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[インディーズの怪作]Milk inside a bag of milk inside a bag of milk...[考察]

ネタバレあり


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導入


牛乳を買いに行く道中から始まる。人と会話する練習をしている。とても細かいところまでこだわっており、繊細な性格だと思われる。

自分をノベルゲームのキャラクターだったらと考えてみてるらしい。そうすると頭の中を整理できるかもしれないとのこと。ノベルゲームのキャラクターのように自分の思考を言語化している。
そして頭の中でプレイヤーと会話している。

店内

店に入って誰かに声を掛けてみる。しかし相手は4つ目の怪物になっている。

「"すみません、何ですか?"」
「"o"」
という会話の'ループ'に嵌まる。

相手は何を言っても「"O"」としか答えてくれない。oは主人公(通称milkちゃん)が嫌いな文字らしい。
ここでプレイヤーが助言する。
(この人、どう考えても折れてくれなさそうだし、無限ループになるだけだよ、、、。)

意を決して「"O?"」と言ってみたら、相手は「"O!"」と言って這うように逃げていきました。練習の成果がありましたね。

物思いに耽って牛乳を買う目的を忘れたり、牛乳の状態を正確に言うことにこだわったり、自分の世界に閉じ籠りがちな様子が窺える。



そしてこのゲームはノベルゲームなのでこちらは選択肢を選んでいくのですが、プレイヤーの文字も見えているとのこと。
つまり、このゲームの画面はmilkちゃんが見ている景色そのもの
テキストボックスや選択肢も含めて。


レジ

レジの店員は蛇のような怪物に見えます。

店員のセリフ:「"もう、あなた、持ってる。"」
       「"ダメ。"」
       「"ダメ、ダメ。“」
       「"ダメーーー!"」

なぜかめっちゃ断られるmilkちゃん。ここでも会話が'ループ'する。
ここでプレイヤーが割って入る。
(お会計は?)
プレイヤーの助言によってなんとかmilkちゃんはお金を出さないといけないことに気付く。
この出来事の間に2日も過ぎたと思っている。時間を長く感じている。

自己評価?



帰り道

入れ子構造になっている文章が好きらしい。店内でのあのセリフもお茶目なだけだったんでしょうね。


不意に1マイルのアイスクリームになると宣うmilkちゃん。
わたしの体積のうち、水と牛乳の比率が30対1とのこと。
つまり、買った牛乳と水と脂肪を合わせると牛乳になるということだと思われる。1マイルは帰り道の長さ。

牛乳を1Lだとすると、子供の体内の水分は約70%らしいので
30÷0.7をすると体重は約42kgになりますかね?


帰り道の途中、トラックに轢かれそうになるのだが、熊が飛び出してきたと勘違いしている。
(トラックだよ、あれ。)
と指摘すると、反論してくる。

milkちゃんは目があまりよく見えていない。それで牛乳の袋を持っているだけの少女を襲うのは熊のような動物しかいないと思った?
なんにせよ思慮深さが窺える。


そして信号待ち。信号が変わることや雨が降ることについて私に合わせてくれていると認識している。
認識が歪んでいるのか、それとも悲しいから合わせてくれると思い込もうとしているのか。


それに対して反論すると、「"く、薬の説明書にはそんなこと書いてなかったよ、、。"と言う。


ベンチ

milkちゃんが自身の状況を説明する、物語の核心に迫るシーン。

ここではプレイヤーが入力する部分もある。入力できることでよりmilkちゃんと直接的に会話している感覚になる。
ただし、milkちゃんは繊細なため会話が進まず'ループ'に陥りがち。そしてそれをプレイヤーが気を利かして繰り返しから脱出させなければならない。milkちゃんとの意思疎通の難しさを体験できる。


「君さえよければだけど、わたしの病気のことについてはあまり話したくないんだ。」
「君だけには、色眼鏡なしに、ありのままのわたしを見て欲しい。」

例えば病気でおかしくなってしまっているなどのような、余計な詮索をしないで話を聞いてほしいということだと思われる。

そしてここで、「プレイヤー」は実はmilkちゃんが作った薬だということが判明する。おそらく夥しい量の薬が家にあり、それらを自分なりに分解して混ぜたのだと思われる。

では、そうなってしまった経緯はなんだろう。


過去

アレがあってから、赤色しか認識できなくなったらしい。他の色がどんな風に見えていたかも覚えていない。

お店で店員がおぞましいものに見えていたが、むしろ怖がっていたのは向こうであることも理解している。それでも人が怖く見えてしまう。


そうなってしまったアレとは?

パパだったもの

これがmilkちゃんの最後に記憶している風景。これ以降の記憶は空白になっている。こんな感じの日常を'ループ'している。

そんなmilkちゃんだが、この日は初めて何事もなくお店で買い物ができたとのこと。自身はビジュアルノベルのキャラクターになりきり、そして薬が生んだ人格のようなものはまさに「プレイヤー」としてmilkちゃんを手助けする。


プレイヤーが突如milkちゃんの話を遮る。薬が切れかけているんだろう。



自分の家の階で止まって柵にぶら下がる。これを毎日繰り返していたら高所恐怖症を出来たらしい。
なぜこれを繰り返そうと思った、、、?


薬の禁断症状のような現象も起きている。

そして家に帰るとせっかくプレイヤーと一緒に苦労して買った牛乳をママに一瞬で取り上げられる。


まとめ

アレによって認識が歪んでしまった少女が牛乳を買いに行く物語。milkちゃんはしばしばループに陥ってしまうので、それをプレイヤーが助けていく。
他人からはおかしく見えても本人は意識がしっかりしていて周りのこともよく見えている。
なぜ牛乳を買いに行くのか?というと、今作から読み取れる情報から考えるとすれば、ママが無理やり買いに行かせたということになるだろう。

タイトルの「Milk inside a bag of milk inside a bag of milk…」とは、milkちゃんの頭の中のmilkちゃん(思考)ということだと思われる。そして思考のループも表現している。

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