一眼カメラの「ボディのみ」「レンズキット」、どう言った目的で販売されている?
皆様は、一眼レフやミラーレス一眼を購入する際に、どれを買おうか迷っている方もいらっしゃるかと思います。
大半のラインナップは以下の通りとなるでしょう。
ボディのみ
レンズキット(ズームレンズキット含む)
ダブルレンズキット(ダブルズーム含む)
何故このようなラインナップなのか気になった方もいらっしゃることでしょう。それぞれのラインナップはしっかりとした目的があってメーカーが出しているのです。
一眼カメラは、ちょっとの撮影から本格的に撮影したい方、更には撮影の仕事での使用など多種多彩。
ここではそれぞれのラインナップがどのような目的で販売されているのかを私なりにご説明したいと思います。
1:ボディのみ
まずは「ボディのみ」についてご説明します。
メーカーでの販売名は「EOS R5 ボディ」のような販売の仕方になりますね。
ボディのみと言う事で、入っているものとしてはカメラ本体とバッテリー・ストラップ・チャージャー・取扱説明書ぐらいでしょうか。
ボディ・・・つまりカメラ本体のみしか入っていないため、レンズは付いてきません。当たり前ですがこの状態では撮影出来ません。
これがラインナップがされている理由は、「既にレンズを所持している方」や「本体のみを買い換えたい」「買い増し用」に設けられていると思われます。レンズがあれば撮影可能になりますので、持っているレンズ資産をそのままにボディのみを新しく変えれば撮影が楽しめますよね。
中級機の最上位モデルや上級機(プロ用)は高額になるので、レンズキットの設定が無くボディのみでの販売が多いです。
(諸外国では中級機の最上位でもレンズキットの設定があるようです・・・)
2:レンズキット
続いて「レンズキット」について。
メーカーでの販売名は「EOS Kiss M2 EF-M 15-45 レンズキット」のような販売の仕方になります。
本体の名称に続けて含まれているレンズ名が付加される形となりますね。
入っているものはボディのみの内容と標準域レンズになります(メーカーによってフードが付属するものもあります)。レンズが付属してくるものになりますので、購入直後からすぐに撮影が楽しめます。
これがラインナップがされている理由は、「一眼カメラへ移行したい方」「カメラ初心者向け」として設けられていると思われます。
レンズキットとして付属してくるレンズは大半が広角~標準域をカバーするものが多く、中には望遠域まで撮影出来る「高倍率ズームレンズキット」なるものも販売していたり、単焦点レンズのみが入っているキットもあります。
このキットは入門機~中級機の一部に設定されている事が多いです。
3:ダブルレンズキット
3番目は「ダブルレンズキット」。
メーカーでの販売名は「EOS M6 Mark II ダブルズームキット」のような販売の仕方になります。
本体の名称に加えて「ダブルレンズキット」または「ダブルズームキット」が付加される形となりますね。
入っているものはボディのみの内容と標準域レンズ・望遠域レンズあるいは単焦点レンズになります(メーカーによってフードが付属するものもあります)。先述のレンズキット同様、レンズが付属してくるものになりますので購入直後からすぐに撮影が楽しめます。
これがラインナップがされている理由は、レンズキット同様「一眼カメラへ移行したい方」「カメラ初心者向け」として設けられている事に加え、一眼カメラの醍醐味である「レンズ交換して撮影を楽しむ」目的があるものと思われます。
付属してくるレンズは以下の通り。
ダブルレンズキット:標準ズームレンズ、単焦点レンズ
ダブルズームキット:標準ズームレンズ、望遠ズームレンズ
「ダブルレンズキット」に付属するレンズは広角~標準域をカバーするものと、広角域または標準域の単焦点レンズの2つ、「ダブルズームキット」に付属するレンズは広角~標準域をカバーする標準ズームレンズと、中望遠域~望遠域をカバーする望遠ズームレンズの2つになります。
このキットは入門機に設定されることが多く、発売されている大半のカメラはAPS-Cセンサーを持つものになります。
(マイクロフォーサーズセンサーを持つカメラでも設定されています)
フルサイズではレンズ自体が高額になる事と、購買する対象者を考慮してなのかダブルレンズキットやダブルズームキットは設定されていません。
付属してくるレンズが持つ意味
「レンズキット」「ダブルレンズキット」にはそれぞれレンズが付属してきますが、これはどのような意味で設けられているのでしょうか?
