甘いマチネに恋をして 『PETITS FOURS』怪文書

オタク、こないだ島谷ひとみさんの『Camellia』って曲を聴いてて思いました。
サビ前の歌詞、推しに捧げてえなって。

「出会い、別れ、繰り返しても、あなたはとても美しい花」

今まで貴女にどんな出会いがあったのかなんて、オタクはちっとも知りません。
どんな別れがあったのかもオタクはまったく知りません。
だってオタクの踏み込んでいいエリアではないし。

けれど、オタクは今日も願ったのです。
貴女に楽しい出会いがたくさんありますように。悲しい別れはありませんように。

ファンとしての年月を重ねても、やっぱり少しも変わらない想いがあるのです。

やっぱり推しの幸せが一番だなって。


さあさあ、今回も怪文書が収穫の時期を迎えました。
時間がかかった割に短いのはオタク濃度が高すぎて薄めたせいです。なんなら『plus』のほうも怪文書を作るつもりなので、合わせると結局はそれなりの文字数になっちゃうし……

それはさておき、ニコニコ超会議が先週終わりましたね。
イトウさんがRTした他の方達の報告ツイートを見ながら落ち着かない1日を過ごした土曜日、ドキドキのあまり目覚まし時計より早く飛び起きた日曜日の朝。
そしてたどり着いた海浜幕張駅。
迅る気持ちに追いつけずに半分幽体離脱しながら歩いてた気がします。
そして列を見つけて、並んだ瞬間に喜びは最高潮!
もう見つめる目が離せなくて、不躾ながらずっとポーズをとるイトウさんを見ていて。
……なんだけど近づくほどに涙腺が緩んできちゃって、目の前に立った瞬間につい泣いちゃった。
なんなら翌日に家で思い出してもう一度泣いてた。

コミケと違って、被写体として振る舞うイトウさんを見る事ができた喜びがあった。
初の晴れ舞台で、その美しさを発揮するお姿が眩しく映ったというのもあった。
その舞台にたどり着くまでの、イトウさんの辿ってきた道のりを想像したら気持ちが溢れてきたせいもある。
でもやっぱり一番は、ファンとして"推し"の目の前に立つ事ができる喜びだったんじゃないかと思う。
尊敬し、敬愛し、ファンとして深く惚れ込んだ相手に会う事ができるというのは、やはり何よりも嬉しく、幸せな瞬間だった。

今でも思い出すたびに少しグッとくる。
きっとこれからもそうなる。
そんな気持ちを宝物のように抱えながら歩いていくので、これからの未来はきっと薔薇色だ。
大平原だって摩天楼だって、この気持ち一つで全部薔薇色に染めてみせる。それくらい大きな希望をもらった。

だからイトウさん、ありがとう。
貴女がいるから人生はこんなにも楽しい。
推しがいるって素晴らしい。
そんな気持ちをありがとう。

そして、今回のカメラマンもあいどろっぷす氏だ。
しばらく前から、日々のお写真でも氏のお名前が上がるだけでも嬉しくなるようになってきた。
これが……恋……?(トゥンク
イトウさんという推しがいるのに浮気だなんて……!アタシ……!!

いや嘘です引かんといてください。警察だけはマジで勘弁してください。
オタクは若干人相が悪い成人男性なのでシャレになりません。

悪ふざけはともかく、今回もこうして氏の作品に目を通し、感想を書けることを心より嬉しく思う。
何度も何度も氏の作品を繰り返し見て、「この部分にはどんな意味があるのかな」と頭を捻る時間がとても楽しい。
巨匠の作品に秘められた謎を探るというのは、まるで映画の主人公のようでワクワクするのだ。
だから今回もとても楽しい時間を過ごせた。
今回も文章越しに拍手を送らせて頂きたい。
ブラボー・マエストロ!

さ、それじゃ湿っぽくなりすぎないうちに始めましょっか。

まずは表紙!
イトウさん、ウトラさんの御両人がおっしゃっていた通り、洋菓子の箱のように瀟洒なデザインだ。
これを作りあげたウトラさんの卓越したセンスには、毎度のことながら脱帽する。
4枚の写真を囲う枠が違うという細かさも素敵だし、タイトルの下に衣装の名称が書かれている所のメニューっぽさも可愛いデザインだ。

裏表紙の成分表記もたまらない。書かれている全てがこの本には詰まっている。看板に偽り無し。真実だけが書かれている。さすがはイトウさんのご友人だと深く頷いた。

ここでウトラさんについても触れておきたい。
なぜならウトラさんもまた推しであるので。
先に念のために言っておくと、ウトラさんが推しであるのはイトウさんの友人だからという理由じゃない。きっかけはそうだったけども。

