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『ペーパーマリオ』から離れてしまった人に勧める『オリガミキング』の魅力

7月19日(金)にNintendo Switch発売された、ペーパーマリオシリーズ最新作『ペーパーマリオ オリガミキング』。

私は3DSで発売された『スーパーシール』が肌に合わなかったことからこのシリーズには暫く触れていなかったのですが、今回の『オリガミキング』は非常に楽しむことができたため、紹介記事を書いてみました。

公式ホームページなどで公開されている以外の情報は控えていますので、ネタバレが気になる方もご安心を。

変化するペーパーマリオシリーズ

ペーパーマリオシリーズは、紙でできた世界をペラペラのペーパーマリオが冒険するというコンセプトは保ちつつ、そのゲームジャンルを変化させてきたシリーズです。

N64の『マリオストーリー』とGCの『ペーパーマリオRPG』はアクションRPGですが、Wiiの『スーパーペーパーマリオ』以降はアクションアドベンチャーとなっており、かつタイトルごとにバトルシステムが大きく変化するのが特徴です。

特に3DSの『スーパーシール』はシリーズの転換点となったタイトルで、「経験値・レベルを廃したバトル」「シリーズのオリジナルキャラの削除」「リアルな”モノ”の登場」などの要素により過去のタイトルとは全く異なる手触りのゲームとなっています。

私がシリーズを離れてしまった理由も、これらの大幅な改変によって「好きだったシリーズが別物になってしまった」と感じたことでした。
『スーパーシール』以降でペーパーマリオに初めて触れた方にはピンと来ないかと思いますが、一部のレビュー等で未だに不満が上がるのにはこのような背景があります。

『オリガミキング』は、アクションアドベンチャーに路線変更した後の特色が色濃く感じられるタイトルで、購入前は正直不安の方が大きかったのが本音です。
しかし実際にプレイしてみればその不安は杞憂に終わり、こうして紹介記事を書くほどに好きなタイトルとなりました。
ここからは、アクションRPGだったころのペーパーマリオのファンである私が、『オリガミキング』の何に魅力を感じたのかをお伝えします。

独自の魅力を持つバトルシステム

バトルシステムは過去タイトルから大きく変わり、マリオを囲む敵を整列させるパズル要素の強いものになっています。

オリガミキング_1

このパズルによる整列の恩恵が非常に大きく、整列成功時に最適な攻撃を行えば、大抵のバトルは敵にターンを渡さずに勝てるようになっています。
『オリガミキング』のバトル=パズルと言っても過言ではないでしょう。

とはいえザコ敵相手に毎回パズルを行うのはやはり面倒。
バトルのテンポ自体はそれほど悪くないのですが、レベルの概念がないこともあり積極的にバトルがしたくなるほどのものではない印象です。
(パズル好きの人はその限りでもないかも。)

個人的に面白かったのはボスバトルの方。
ボスバトルではザコ戦とは異なり、中央にいるボスに対してマリオの移動ルートと攻撃方法をパズルで決めていく形式に変化します。

オリガミキング_2

このパズルが結構奥が深く、「攻撃する部位」「攻撃方法」「HPの回復」「攻撃力の強化」などを全てパズルで組んでいくことになります。

複雑なルートを組むことができれば「HPを回復しつつ攻撃力を上げて、弱点の部位を攻撃」なんて芸当もできますが、ルートを組み間違えるリスクも高くなります。
正解が用意されていたザコ戦とは異なり、複雑なルートで攻めるか、簡単なルートで堅実に行くか、といった選択ができる点は戦略的であり、ボスごとに用意されたギミックをかい潜ってパズルを成功させたときには大きな達成感が味わうことができました。

パズル中心のバトルは好みが分かれるところですが、ゲーム性は高く『オリガミキング』独特の面白さが感じられると思います。

制約の中でも輝くキャラクターたち

私が『スーパーシール』で最も物足りなく感じた要素であり、『オリガミキング』を勧めたくなった要素、それが魅力的なキャラクターの存在です。

現在マリオを題材にしたゲームを制作する際には、キャラクターに関して重大なルールが存在するようです。
VGCに掲載された開発者インタビューには、以下のような発言があります

Since Paper Mario: Sticker Star, it’s no longer possible to modify Mario characters or to create original characters that touch on the Mario universe.
訳:『スーパーシール』以降、マリオのキャラクターに手を加えることや、マリオの世界に触れるオリジナルキャラクターは作れなくなりました。
(引用:https://www.videogameschronicle.com/features/interviews/paper-mario-origami-king/