この答えは、コンパクトデジタルカメラと一眼カメラの紹介に隠されています。
まずはコンパクトデジタルカメラの紹介から。
キヤノンの「PowerShot SX70 HS」で説明します。
ページ内を見て貰えば解りますが、
「65X プログレッシブファインズーム130X」「光学65倍ズーム」
の表記がされているかと思います。
続いて一眼カメラの紹介を見てみましょう。
キヤノンの「EOS Kiss M2」で説明します。
ページ内を見ても「光学○○倍ズーム」などの表記は見当たりませんよね?
「商品構成」のページを見て貰うとレンズキットの項目がありますが、それに付属するレンズは別ページで紹介されています。
例えば「EOS Kiss M2(ホワイト)・EF-M15-45 IS STM レンズキット」の項目にある付属するレンズの情報リンクを押すと下記ページに飛びます。
違いにお気づきでしょうか?
コンパクトデジタルカメラはレンズが一体となっているため、「光学○○倍ズーム」の表記はされていますが、一眼カメラはレンズ交換を伴うため「光学○○倍ズーム」の表記が一切されていないのです。
では、一眼カメラのレンズはどうやってズームの倍率を算出するのか?
答えはレンズの「焦点距離」を使用します。
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMであれば、35mm判で換算(レンズの焦点距離×1.6)すると24-72mmになりますので、望遠端と広角端を割ると、
72 ÷ 24 = 3
となり、EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMの場合は「光学3倍ズーム」であることが解りますね。
EOS Kiss M2などに設定されているダブルズームキットはEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMに加え、EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STMの望遠ズームレンズも付属してきます。
それぞれを35mm版換算すると、24-72mm・88-320mmになります。
このレンズ2本の望遠端から広角端を割ると、
320 ÷ 24 = 13.3・・・
よって、EOS Kiss M2などに設定されているダブルズームキットの光学ズームは13.3倍である事が解りました。
35mm判換算については下記リンクからどうぞ。
ここまで来ると何となく解ってきましたよね?
付属してくるレンズが持つ意味は「焦点距離に慣れる」ためにあるのです。
コンパクトデジタルカメラでは「光学○○倍ズーム」があるので「ここまで届くんだな~」が伝わってきますが、一眼カメラはレンズ交換を伴いますのでその概念が通用しません。
レンズに書かれている数字(→焦点距離)を見て、どの位ズームしているのかを判断しなければならないのです。
先ほどのEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMとEF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STMはそれぞれ光学ズームに置き換えるとこの通りになります。
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM:3倍
EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM:3.6倍
一眼カメラのズームレンズにおける光学ズームは、広角・標準・望遠であっても大半は2~4倍程度に抑えられているので、光学ズームの概念が通用しなくなるのです。高倍率ズームの場合は7.5~10倍程度が殆どで、一部で14~18倍が採用される程度に収まっています。
コンパクトデジタルカメラから移行された方はここが一番戸惑うところではありますが、私が書いた下記記事も参考にしていただくと焦点距離がわかりやすくなりますよ😊
最後に
今回は「一眼カメラの「ボディのみ」「レンズキット」、どう言った目的で販売されている?」について御紹介しました。
各メーカーとも何故このような販売方法を取っているのかが解ってきたところで、カメラに興味が注がれたのではないでしょうか?
そろそろ暖かくなってきましたので、絶好の撮影日和が訪れますね。
この際、一眼カメラに是非挑戦してみては如何でしょうか? 新しい世界が見えてくるかも知れません。
一眼カメラ初心者であるならばボディのみ購入でレンズは別に購入するよりも、レンズが付属してくるレンズキットを購入した方が最善と言えます。
まずは付属するレンズで焦点距離に慣れましょう。
今日はここまで。最後までご覧いただきありがとうございました。
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