しかしサークル110の作品を手にし、レイアウトや色使い、遊び心などの優れた才覚に触れるうちに、気がつけばウトラさんのファンにもなっていた。
優れたアイデア力と、それを実現する腕前を持った才女だ。なにより美人さんである。全部が応援する理由になるのだ。
今回も素敵なデザインを見ることができて、とても嬉しい。
なので今日も応援の気持ちを抱いている。
例えば「季節の変わり目だから寒暖差や気圧の変化に気をつけてー」だとか「無理に頑張ると余計に空回りしちゃうから、休むべき時はしっかり休んでー」だとか。
心配の気持ちが先走って迷惑にならないか不安だけれど、今日も僕はウトラさんのファンでもある。


さて、それじゃあ肝心の中身にも触れていきましょう。本の通りに、順番に。


"blueberry cheesecake"

ブルーベリーは甘美なときめき。
爽やかで芳醇な一時ひとときは何にも変え難い奇跡の欠片。
ひとつつまんで覗いてみれば、きっとあなたも逢えるはず。
紙片に住まう妖精に。



まず触れるべきは文字列だ。
果実・・」の部分からボディラインに合わせて揺れる文字列は後半がカタカナになっていて、ちょっとイケナイ雰囲気を醸し出しているのがお上手だ。「甘酸っぱい」を文字とデザインで見事に表現している。

次に構図の素晴らしさにも触れておかねばならない。
今回の本は肌面積が多い衣装だからこそ、イトウさんのスタイルの良さがハッキリと映し出される。ウェストの細さ、腰のくびれ、肩から首にかけてのラインの流麗さ、その他諸々。
そしてそれらが白い背景と合わさることによる存在感!

その中で披露するポーズの数々は素晴らしい。
言葉で完璧に表せない苦悩から筆を折るか悩むほどに。
「あれ?スマホで打ってるから折るのはスマホ?そりゃまずい。やっぱやめた。やめるのをやめた」
とならなければこの怪文書は生まれていなかったでしょう……

1枚目であればそれらの要素がある中での階段にしなだれ掛かるポーズだからこそ、細身なボディラインが強調される。

次のページでの見開き2枚では、階段の途中での仕草から、恋人の元へと駆け出すシーンのような恋物語を連想させる。不思議そうな表情から快活な笑顔が弾ける瞬間が眩しくてたまらない。
きっとこの甘酸っぱさは青春の味だ。

その青春の味に浸ったまま進む先では、横向きで上体を伸ばす姿での流し目の爽涼さが目を惹く。

そう、目が好きだ。

隣のページでも視線の違いが素晴らしいのだ。
美少女のお手本のような綺麗な目、小悪魔なにんまりとした半月型の目、小動物チックなつぶらな目、ハッとするようなぱっちりした目。
その視線たちが、心に忘れられぬ思いを刻んでいく。

僕の抱えたちっぽけな悩みに、甘いジャムを塗ってくれる。
そのままでは苦かった気持ちも、頬張った瞬間に笑顔になって呑み込めてしまうスイートな魔法。
そんな不思議な力が、この人にはある。

と、ここで衣装を直すような仕草は反則すぎません??
ていうかお肌綺麗すぎせん??肌年齢5歳児か???
ちなみにオタクは精神年齢が5歳児です(ドヤ顔)

そんな5歳児、ドキドキのあまりしばらく顔をおさえてバタバタしてましたが、チラ見した隣のページでイトウさんが大きく写っていることと、やっぱり素敵な笑顔をしていることに気づいてもうニッコニコ。
せ、精神構造が単純……!
でもこのページも次のページも、笑顔がとっても輝いてて素敵なんです。
この笑顔に勝る宝はないですもの。

白く輝く歯、桃色のみずみずしい唇、弓張月の様な綺麗な目。どれもこれもが心を掴んで離さない。
何千回、何億回見ても飽きない美貌なのだ。


しかしイトウさんは顔が美しくてスタイルも性格もいいだけじゃない。
次の3枚は、髪の活かし方がとても素晴らしい。
撫で付けるように触れたり、指に絡ませるように添えたり、一房を摘んでみたり。
自分の髪を弄んでくるくると動き回る指先には、光が宿って見えた。
まるで天から降り注ぐ光のように、眩しく優しい光が。

そんな姿に見惚れていたら、右下の写真の白いソファが大きな翼に見えてきた。
正体表したわね。実は人間のコスプレをした天使でしょう、イトウさん。道理で綺麗なわけです。

最後のページでは、そんな天使様の送る視線がこちらに向けられていたものだから「やっぱりこの瞳には勝てないな」なんて苦笑した。


"pistacio cake"


目にした瞬間!衝撃!稲妻の如く!
全身を駆け抜ける10000ボルトの電撃は、ビタミンカラーの高圧電流!
パステルな彩りの金髪イマドキガールが魅せるのは、プールサイドの香り漂う常夏のフレッシュスタイル!


