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「とりあえず作る」の環境にいたデザイナーが「考えて作れる」人に成長するまで

初めまして。セーフィー株式会社(以下「セーフィー」)でデザイナーをしている馬場です。「仕事は真面目に、でも楽しく取り組む」をモットーに今日も元気に働いています

セーフィーはカメラの映像をクラウド化し、誰もが活用できる映像プラットフォームを提供している会社です。

デバイス写真入りクラウド

防犯カメラの会社と思われているかもしれませんが、クラウドサービスを提供している会社で、「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、映像を活用して社会をより良いものにしていくことを目指している会社です。
現在は防犯カメラとしての機能だけでなく、AI技術を活用し物体検知を搭載したカメラを使用し、無人店舗などでも利用の幅を広げています。

さて、簡単にですが、私の経歴を紹介します。
美術系の短期大学でデザインを学び、新卒で派遣系のweb制作会社に入社。
1社目は旅行系のコンテンツを取り扱う企業にて、バナー作成・LP作成などの業務を3年半程担当。
その後、事業会社に異動になり、同じくバナー作成・LP作成・印刷物やノベルティの作成などの業務を1年間担当。

セーフィーには2020年3月に入社、デザインセンターという部署に所属しています。
現在は主にサービスページ作成業務やUI/UXデザイン、印刷物のデザインなど幅広くデザイン業務を担当しています。

今回は、私がセーフィーで行っている業務内容や、デザインについて考えていることをお話したいと思います。

前置き:思ってたのと違った新卒1社目

これは美大あるあるだと思うのですが、作品の講評ってすごく怖いですよね。
私もそう思っていた学生の一人でした。一生懸命作ったものを、ここは何で何でこうしなかったの?ってすごく言われるじゃないですか。
苦手な分野の課題作品では「あなた、今までの生徒の中で一番ひどいネ!」って言われたこともありました。脚色せず本当のことですよ。原文ママ。

そんな環境でやってきたので、学生時代の私は、社会人になったら、きっと作ってきたものをクライアントにボロボロに貶されて、毎日終電まで働いて、怒られて辛いんだろうなー。と漠然と考えていました。

そんなことを考えていたのに何でデザイン職についたの?って思った人、いますよね。

絶対にやりたくない職業を消去して行った結果、せっかく美大を出たんだし、デザイナーをやるのが一番就職が現実的だなと思って突き進み。
結果的に、この選択をしてよかったと今では思っていますけどね。

さて、話を戻し……。社会人1年目は、私が想像していた世界とは真逆の環境でした。経歴を紹介した通り、最初の現場は旅行関連のバナー・ページのデザインをしていたのですが、作ったものを酷評もされず、特に直されもせず。待っていたのは、とにかく作ったものを世に出すだけの、作業的な仕事でした。

環境的には納期がとても短かかった(実は締め切り過ぎてました★ なんてこともザラにあった)のですが、作成物の確認をする人がデザインに精通した人ではないため、フィードバックをもらえず、クオリティーは気にしないからとにかく早く沢山画像やLP作って!というところでした。

新卒の頃は、その環境でもよいとは思っていたのですが、数年続けていると自分のスキルアップにも限界を感じ、ただただ同じ仕事を淡々とこなしていくだけの環境につまらないと感じるようになりました。
これは、後に転職を考える要因の一つになります。

さて、このドタバタな環境にあっけらかんとしたのはさておき…

数年働いたのち、同じような業務しか回ってこず、デザインの技術も上がらないので契約切り替えのタイミングで次の現場へ。

2社目に配属された現場は、最初の現場とは打って変わって働きやすい環境でした。
納期に余裕があるのはもちろん、きちんとデザインのフィードバックをもらえる環境です。こちらでは印刷物の対応も任せてもらえ、現在の業務に繋がるような仕事ができました。

しかし派遣のデザイナーの身、会社の都合で1年で契約終了に。

2つの現場を経験しましたが、新卒入社した大元の会社では立場上簡単な業務しか任せてもらえず、成長をあまり感じることができなかった上、給料がめちゃくちゃ安かったので、ここで思い切って転職するか!と就職活動を始めました。

そこで運よくセーフィーに拾ってもらい、現在に至ります。

「とりあえず作る」の環境から「考えてつくる」環境へ

「とりあえず作る」環境から「考えてつくる環境」になったのは、セーフィーへの転職がきっかけでした。

転職して最初に苦労したこと

2020年の3月、セーフィーに入社してまず初めに苦労したことは、今までの「とにかく急いでこれ作って!」という環境から一変して、情報を精査してもの作りをすることでした。

