「年功序列型」がいかに今の若者を惹きつけないか
終身雇用や年功序列型賃金は、かつては日本の雇用体系と非常にマッチしていた。
高度経済成長期においては、会社はいわば、「疑似家族」のようなものであり、社員はそこに安息を見出すことができていた。
しかし、そのような「昭和のファンタジー」は既に消えかかっている。
そもそも今の若者は「10年かけて係長、20年かけて課長、30年かけて部長」に出世していくというような雇用システムを魅力的に思うのだろうか。
今、新卒で入ってくる若者(主にZ世代を想定する)には、このような「長期的に見て、報われる」というのは、非常に冗長なものに映るに違いない。
なぜなら彼らは、自分の欲求がインスタントに満たされることに慣れ切っているからである。
インスタに投稿すれば、Xに投稿すれば、すぐにイイネ!がつき、自分の承認欲求は即座に満たされる。
そのような経験を蓄積してきた現代の若者にとっては、長い時間をかけてゆっくりと評価を獲得し、じわじわと賃金が上がっていくようなシステムは、控えめに言っても、全く魅力的に映らないのではないか。
昨今、転職が増えている理由もおおよそこれで説明がつく。
つまるところ、現代人は、時間軸が短くなっているのである。
出世も、評価が反映されるのも、何もかもがインスタントな方がいい。
しかし、そんな現代人に聞きたい。
あなたは、そんなインスタントな人間でいいんですか、と。
おおよそ、物事にはすぐにはその正誤がわからないものが多々存在する。
そのようなものを「間尺に合わない」と切り捨てるのは、将来の自分の可能性をみすみす捨てているようなものだと、私には思えてならないのだが。