エナジーチャージ、正に。
やはりウトラさんのキャッチコピーは素晴らしい。一言で核心に触れる真理性があり、それ故にその文章能力に羨望の眼差しを向けている。

そしてあいどろっぷす氏の表現能力にも感心しきりだ。
顔に掛かる観葉植物の影が夏らしさを増幅していることや、ライティングや影の使い方によって、水の一滴がなくとも"夏の水辺の熱気"とも言えるような雰囲気を写真から溢れ出させている。

白いライトでは真昼の活気!
オレンジのライトでは夕陽の郷愁!
どちらも本当に素晴らしい。

そして同時に、その違いに合わせて雰囲気を変えて見事に魅せたイトウさんの表現能力にも畏敬の念を抱く。
変幻自在の女優アクトレス。今日も我々ファンは貴女の姿にゾッコンだ。

2枚目のイトウさんのウィンクを見れば、誰だってその感覚がわかるはずだ。風に舞う鳥の尾羽のように軽快な睫毛は、果実のようにほんのりと色づいた頬の上に降り立っている。
その麗しさに見惚れぬ道理はない。
だからこそ右手で作ったVサインは、決して曇らない輝きを放つ勝利の証なのだ。

そんな姿で体を起こす3枚目。
クールな視線はカリスマ性を持っていて、隣のページとのテイストの違いに酔いしれる。
複数持つ顔のどれもが麗しい。ブリリアントカットを施されたダイヤモンドのような御方である。

そしてページを捲れば、前述のオレンジ色のライトだ。
夕陽を浴びた姿を見て、脳裏でオリジナル・ラブの『サンシャインロマンス』という曲が流れ出す。

「光る波 誘われる君は、その瞳に何を映すのか」

口笛を吹くように窄めた唇と、どこか遠くを見つめる双眸が情緒的だ。
夏の1日が過ぎ去っていく速さに拗ねているような表情が情緒的で、続くページの動きまでを繰り返し、繰り返し、読み返してしまった。
こちらに手を伸ばす仕草、揶揄うように背を向ける仕草。
ちょっぴり上から目線だったり、決めポーズを取ってみたり、何かを待っているような表情や、愛くるしさを振りまく姿。そのどれもが至福の時を与えてくれる。

オレンジの光に包まれて日焼けしたように見えるのは、新たなイトウさんの可能性のひとつ。
小麦色の肌は太陽の口づけだ。

ギャル成分強めなのがいいですよね。
スパークリングなギャル風味と、夕日の作り出す仄かな苦み。
するりと消えていくのに忘れられなくて、もう一回、もう一回と読み返す。
やっぱりイトウさんの作品好きだなぁ。感情を揺らすのがうまいんだ。
本を開いた瞬間に感じたことが風となって心を揺らして、風鈴のように澄んだ音を立てる。
それが心地よくてまた本を捲るし、また次の風を求めてしまうんだ。

場面は変わり、次は白一色の無機質な部屋と透明な椅子に。
そんな中にエネルギッシュなイトウさんが煌めいていて、画面の中のコントラストがお見事だ。
透明な椅子だからこそイトウさんのスタイルも、衣装の可愛さも余すところなく表現ができる。
その二つもあって、計算されたアーティスティックな美しさがあった。

個人的な好みで言えば、鏡があることも重要である。
イトウさんの背中の綺麗さは言わずもがな。それと同時に美しい表情での表現を得られるというのは"華麗"の一言に尽きる。
左肘の下で広げた手が、鏡の中ではピースに見えるという、角度による印象の違いも面白い。
だから実体のイトウさんと、鏡に映るイトウさんの虚像が好きだ。

