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ムーミンパパの台詞「I DON’T UNDERSTAND A THING.」はどこ?

ムーミンのこの台詞、どこだっけ?と思うことがしばしばあります。今回は、75周年グッズ(下記リンク参照)のムーミンパパの台詞を探したので記録を残します。

I DON’T UNDERSTAND A THING.

ムーミンコミックス展に行ったときに、この75周年限定デザインの絵と小説の英訳が描かれたTシャツを買いました。私は迷うことなくミムラねえさんを選びますが、彼は絵と色の好みで青緑色のムーミンパパを選びました。そこで見つけたのが「I DON’T UNDERSTAND A THING.」でした。

Googleで「I don't understand a thing moomin」と検索してみると、英語のムーミン公式サイトがヒットします。

「Moominpappa, from the book Tales from Moominvalley」とありましたので、『ムーミン谷の仲間たち』を見てみました。

絵は「ニョロニョロの秘密」、文は「もみの木」

結論から書きました。

『ムーミン谷の仲間たち』は短編集です。絵は短編のなかの「ニョロニョロのひみつ」という作品のものです。見えにくいですが、下記リンクの右下のむすっとした絵です。

さて、先ほどの英語のサイトをスウェーデン語に切り替えると「Jag förstår ingenting alls av allt det här.」と出ます。原書で「ニョロニョロのひみつ(HATTIFNATTARNAS HEMLIGHET)」からこのフレーズを探してみましたが…ありませんでした!!

他に『ムーミン谷の仲間たち』でムーミンパパが出てくるのは「目に見えない子」(ニンニが出てくるお話です)と、「もみの木」です。「もみの木(GRANEN)」はクリスマス前に目覚めたムーミンたちがクリスマスが何なのかわからないまま、ほかの生き物たちに言われるがままに支度をするお話なので、I don't understandが出てきそうと思い捜索してみたところ、発見しました!!!

「もみの木」

ムーミンパパ、ムーミンママ、ムーミントロール、スノークのおじょうさんに、もみの木を持った「ヘムルのおばさん」が話しかけます。

「あんたがたも、とうとう目がさめたんだね。くらくならないうちに、もみの木をとってきたほうがいいですよ」
(講談社文庫『ムーミン谷の仲間たち』p. 216 ※新装版ではありません)

ヘムルのおばさんは「いそがしい」と言って使い道を教えてくれません。

「くらくならないうちにって、いったわ。だから、くらくなったら危険になるのね」
と、スノークのおじょうさんが小さい声でいいました。
「それで、おまもりにもみの木がいるっていうのかな。わからんなあ」
こういってムーミンパパは考えこみました。
「わたしにもわかりませんわ。でも、もみの木をとりにいらっしゃるなら、毛のくつしたとスカーフをしていらしてね。わたし、ストーブにどんどん火をたいておきますわ」
ムーミンママはしとやかにいいました。
(同上 p. 216)

ムーミンパパとムーミントロールがもみの木をとりに行くことになりました。

「いったい、この木の中にかくれろっていうんだろうか」
と、ムーミントロールはいぶかりました。
わしにもわからん。なにがなにやら、まるっきりのちんぷんかんぷんさ
こういいながら、パパはなおもおのをふりました。
(同上 p. 217)

I DON’T UNDERSTAND A THING.は、目的もわからないままにクリスマスツリー用のもみの木を切っている時の台詞でした。

ミムラねえさんのデザインも絵と文は別の作品でしたが、今回絵と文は違う作品から引用されていました。

「ニョロニョロのひみつ」

ちなみに「ニョロニョロのひみつ」の挿絵は、ニョロニョロのことを考えて「どうしようもないあこがれとメランコリー」におそわれたムーミンパパが「ベランダでお茶なんかのんではいられない」と感じた時のものです。

「ニョロニョロのひみつ」はニョロニョロについていったムーミンパパのお話です。この作品でもわからないものに出会うムーミンパパですが、こちらではパパの気持ちとその変化が詳細に書かれていて、読んでいる私も心を揺さぶられます。「心が揺さぶられる」とはどういうことか、もっと読み込んで考えたいですが…それはまた別の機会に。

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