この方針については、マリオの世界観を崩さないための任天堂の戦略かと思いますが、シナリオやキャラクターが魅力の一つであったペーパーマリオシリーズにとっては大きな制約となっているように見えます。
少なくとも『スーパーシール』において、個性的な仲間や敵キャラクターとのやり取りが薄く感じたのはこの制約による影響でしょう。

インタビューでの発言通り、今回もオリジナルキャラクターは非常に少なく、固有名が与えられているのは敵のボスである「オリー」と、冒険の相棒となる「オリビア」程度です。

オリガミキング_3

しかし『オリガミキング』は、この制約の中で最大限に魅力的なキャラクターを作り上げることに成功しています。
その代表例が、最初に仲間になる「ボムへい」というキャラクターです。

オリガミキング_4

過去タイトルの「ピンキー」や「バレル」といったボムへいモチーフのキャラクターと異なり、外見は汎用的な彼ですが内面は非常に個性的。
相棒であるオリビアとの掛け合いも豊富で、何かと天然気味なオリビアのツッコミ役として会話のバリエーションを一気に広げてくれるのを感じられることでしょう。

何より素晴らしいのは、このゲームをプレイした多くのプレイヤーが、このボムへいに対して共通の愛称を付けるであろう点です。
ありふれたボムへいである彼が、プレイヤーにとって印象的な”個”になる過程は、是非ゲームをプレイして体感して頂きたい。

さらに今作では、敵は「オリガミ」、味方は「ペラペラ」と棲み分けがされたことで、いつもは敵のクッパ軍団も味方としての出番が増えています。
彼らとのユーモア溢れる会話も、ストーリーを楽しませるアクセントとなっています。

オリガミキング_5

オリジナルキャラクターは少なくとも、『オリガミキング』にはストーリーを盛り上げてくれる魅力的なキャラクターがたくさんいます。
彼らの存在は、プレイヤーを飽きさせずにエンディングまで導いてくれることでしょう。

個性を得た”モノ”たち

『スーパーシール』以降のタイトルから登場し続けた、紙の世界には似つかわしくないリアルな"モノ"たち。
かつては強力なアイテム程度の扱いでしたが、今作ではボスキャラクターに昇格しています。

登場する"モノ"は厳選され、今回は文房具に焦点が当てられています。
過去に登場した"モノ"に比べても紙とのシナジーが増し、ペーパーマリオの世界だからこそ生きるアイディアが詰まった存在となりました。

見た目は文房具そのままの彼らですが、ボス化に伴うセリフの追加も相まって印象的なキャラクターとして記憶に残るでしょう。

オリガミキング_5

特に終盤で登場するある"モノ"は、文房具としての性質と性格、紙の世界とのシナジーが非常に良く噛み合ったボスキャラクターに仕上がっており、ラスボスを差し置いて今作で最も緊張感のあるバトルを演出していると感じました。

紹介映像で色えんぴつと戦い始めたときは正直不安しかありませんでしたが、実際に触ってみると今作のボスバトルはリアルな"モノ"が相手だからこそ光るものだと認識を改めさせられました。
それぞれの文房具の特性を生かしたギミックや攻略方法は、ゲーム的にもアイディア的にも面白く、一見の価値ありです。

まずは遊んでみて欲しい、と言いたくなるタイトル

エンディングまで遊んでみた感想としては、とにかく道中のイベントが見ていて面白く、飽きることなく最後までプレイすることができました。
ステージの構成にも工夫があり、オーソドックスなダンジョン攻略もあれば、テーマパーク内でのイベントを中心に進むステージもあり、ステージによっては散策用のシステムが追加されたりと、同じことの繰り返し感を削いでいるのも好印象でした。

オリガミキング_7

『ペーパーマリオRPG』が『マリオストーリー』を磨き上げた完成形であったように、『オリガミキング』からは『スーパーシール』以降のペーパーマリオシリーズが磨き上げてきた面白さの、一つの終着点を感じたように思います。

ペーパーマリオが気になっている方は、まずは手にとって遊んで欲しい。
シリーズに初めて触れる人が楽しめるのはもちろん、一度シリーズを離れた人にとっても、新しいペーパーマリオの面白さを感じられる良いタイトルになるかと思います。

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