ここで忘れてはいけないことがひとつ。
おそらく小道具類はイトウさんの自作である!…かもしれない。
見た感じおそらくそう。きっとそう。違ったら鼻で笑ってください。

自作という前提で話を進めると、そのオリジナリティがファンとしてはたまらない。
髪飾りが大粒チェリーひとつであるのはスッキリとした印象と快活さがあるし、チョーカーもリストバンドもイメージに合わせた快活さがあって「ビタミンカラー」という語にピッタリだ。
ハイヒールは透明な椅子のある部屋にマッチしているし、それを抜きでもギャルという雰囲気に合っていてベストチョイスだと思う。

だから当然、この衣装でのお姿も大好きだ。


"chocolate cake"

メロウでスマートな大人の恋は、固まった心を優しく溶かす。
大人は夢だけじゃ生きていけない。
だけど夢がなくちゃ、あの空には何も見えない。

ビターな愛に包まれて、今日も誰かが夢を見る。
夢見る気持ちをくれるひと。


愛嬌、美貌、気品、優雅さ、洗練さ。
そしてピュアでミステリアス。
人が持ちうる全ての美点を兼ね備えたそのお姿が今ここにある。本の形で手元にあるのだ。

あらためてこの胸の高鳴りを叫びたい!!!
空に爪痕を残すくらいに大きな声で!!!

いや普通にドが付くほど近所迷惑なのでやりませんけどね。

でもそれくらい素敵な推しです。
だからこそ、くびれショートなヘアスタイルが似合いすぎるイトウさんを見た瞬間に意識が飛びそうになった。
童顔にも大人の女性にも見える神秘的な表情との組み合わせがたまらなく良い。
だっていうのに、髪のサイドを少し編み込んだオシャレさまで上乗せ。もう言葉にできないほどに可愛いのだ。

ところでストラップ部分についたフォークは、唯一この衣装でだけ銀色だ。
繊細な彫刻を施してあるこの飾りは、ライティングによって光を強調していたり、彫刻を残していたりと小さく活躍している。
こういった遊び心が楽しい。さすがはあいどろっぷす氏だ。

足元に満ちたハートやチョコレートの箱も、この衣装の世界観が一目でわかる巧みなセット。
ハートはロゼピンクやワインレッドと落ち着いた色合いで、それがパープル主体のこの衣装によく似合う。

クッションを抱えたポージングなんてあざと可愛くってもう最高!
可愛い女性が可愛いことをしてるのって、「自己理解度高ぇ〜〜!」ってなっていいですよね。
そうです。あなたは世界一可愛いんです。だからもっと可愛い姿を我々にたくさん見せてください。

靴の裏が見える足の伸ばし方もまさにそれ。
大人な女性がわざとするおさなげな仕草。
甘えられているような感覚でみんなイチコロじゃありません?

そこからチョコレートを差し出す仕草の純情さよ!
ギャップ萌えが世界一上手い人。
超絶可愛い姿から、また別の究極可愛い姿で作るギャップ感!カワイイ天国やここは……

頭を両手で包み込むポーズなんか、新時代の女神様って感じで素敵だ。
時代の最先端をいくようなスタイリッシュさ。首筋や鎖骨が繊細さを表しているし、髪の光沢は光の冠として女神様の髪に鎮座する。

見透かすようなクリアな視線が胸に刺さる。
まるで光芒が生み出した幻影のように、はっきりとしているのに捉えどころのない超然的な美しさだった。

続く4枚にも触れていこう。

左上。
太腿の間に両手を通すポーズは王道だ。王道故に誰もが愛する素敵な仕草だ。
そしてチラリと見える耳。これもチャームポイントであるので、角度も含めて最高だ。

左下。
化粧品の広告のように洗練されていて、澄んだ美しさがある。
振り向いた表情は自信に満ちていて、大人の余裕とアピール力を感じさせた。
目線一つで世界が変わる。微笑み一つで誰もが見惚れる。イトウさんはそんな美麗さを新たに示して見せた。

右上。
表紙で見た一枚だ。
影の出来た背筋は、他の写真でも見る美しい立ち姿を形作る重要なピース。その証左だ。
右腰から背中にかけてのくびれも美しい。
つまりイトウさんのスタイルの良さを再確認できるショットというわけだ。重畳である。

右下。
白い歯を見せて笑う美人というのは、やはりそれだけで人の心を奪う魅力がある。
寝そべるだけで肋骨の下部が浮かび上がるウエストの細さもさることながら、あらためて際立つ腕の細さと肌の白さ。
星屑を取り込んだようにキラキラとした瞳も麗しい。

新たに開いたページでも、やはり可愛らしい人だと心底思わされた。
これは表情とポーズの魔法だ。
ポーズは無防備なようでいて、唇に這わせた指先に誘導されているような感覚を覚える。
きっと全て、この人の手のひらの上だ。
そんな空気感にくらりとしてしまう一枚だ。

