「ムーミンとは何か」がわかりやすく書かれている『ムーミン谷の十一月』の解説
どうして今これを書くのか
youtube「レイジの作業用BGMチャンネル【マリマリマリーのサブチャンネル】」にて、レイジが「ムーミンがなんだかわからなくてムーミンバレーパークに行ったものの、結局ムーミンがなんなのかわからなかった」という話をしていました。結論を急がず「わからない」ままにしておくレイジ、ますます好きになりました。レイジは一人でムーミンバレーパークにいったそうですが、まあ私もたいてい一人で行きます…。
前置きなく話を始めてしまいましたが、「マリマリマリー」とは、「エモくてクスッと笑えるアニメ」をあげているYoutubeチャンネルです。ひょんなことからこのチャンネルを見始めた私は、突拍子もない言動が可愛いレイジのファンです。
「家探しの条件バグってるやつ」でハマりました。
ムーミンとは何なのか。かつて私も考えていましたが、自分のなかでは解決していてnoteでは触れてこなかった(気がする)ので、せっかく思い出したこの機会に書いておくことにしました。
ムーミンとは何か(『ムーミン谷の十一月』解説より)
この疑問について、私が説明するまでもありません。
なぜなら、文庫版の『ムーミン谷の十一月』の巻末にある訳者解説で、鈴木徹郎さんが「ムーミンとは何か」を簡潔に説明してくださっているからです。
私はこれを読んで納得したものの、「ムーミンが妖精ではないこと」を説明しようと頑張っていた時期がありました。しかし、ムーミンを論じるにあたって「妖精でないことの説明がそんなに重要か?」との指摘を受けて考え直し、とりたててこの問題を取り上げるのをやめました。とはいえ、北欧神話や伝承の生きものについて調べることは楽しいです。
「ムーミンたちは、もっと現実に生きている、なまなましいもの」
鈴木さんの言う「なまなましい」とはどういうことなのか、私の考えをざっくり書きます。
ムーミンたちは、姿は人間とは異なるものの、生活は人間のようです。非現実的な出来事もおこりますが、日常のベースは現実に近いです。ムーミン童話9冊のうち、初期の物語に出てくる不思議な現象は物語を楽しくしたり、物語を展開させる役割を持ったりしていますが(『たのしいムーミン一家』の飛行おにの魔法、『ムーミン谷の彗星』でスノークのおじょうさんの体の色が変化すること、『ムーミン谷の夏まつり』で洪水に見舞われることなど)、物語における不思議な現象の意味は次第に変わっていきます。
後半4冊は現実の人間が抱える問題とよく似た問題に登場人物たちが向き合う姿が描かれています。『ムーミン谷の冬』の氷姫は死を、『ムーミン谷の仲間たち』「目に見えない子」で顔の見えないニンニは自己表現をテーマとして浮彫りにしており、物語の中にある不思議な現象は、現実の人間が抱える問題と結びついています。
スウェーデン語のvarelse
最後に補足です。トーベ・ヤンソンはフィンランド人ですが、母語はスウェーデン語です。上に引用した解説に書かれていた「varelser」は複数形で、辞書に載っている単数形は「varelse」です。
辞書の1つ目の意味は「独自の行動能力を持つ生きた現象 、つまり 動物もしくは人間(または空想上の存在)」、2つ目の意味は「<古い(用法)>存在」とありました。(ざっくり訳)
↓ 参考にした辞書
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