初めて担当した案件がオートスナップショット&タイムラプスのサービスのチラシ作成だったのですが、とにかく大変でした。

自動でスナップショットやタイムラプスを作成してくれるオプション機能のチラシです


私が入社した2020年当時はディレクターがおらず、担当した業務は自分で内容を集めて上長と確認しながらコンテンツを作成する環境でした。

作成するまでに何度も、「セーフィーのサービスを利用するお客様全てがITに詳しい訳ではないから、この情報じゃ伝わらないよ」と言われました。

自分も入社したてでサービスのことを完全に理解しきれていないし、専門用語もあるような情報の中から、どういう言い回しをすればユーザーに伝わるか、また、ユーザーはどんな情報が欲しくてこのチラシやページなどを見ているのか。

今までのスピードが求められていた環境から一変、デザイン作成以前に情報の選定にとても苦労しました。

現在は4名のディレクターがいて、デザイナーが業務を回しやすいように掲載情報の整理や他部署(営業や開発部門)との取り次ぎをしてくださっているので、本当に助かっています。いつもありがとうございます!

現状を解決するため、本を読んで考える

先の案件は試行錯誤し、上長に何度も情報を直してもらったのち、なんとか公開を迎えられました。が、このままでは試用期間中に解雇されてしまう…と本気で思っていた当時の私は、上長に相談して本を読むことを勧められました。それから、デザイン関連の本と、マーケティングの本を読み始めます。

セーフィーの社内にはIT系の技術書や本はもちろん、デザインやマーケティングに関する本も揃っており、勉強のために読みたい書籍は経費で購入ができます。

上長や同じデザイン職の人におすすめを聞いて、業務の空き時間に社内の本を借りて読み、勉強をしました。

セーフィーに入社した年に読んだ本の一部。ざっくりとした感想も書きのこしてあります

月1冊程度のスローペースですが、本を読み、得た情報を実践することは現在も続けています。

本を読み始めたばかりの頃は、あまり業務に生きている実感がなかったのですが、実践し続け1年半以上経った今は、デザインに関する視野がより広まったと感じています。

マーケティングの本は、今まで自分から手に取る機会がほとんどなかったため、新たな情報を知識として吸収することができ、とても新鮮でした。

お客様の視点になって考えること、市場のこと、マーケティングの心理学。本を読んで必ずしも全ての内容を理解できた訳ではありませんが、コンテンツ制作の際の掲載情報の整理や、ディレクターが引いてくれたワイヤーフレームの情報の確認、全てをワイヤーのまま作成していくのではなく、考えてコンテンツを整理するきっかけとなっています

私のおすすめの一冊

そんな私が今まで読んできた中で、一番おすすめしたい本は、前田高志さんの「勝てるデザイン」です

https://www.amazon.co.jp/%E5%8B%9D%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3-%E5%89%8D%E7%94%B0-%E9%AB%98%E5%BF%97/dp/434403693X

書店で偶然目に入り、なんとなく面白そうだから、と買ってみた本だったのですが、写真や図なども交えて紹介されているため読みやすく、制作する時の真面目な考え方から、肩の力を抜いて読める面白い内容まで書かれているため、とても面白かったです。

そして、巻末にデザインワークが付いているので、読んだ後に実践もできます。

この本を読んでから、デザインや情報を組み立てて考えていく過程が以前より格段に楽しくなり、苦手だった仕事も以前に比較すると楽しくこなせるようになりました。

この本の私のお気に入りのフレーズはいくつもあるのですが、今回はp.189の印象に残っている箇所を紹介します。

この言葉は著者である前田さんが学生にアドバイスをした言葉です。

『作る前に誰かにプレゼンするつもりでものづくりするといい』

「勝てるデザイン」前田高志(著) 幻冬舎

なるほどな。と思いました。
セーフィーに入社したての頃は、あれこれと感覚に頼りながら必死になってデザインを作成していたため、デザイン意図をうまく言語化して説明できず、直しをもらうことが多かったのです。

しかし、この一文を読んでから、「ここはこういう意図でこうデザインした」「ここはこうだからこのデザインの方が視線が誘導しやすい」など、以前より、より明確にデザイン意図を考えながら作成することを心がけるようになりました。

そしてそのデザイン意図をディレクターに伝えるとことにより、「だったらここはもっとこうしたらいいんじゃない?」と、より良くするために意見をいただけるようになり、仕事が楽しくなったことを覚えています。

