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アーティストのアーカイヴ実践

授業「クリエイティヴ・アーカイヴ演習」アーティストのためのアーカイヴ
日 時:2023/7/4(火)18:00-19:30
場 所:上野校地 28 アーツ&サイエンス ラボ」1Fhttps://www.geidai.ac.jp/access/ueno
テーマ:アーティストのアーカイヴ実践

*上記の授業用につくったnoteを一部改変して公開しています.


1) アーティストの死後、どうなるか?

例: 渡辺好明、中園孔二、篠田太郎、国府理、三上晴子

渡辺好明(享年54歳)
https://www.yoshiakiwatanabe.com/

中園孔二(享年25歳)

國府理「 水 中 エンジン 」再制作 プロジェクト

https://www.kcua.ac.jp/arc/wp/wp-content/uploads/2020/12/EitW.re-creation.document.pdf


アーティストの死後、作品はどうなる?

作家の人生よりも作品の生の方が長い(こともある)
(注:数千年残りうる傑作や、死後に作品評価が高まるスター作家もいる。ただし、生み出される作品数に対して、世に語り継がれる作品は一握りである事実が大前提。作品の一生は儚い場合の方がむしろ多い。世に残る傑作を・・・!)

誰かがアーカイブしてくれているわけではない(求む専門職・・!)


2) 作品のアーカイブ

写真
映像
3D
作品データ
ネガ、Rawデータ?
インストラクション ※外部公開・流出NG
作品自体の保管・修復 例:美術館収蔵

指針

保管時に心掛けていること

・公開して差し支えないものは極力公開していく(ポートフォリオ、Youtube)=公開することで転載され、より強固なデータベースが構築される
・記事掲載はなるべく引き受ける
・どんなメディアでどう記録するのがベターか作戦を考える
・基本的に作家自腹になるので、予算の問題は常にある
・物撮りはまとめて撮れるけれど、展覧会の記録は後からできない
・ファイル名の命名規則
明確に作っておかないと、後になって検索できなくなる
ex; 20230702_Geidai_1


写真のクレジット

森美術館での展示風景を例に;

注:画像クレジットは下記になります

AKI INOMATA
《彫刻のつくりかた》
2018年-
木、サウンド
サイズ可変
展示風景:「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」森美術館(東京)2022-2023年
撮影:木奥惠三
画像提供:森美術館
AKI INOMATA
How to Carve a Sculpture
2018-
Wood and sound
Dimensions variable
Installation view: Roppongi Crossing 2022: Coming & Going, Mori Art Museum, Tokyo, 2022-2023
Photo: Kioku Keizo
Photo courtesy: Mori Art Museum, Tokyo
※素材、サイズ(青字)は省略可
※展覧会タイトル、英語作品名はイタリック体(青ハイライト)

写真クレジットの課題

・クレジットが長すぎる
 こんなに紙面を割けるケースは稀では?ショート版を作る?
・特に紙面が限られており、フォントを小さくできない新聞掲載時は不利(画像が小さくなってしまう要因にもなるし、新聞は紙面の校正時の確認が原則できないので、間違ったクレジットが掲載されてしまうケースも)
・カメラマンのクレジットはどこまで必須なのか?
・クレジット管理システム?

数万枚の画像、クレジットをどう管理すれば良い…?

クレジットの整理、どなたかにご依頼したい(悩み)

・掲載誌等のクレジットのチェックバック対応が大変(急な問い合わせが多いこともあり・・)

・そもそも校正が得意ではないのでミスを見落としまうことも(重要なものは人に有償で依頼していますが、掲載料が出ないことが多いので、赤字に)

・写真(画像)とクレジットを合わせてお渡しするベストな方法とは?(悩み)


サイトスペシフィックな作品展示をいろんなメディアで記録する

AKI INOMATA@あいち2022のケースを元にケーススタディ
*画像は転載NG

記録写真(展示)

Installation view at Aichi Triennale 2022, AKI INOMATA, Passing her a piece of cloth (2022). © Aichi Triennale Organising Committee. Photo: ToLoLo Studio.
Installation view at Aichi Triennale 2022, AKI INOMATA, Passing her a piece of cloth (2022). © Aichi Triennale Organising Committee. Photo: ToLoLo Studio.

記録写真(物撮り)


Shibori (tie-dye) round fan with wing pattern of the fungus-feeding bagworm / Shibori (tie-dye) round fan with wing pattern of the wood boring bagworm

記録写真(製作中のメイキング)

Photo:Asaoka Eisuke

記録映像(展示)

記録映像(メイキング)

VR

・3次元の情報は3次元でないと伝わらない部分も多い
・3DCGは、閲覧方法・アーカイブ方法が難しい
・図面は別途必要?(スケール感がわかりづらい)

*下記のリンクより、是非グリグリやって鑑賞してみてください
VR: Hayato Wakabayashi

展覧会カタログ

・資料性が高い
・間違った情報が載ると後々困るので、校正時には細心の注意を払う
・展覧会の準備と並行するとスケジュール的にかなり厳しいが、最近は展覧会の終了後に出るケースが一般的になっている