隣のページがそこに追い打ちをかける。
髪のくびれとサラサラ感が綺麗なウィッグだから、動きに合わせた髪の変化がたまらない。
見上げるような仕草も、屈託のない笑顔もそれを加速させる。
もっともっとイトウさんの写真が見たい。
そう思わずにいられない。

ラストの一枚は、眠ったような姿が次の"shortcake"との連続性を思わせる。

「甘いユメを一緒に…。」という言葉がこの流れにピッタリだ。
大人モードな彼女が夢見る別のワタシ。
それは秘めたる願望か、あるいは別の可能性なのか。いずれにせよ、どんな姿でも可憐なことに変わりはない。
閉じた両目から伸びる睫毛、そしてアイラインの曲線は、風にそよぐ穂が作る波のように穏やかで優しかった。


"shortcake"

最後に辿り着いた甘いユメ。
ホイップクリームの海を泳ぐ人魚姫に誘われ、純白の世界をどこまでも。
無垢な少女と揺蕩う波間。


なんと愛らしい姿だろう!

前髪の別れ目と纏まり感もさることながら、サイドの緩いウェーブはふわふわで柔和な雰囲気。
三つ編みを丸めた髪型は、三つ編み特有のもこもこ感と、赤白チェックのリボンとイチゴの装飾によってキャンディのようにスイートだ。
こんな姿を見せられては、ますます真剣にページを読み込まねばなるまい。

やはりイトウさんのロリ表現は大好きだ。
作品やキャラクターごとにその方向性は違うけれど、今回の場合は成熟を予感させつつも未だ汚れを知らぬ、時の流れの中にいる一時ひとときの少女といった感じ。

さらにショートケーキという題材をもとにした表現も素晴らしい。
"きめ細やかなクリームのなめらかさ"であったり、ケーキというイメージが持つ"目にした瞬間の弾む気持ち、特別感"を思わせるイトウさんの世界観は舞台劇のようにファンタジカルであった。
それこそ昼公演マチネなんてタイトルをつけるくらいにそれが好きだ。

写真自体に話を戻す。
白磁のような御御足おみあし、細い手首、肩の華奢さは少女感を補強し、触れれば壊れてしまいそうなほどに繊細だ。
赤いクッションを脚と肘で挟む姿は、こっそりと育てている少女の秘めた恋ゴコロを思わせてラブリーだった。

隣のページの2枚。これも連続性が愛しくてたまらない。思案をするような表情で視線を逸らしてから、何かを思いついた表情でこちらを見つめる。
そんな連続性だ。
たった2枚でここまで生き生きとした物語が生まれるのは、やはり写真の配置が上手いから。イトウさんのセンスはこんなところにも光っているのだ。

肘から上を上げるポーズは子犬のようにキュート!
前髪の両サイドは重力に引かれながらゆるりと伸び、体の上に着地した瞬間にかりそめの自由を得てふわりと形を変える。それが思わせる儚さが好きだ。

横座りもいいものだ。これを佳人がやるだけで、鼓動がうるさくて仕方ない。
しならせた体は、やはり肋骨の下部が段差を作っていてウェストの細さを見せつける。
そして首元ではネイルと首飾りがそれぞれ異なる光を放ち、思い思いにイトウさんを装飾している。
そう、光すらイトウさんの味方だ。

続くページでは、唇に人差し指を当てる仕草が可愛すぎた。この可愛さを処理できずに、脳がショートするかと思うほどだった。
この一枚と隣の一枚は二重瞼が目立つ分、エキゾチックな美しさを感じさせる。
いままでshortcake衣装で表現していた少女は、今この瞬間に繭を脱ぎ捨てて羽化した。
アンニュイな微笑みで視線を逸らす表情と、しっとりした雰囲気の右ページ。
そこに生命の美は燦然と輝いているのだ。
同じ衣装と髪型でもここまで雰囲気が変わる。
何度でも言おう。素晴らしい表現能力だ。

続く写真はお腹がメインのショットだ。
包み込み、温めるような両手から感じる優しさ。
腰元では、フリルとイチゴの飾りが小さな花のように咲いていた。
静謐で神秘的な光景だ。時間は絹のようにゆったりと、すべやかに流れながら肌を撫でていった。
思わず時を忘れていた。