こちらのデザイン意図がきちんと伝えられるようになってからは、上長も納得した上でデザインの戻しをくれるということにきちんと気づけたので、デザインの言語化の重要性をひしひしと感じています。

この本については、下記記事でも紹介しています!
https://project.gotanda-valley.com/contents6/

読書で知識を得るのはもちろんですが、セーフィーのデザインセンターには優秀なデザイナーが多く、困ったら適宜相談にのってくれますし、しっかりと作成物にフィードバックをいただけるので、そちらもとてもありがたく思っています。

実際の業務の流れ

さて、ここからは、セーフィーでの実際の業務の流れをご紹介してみようと思います。
一例として、Safie AI People CountのLP作成とチラシ作成の事例をご紹介します。
ワイヤーフレームをいただいてからデザイン作成が完了するまで、おおよ3週間〜1ヶ月程度かかったプロジェクトになります。

1.打ち合わせ〜ワイヤーフレーム

担当者と用件を打ち合わせたのち、ディレクターがワイヤーフレームを引きます。
XDなどでこのようなものがきます。

2.デザイン作業

その後、デザイナーの方で内容や要点を確認しながらデザイン作業を進めていきます。

作成中に不明点や追加したい情報が発生したらディレクターに相談して、さらに情報をつめていきます。

この辺りは、本を読んで得た知識を実践していくポイントだと思っています。コンテンツの順序はこれで良いのか、情報に過不足はないか、ボタンの位置は本当にここでいいのか、図やアイコンはどんなイメージにすれば伝わるかなど、使う人を想定しながらデザインをしていきます。

アイコン作成は、既存のもののルールに沿って一貫性が損なわれないようにデザインしていきます。

3.確認・フィードバック・修正〜公開まで

その後、ディレクターに確認、フィードバックをもらって修正作業に。
デザインが完了したら画像を切り出ししてコーディングの担当者にお渡しをします。
この時、簡単なデザインガイドラインも一緒に作成してお渡しするようにしています。

最後に、コーダーさんが組んでくれたもののデザインチェックをして完了。リリース日を待ちます。

完成した実際のページはこちら
https://safie.link/service/analysis/aipeoplecount/

4.チラシの作成〜印刷まで

LPの内容が固まってきたら、次はチラシの作成に取り掛かります。
チラシもLPと同様にワイヤーフレームをもらい、それに沿って作業をしていきます。

作業途中のイメージ

両面を使用するつもりだったのですが、確認していただいたら今回は片面で、とのこと。
使い方紹介の情報が入りきらなかったため、他のデザイナーに相談しながら何度か見た目を整えていきました。

内容を確認してもらい、修正を重ねて完成。印刷発注を出すところまで担当します。

完成したチラシ

担当したwebページが公開される時も嬉しいですが、作成したものが実際に手元に届くのは、何度やっていても嬉しいですね。

大まかになりますが、上記がデザインセンターで行っている仕事の一例になります。

おまけ

社内イベントなどがあると、イベントで使用するノベルティの作成も行います。
出来上がると紙とは違った嬉しさがありますし、社内の人に喜んでもらえるととても嬉しいです。

今まで作成したノベルティの一例

最後に:これからの目標

セーフィーに入社して3年目、LP作成、サイト制作、バナー作成、ノベルティ作成に簡単な動画編作成に編集と、様々な作成業務に携わらせてもらい、前の会社にいた頃よりもできることが増えてきたなとは感じているし、様々な業務のご相談を持ってきてくれることが多くなったと感じています。

しかし、まだまだ知識や技術不足で、後から「もっとこうできたのに、もっとこうしたかったのにな。」というものがたくさん出てきているのが現状です。

作りたいと思ったイメージと、作ったデザインでは、まだまだアウトプットに差異があると感じているし、もっとよくできたのに!悔しい!と思うことも多々あります。

大人になって、周りのすごい人たちをみて、自分にできる限界を感じて、諦めたいと思ったことが何回もありました。それでもデザインの仕事を続けているのは、やっぱりこの仕事が好きだからなんだと思います。

これからも、周りの方のすごい技術をどんどん吸収して、ずっと学び続けて、いつか自分が作ったデザインを誇り、胸をはれるようになる日まで、日々デザインと自分と、戦い続けることが目標です。

お客様に使いやすい、わかりやすい、いいね。と言ってもらえるようなデザイン作りにこれからもチャレンジしていきたいです。


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