ゲートルーラーの大会のあるべき姿とは

1.はじめに

先日行われたミニGPにて、リストに不備があったことを理由に2位入賞者が失格となり順位が繰り上げとなった。
そのリストはAアプレンティスでありながらデッキ総コストが51であり、侵略次元と赤桃の3色により構成されていた。
悪意あるミスというよりは、ゲートルーラーをはじめてみた!という方がスターターと通常弾1箱を剥いて作ってみたデッキのように見え、今回の出来事を悲しく思うのだった。
今回の被害者は失格になった彼であり、他の参加者であり、炎上しかけた主催店舗であると私は考える。この悲しい事故は回避できた。下記に私の考える回避方法を記載する。

2.ゲートルーラーのデッキチェックの困難さ

ゲートルーラーには少々厄介な構築ルールが存在し、それゆえにゲームが詰みにくいという側面こそあれど、競技シーンでのチェックが若干面倒であるというデメリットもある。
某ミニグランプリは参加者9名であるが、専用のフォーマットがないのであればその確認はそれなりに手間である。cnt枚数、デッキコスト。また、リスト提出時とその内容物が同一であるかどうかの確認、と考えると途方もない作業である。同名カードn枚、禁止制限レギュレーションあり、の方が幾分かチェックが楽で、一覧性も高い。

このまま非公開リスト制度を維持するのであれば、事前チェック可能なアプリケーションの準備や、指定フォーマット提出後のチェック体制を整える必要がある。

この制度を整えずに見切り発車してしまったことが本件の根本的な問題点であると考える。

3.提案「デッキ公開制フォーマット」

デッキリスト確認ならびにデッキリストの内容物との差異確認にはそれなりのマンパワーを要する。ひとつひとつ確認すれば大会の円滑な進行の妨げになりえ、怠れば今回のようなことが起きる。
では、その確認をユーザーに委ねませんかというのが提案「デッキ公開制フォーマットの採用」である。

⑴各自デッキシート持参の上、⑵対戦相手にそれを渡して⑶公開した上でゲームをする。
デッキコストや採用軍、カウンター枚数の確認を、ルール上プレイヤーに委ねることでスムーズな大会運営と後腐れのないゲーム経験を積むことができる。

デッキリストと内容物の差異確認は、適当なタイミングで大会中に、運営の任意のタイミングで一度プレイヤー間チェックを実施するという形で対応可であると考える。これはデッキ公開制だからこそ行える所作であり、これにより運営側の負担を増やさずに全体のデッキ確認を実施できる。

4.リスト公開制のゲーム感

リスト公開によるゲーム感の損失や、ゲーム性の変容を危惧する声もあるだろう。
結論から言うと、リスト公開制は別ゲーである。

①cntの裏目、セットカードの裏目
ゲートルーラーにはcntやセットカードの裏目をケアしながらの攻撃という発想がある。デッキ非公開であればカラーリングや公開領域(ダメージ、墓地)のカードからデッキの内容物を推測し、
殴って火力が飛んでくるかもしれない、
墓地からHP4が湧いてくるかもしれない、と予測した上で、最も相手にダメージを与えられる行動・順番を選択して殴ることが求められる。

リスト公開制によって、そういった点でのゲーム感が損なわれるかどうかという問いに対しては「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」と私は考える。

カードの種類を散らすことで、相手にケアさせる要素を増やし裏目を作って最適行動を阻害したり、頻出ギミックであるcntの構成要素を尖らせて相手の行動を制限したり、リスト共有時点での攻防が可能となりこれはこれで戦略性の高いゲームであるといえる。

ただでさえ先攻有利ぶん回り勝ちが横行する本ゲームにおいて、分からん殺し、分からん殺されの要素が薄まるのはゲーム経験的にも健全ではなかろうか。

②ベストプレイヤー賞
ミニGPには投票制の「ベストプレイヤー賞」なるものが存在し、公式は「いわゆる」カジュアル勢にも上位景品を入手できる余地を残している。

個人的にはガチor競技勢/カジュアルという線引きが嫌いなので極力使用しないようにしているが、勝てるデッキで勝ちにいく、好きなデッキで勝ちたい、限られた資産の中で勝ちたい、人によってゲームに投資できる時間や資産が異なるという事実は疑いようがない。

勝てるデッキで勝ちにいくプレイヤー以外を貶める意図はない、と前置きした上で、歴然としたデッキパワー差がある場合にゲームにならないくらいの大差が付く可能性がある、という点を強調しておきたい。

この点において、公式の想定する「いわゆる」カジュアル層がゲーム中の態度や人柄だけで賞を貰えるという点のみで有意義なゲーム経験ができるか甚だ疑問である。

ゲートルーラーの醍醐味のひとつデッキ構築に対して評価をしようとした際に、非公開BO1制ではあまりにもゲーム経験が積めず、評価のしようがないと私は考える。

ゆえに、リスト公開制を取ることでデッキ構築意図をディスカッションでき、またそうでなくても構築意図を推測してプレイヤー評価に繋がるのではなかろうか。

リスト公開制による「いわゆる」カジュアル勢救済の側面があると考える。

以上2点から、リスト公開制はゲーム性こそ変質するものの、ゲーム経験が損なわれるわけではなく、むしろ充実させうる一要素であり、デッキ構築ルールにおける不正・ミスを減らすことのできるシステムなのではないかと考える。

5.おわりに

私はミニGPという取り組みに対して積極的であったプレイヤーや開催店舗が、公式の準備不足により不利益を被ったという本件を非常に残念に思っています。
次から改善すれば良い、という発想もありますが、失格となった2位のプレイヤーや、当日の参加者のゲーム経験が損なわれたということに疑いようがなく、プレイヤー全体の不利益であると私は考えます。

一個人の提案ではありますが、この発想や考え方がプレイヤーに広く周知され、ゲートルーラープレイ環境の改善に繋がることを祈っています。

最後に、再びこのような案件があったとして、店舗やプレイヤーを叩くのはお門違いなので絶対にやめような!おわり。

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