我に帰って視線を右へ。
すこし特殊な見方かもしれないけれど、顳顬こめかみから伸びた地毛が耳にかけられてできるアーチが好きだ。
他のウィッグでは髪の長さなどで目立たないこの部分。しかしこのウィッグでは、髪色に近いこともあって自然に見せている。
そういった"素"の部分も活かした雰囲気作りが、イトウさんのファンとしてはたまらないのだ。

それに、唇に指先を当てる仕草も最高だ。
このページでのその仕草は、片思いのように甘い香りが漂う一途な一枚だった。
だからこそ、記憶に残るに違いない。

残り少ないページをめくる。
少し斜め上からのポーズは、実際に会った時のイトウさんの華奢で可愛い雰囲気を思い出させてくれた。
小柄にしてスリム。全身は小顔に合わせて作られたように整っていた。
人形のように愛らしいのに、見れば見るほど大人の女性としての魅力を感じるその美貌。
それをフラッシュバックのように一度に思い出したから、すこし放心してしまっていた。

隣のページ、上の写真で膝を抱え、体を丸める姿は、天から舞い降りる白い羽根のようだった。
羽毛のように軽快で、魔法のように不思議な姿だ。

その下の写真では、顔や肩周りのみにピントが当たっているせいでとても距離感を近く感じた。
あなたが近づく。時間は遠のく。
目の前にいる人から目が離せなくて、そのせいで他を見る余裕も無くなってしまうといった感じの青春ショット。
これも素敵だ。大好きだ。

最後の一枚。
眠る姿は柔らかで、暖かで。
緩く上がった口元は、ほころびはじめた蕾のように幼気いたいけだった。
夢の中の少女が夢見るとき、つまりお別れの時間だ。
後ろ髪を引かれる思いで、写真集の本題は終わった。


"After talk"

これについて、僕は敢えて内容を掘り下げることをしないでおこうと思う。
なぜならこのページを本当に楽しめるのは、ここまでしっかりと写真集を読んだ者だけだからだ。
万に一つ、億に一つ、『PETITS FOURS』を読んでいないのにこの怪文書に辿り着くというミラクルを起こした人がいれば、絶対に今すぐ買うべきだ。
そんな小数点以下の確率ですら気にするほど、このパートは重要なのだ。

その上で僕が書いておきたいのは、こうしてイトウさんがどんなイメージを持って撮影に臨んだか、イトウさんの中でこの衣装の姿はどんなキャラクターとしていきているのか。それを垣間見れる瞬間が僕は大好きだ。
自分が抱いたイメージに類似していれば「やっぱり〜!」とはしゃいぐ。
予想外のものがあれば「なるほど!」と叫んで、広がった視野を確かめるために読み返す。
それが楽しいので、最後にこの部分があるのはとてもありがたい。
なにより僕はイトウさんの文章のファンでもあるので、次のページも含めて噛み締めるように読んでいる。なので今回も心より楽しませていただいたことを、この場で改めて感謝したい。

ありがとうございます、イトウさん!
今回も最高でした!次の作品も楽しみです!





あとがき(読まなくていいオタクの妄言)

時々考えることがある。
僕にとってのイトウさんは、天から舞い降りてきた女神様で、世界を照らす希望の光だ。
わかってる。これは全て僕の妄想だ。
現実としてのイトウさんは、コスプレが趣味の一般人で、働いて、遊んで、笑って、たまに泣く普通のお姉さんだ。
だからいつか、引退する日が来る。
その時、僕は笑顔で送り出すのか、泣き出してしまうのか、今のところさっぱり見当もつかない。
なにもわからない。
けれど確かなことはひとつ。
やるべきこともひとつだ。
楽しむこと。シンプルだけど、これが1番の答えだと思う。
日々のお写真を精一杯楽しんで、全力の想いで応援すること。
あなたの作品は素晴らしくて、僕は毎日こんなにたくさんの元気をもらっているんだって、文字にして伝えること。
いつか終わりが来るその日まで、ううん、終わってしまったその先でも、良きファンとしてあり続けること。それだけだ。
そう在ろう。そうあれかし。


廻れ、廻れ、希望の車輪。
轍を残してどこまでも。
明るい方へ走っていこう。
朝陽が生まれる、その場所を目指して。
月が目を覚ます、その在処を探して。
雨が降っても大丈夫。
泣き止む頃には大きな虹が空にかかって
水溜まりの中にももう一つ。
それに気づいたあなたが笑えるように。
あなたの旅路が輝くように。
今日も私は祈るのです。
貴女の抱いた願いの先へ
いつか貴女が辿り着けるようにと。



荒斑泥

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