あいち2022カタログ(AKI INOMATA表紙バージョン)

インストラクション

ケーススタディ 金沢21世紀美術館に収蔵された作品をもとに

Photo: Asaoka Eisuke

「Lines—貝の成長線を聴くver. 2.0」 アサリ 2015.4.20 福島県相馬市松川浦 採集 アクリルにUVプリント 60 x 155 x 0.8cm
「Lines—貝の成長線を聴くver. 2.0」 アサリ 2011.5.21 福島県相馬市松川浦 採集 アクリルにUVプリント 60 x 155 x 0.8cm
「Lines—貝の成長線を聴くver. 3.0」 アサリ 2015.7.17 福島県相馬市松川浦 採集 紙レコード 33 x 33 x 2cm
「Lines—貝の成長線を聴くver. 3.0」 アサリ 2011.7.3 福島県相馬市松川浦 採集 紙レコード 33 x 33 x 2cm

何が作品であって何が作品でないのかをハッキリさせる
何が作品の肝なのか? 自問自答する意味でも良い機会

インストラクション(再制作指示書)

*非公開につきリンクを削除しています


3)作家活動のアーカイブ

ポートフォリオ
資料(書籍、雑誌、ウェブ記事、展覧会ポスター・フライヤー 他)
ウェブサイト
ドローイング
展覧会企画書
作家ステートメント・テキスト
メディア出演(ラジオ・テレビ 他)
手紙・私信 例:河原温
他の作家やキュレーターとの親交・インタビュー
活動を捉えた映画・ビデオ 例: ウォーホール、バンクシー、ドリッピング

RM

https://researchmap.jp/akiinomata

・研究者の場合はReserchmapでほぼ網羅できるのでは・・?
・すごく使い勝手が良い
・論文などは自動で追加される(便利)

ポートフォリオ

ポートフォリオ(ファイリングしたもの)

ポートフォリオは下記より公開しています(2022バージョン)
https://www.aki-inomata.com/shared/img/profile/20220917_portforio.pdf

・更新が大変 現在148pp….!
・デジタルで見るので、A4横位置がスタンダード
・編集力が必要
・作品の素材をなんと記載するか?
例:Installation with living hermit crabs: hermit crabs, resin, seawater, aquarium tank sets (dimensions variable)
HD video
Photos
・バイリンガル=日英両表記が望ましい 英語力が必要?

書籍(掲載)

掲載誌の一部

書籍(単著)

書籍(共著・寄稿)

教科書 『わからない彫刻 つくる編 彫刻の教科書1』 編者:冨井大裕・藤井匡・山本一弥 武蔵野美術大学出版局(2023年03月31日) 執筆者:冨井大裕・藤井匡・山本一弥・松本隆・黒川弘毅・細井篤・伊藤誠・桑名紗衣子・櫻井かえで・棚田康司・戸田裕介・長谷川さち・原一史・袴田京太朗・髙柳恵里・AKI INOMATA・多和圭三

雑誌

本棚の一部より

展覧会DM /フライヤー

デザイン:大西正一

・展覧会実施の証拠になる
・変形サイズが多く、データがない場合もあり、保管・整理は難しい

展覧会ポスター

十和田市現代美術館での個展のポスター

デザインしてくださった大西正一さんのサイトより
https://mo-d6.com/works/graphic/0080.html

新聞

・スクラップブックに貼っていく
・原則、公開することでアーカイブする戦法なのですが、新聞は著作権的に公開できないのでその点が難しい

ウェブサイト

各種作品データ

・映像作品のデータ・写真作品のプリントデータ(公開出来ないものも多く、後から見つからず困ることも多数)
・HDDが壊れたら?クラウドにアクセスできなくなったらどうする?

CG

展覧会企画書

十和田市現代術館の展示プラン(スケッチ)

ドローイング

CG(制作資料)

インタビュー

日本語の記事の例:

英語の記事の例:


ドキュメンタリー映画(ドキュメンタリー映像)

活動を捉えた映画・ビデオ 例: ウォーホール、バンクシー、ドリッピング

↑英語字幕が入っており、海外へ発信されたドキュメンタリー(貴重)

↑美術館が公式で制作した映像は資料性も高く、大事な資料

↑CNNで放送された番組のアーカーブ。当時、英語がカタコトでお恥ずかしいですが、さすがCNN. 桁違いの発信力です

↑上記2つは国内で放映されたテレビ番組のアーカイブ
とてもよくまとまっています.(一方で権利的に数年でアーカイブが消えてしまうことも多々あります。悲しみです)

↑スマホ用の縦映像でのドキュメンタリー
映像がとても綺麗

↑布施先生のYoutube番組

他のアーティストの映画事例;

講演会・トーク

まとめきれないのですが、過去の登壇実績はこちらに

SNS

instagramやTwitterなど
特にInstagramは海外の方のアクセスも多く、閲覧性がとても良い
ただしソーシャルメディアは常に炎上の危険性もあり、そうでなくともコメントやメッセージがたくさん来るので、(人によっては)返信等の仕事が大変になるケースも.

AKI INOMATA Instagram
https://www.instagram.com/akiinomata/

(to be continued,,,?)

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