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『ムーミン谷の彗星』の改訂で変わったこと:スニフはナイフを持っていた

結構前に、『ムーミン谷の彗星』は3つ版があり(2回改訂されている)、タイトルも違って内容にも違いがあるという話をしました。

手元にある2版目(1956年)と3版目(1968年)を見比べて見つけた小さな改訂箇所をメモしておきます。最初の最初で、スニフが「あたらしい道」を見つけたところです。スニフは場所を忘れないように目印をつけますが、その方法が異なります。

日本語訳の底本にもなっており、現在流布している3版目では、小枝を使っています。2版目との違いを明確にするために、新版の訳を参考にしつつオリジナルの訳をつけました。言わずもがなですが、原語はスウェーデン語です。

Så lade han två kvistar i kors för att hitta dit igen och skuttade hemåt så fort han kunde.
それから彼は、後でもう一度ここを見つけるために小枝を2本交差させて、できるだけ急いで家に帰りました。

Kometen Kommer p.5 日本語は拙訳


2版目では、スニフはペンナイフを使っています。ペンナイフは、辞書によれば「小さな折り畳みのナイフ」とのこと。

Och så karvade han en hemlig krumelur i en tallstam med sin pennkniv för att hitta dit igen och tänkte stolt: Mumintrollet kommer att bli förvånad. Sen skuttade han hemåt så fort han kunde.
そして彼は、もう一度ここを見つけるためにペンナイフで松の幹にひみつのしるしを刻み、誇らしげに考えました:ムーミントロールは驚くだろうな。 それから彼はできるだけ急いで家に帰りました。

Mumintrollet på kometjakt p.7 日本語は拙訳

krumelurをどう訳すか悩みましたが、「しるし」にしてみました。スニフがどんなしるしをつけたのか、詳しく書いておらず、挿絵もないのでわかりません。想像が膨らみます!!


◎参照した辞書:Svensk ordbok utgiven av Svenska Akademien (SO)
・pennkniv

・krumelur


◎新版『ムーミン谷の彗星』


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