぬうちにタイムスリップをしてしまったようだ。



今回の最後に、イトウさんへ

Twitterで偶然に貴女のお写真を見た瞬間に、貴女のファンになる事を決めて本当に良かったと思う。
ファンの端くれとして応援することができる日々は今も輝いていて、時折夢を見ているんじゃないかと思ってしまうほどだ。

同時に、覚めない夢があればいいと思ってしまう。
終わることのない、甘く鮮やかな夢があればと。

そしてその思いは、写真集を通して貴女の姿を見る度に叶えられる。そんな写真集が複数あるのは、日々を生きていく上でとても心強い。
貴女と同じ時代に生まれてよかった。
貴女と同じ世界に生まれて本当によかった。
だからこそ、僕が感じる喜び以上に貴女の日々が幸福であることを祈りたい。
人生というものはとても長い。時に笑い、時に涙することもあるだろう。それでも最後には「よかった」と笑える人生が貴女にあってほしい。
一ファンにすぎない僕にできることは何もないけれど、それでも祈ることくらいはしていたい。

美しい人よ、どうか哀しみの涙を落とすなかれ。



荒斑泥

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