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「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」がもたらしたものとは

皆さんは京急に「黄色の電車」がいることをご存じだろうか?


それは、2014年5月より運転中の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」。種車は1000形1057編成で、シーメンス製のIGBT素子使用VVVF装置を搭載している車両だ。

今回はその「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」について深掘りして行こう。


何故この車両は登場したのか

京急と言えばご存じ赤色の電車が多い中、一部青色の電車(KEIKYU BLUE SKY TRAIN)も2本在籍している。
その中で一際異彩を放つ車両がおり、マニアのみならず一般の乗客からも注目されているのだ。

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それが京急の事業用車両である。
現在在籍している事業用車両は、デト11・12形・デト15・16形・デト17・18形の3本。このうちデト11・12形は週2回、神奈川新町~京急久里浜間を資材運搬用として運転されている。

京急の事業用車両は営業運転用の赤色と異なり、「黄色」が主体の塗装となっている。YELLOW HAPPY TRAINが登場する前、京急において黄色の車両と言えばこの事業用車両でしか見ることが出来なかった。
同じく黄色の車体であるJR東海道・山陽新幹線の923形(ドクターイエロー)が「幸せの黄色い新幹線」と呼ばれていることから、いつしか京急の事業用車両全般を「幸せの黄色い電車」と呼ばれるようになった。

それにあやかって営業列車に黄色1色の塗装を施し実現させたのが、「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」である。


実車登場

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2014年5月1日、1000形のアルミ車体の車両である1057編成に黄色1色の塗装を施し「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」の運転が開始された。
登場当初(試運転時)はドアの色も黄色だったが、営業運転開始前に銀色のラッピングが施された。

このラッピングが後にある鉄道会社を動かすことになった。それは次の項目にて。


「似ている」事がきっかけとなったコラボレーション

満を持して登場した「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」。
ところが、西武線の利用客から「西武の電車に似ている車両が京急にある」と言う声が西武鉄道に上がったのだ。

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こちらは西武9000系だが、確かに黄色で扉の部分のみシルバーとなっている。ではもう一度「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」を見てみよう。

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確かに似ている。

京急は最初から西武の車両に似せる筈は無かったと思うが、ここぞと言う時に京急はある策に動いた。それは、


似ている側の西武鉄道へコラボレーションを投げかけたこと。


これによって実現したのが、西武9000系の「RED LUCKY TRAIN」である。

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9000系9003編成を赤色に塗装、京急の車両の特徴である窓をアイボリー1色のラッピングを使用した車両となっている。
西武もかつては赤色に近い車両が活躍していたが、真っ赤になった車両が走行するのはこれが初めて。
(赤色と言えば西武には特急用に「レッドアロー」が活躍している。こちらは5000系時代は車体はアイボリーで帯のみが赤、10000系は灰色と白の2色で窓下に赤帯が引いてあるだけ。)

こちらは2014年7月9日に運転を開始したが、2020年11月30日をもって営業運転を終了した。2021年8月現在は4両編成に短縮の上、多摩湖線にて運転中。なお、車体はまだ赤色のままである。


試運転時の姿にカムバック

2014年5月から3年経った2017年5月、本来であればこの時期に元の塗装へ戻るはずだったが、好評となり「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」は継続された。同時にドアの色がシルバーから試運転時の黄色に戻り、名目共に「黄色い電車」として活躍し続けている。

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ラッピング車としての活躍

「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」は、西武鉄道のコラボレーションだけでなく、ラッピング車両としての運転も行われている。以下はその例。

マツモトキヨシ(2016.11下旬~2017.1?)

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2016年11月から期間限定で運転された「マツモトキヨシ」のラッピング車。
「マツモトキヨシ」はご存じの通り、千葉県松戸市を本拠地とし日本全国にドラッグストア・調剤薬局を展開している会社である。
(この撮影場所は北総線新鎌ヶ谷駅であるが、駅近くに同じくドラッグストア・調剤薬局を展開する競合会社の本社がある)

しあわせのキイロイトリ号(2018.3.16~2018.5.13)

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「リラックマ15周年×京急120周年記念」コラボレーション企画の一環として登場。カオルさんが自宅で飼っているペットの鳥「キイロイトリ」をメインにあしらったラッピング車両。
期間中、京急空港線大鳥居駅は「大キイロイ鳥居駅」に変わった。

「キリン生茶」オリジナルデザインラッピング(2018.11.13~12.16)

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「キリン生茶を買って旅に出よう!キャンペーン」の一環として登場。
側面に「N」「A」「M」「A」「C」「H」「A」と生茶の500mlペットボトルのラッピングを施した。

すみっコぐらし たべものもぐもぐ号(2019.11.18~2020.1.26)

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「すみっコぐらし×けいきゅう 京急沿線のすみからすみまであそびにいこうキャンペーン」の一環として登場。
すみっコぐらしとたべものをあしらったラッピング車両である。


最後に

今現在も運転中の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」。この車両の登場によって同業他社とのコラボレーション企画を行うなど、自社のみならず他の路線に「幸せ」をもたらしてくれる事は間違い無いだろう。
1000形自体も車体更新などでシーメンス製のVVVF装置が消滅する中、この編成はまだ生き残っている。しかし、今後の状況によっては更新されることもあるため、更新後もこのまま「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」として残るのかが注目される。

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