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ムーミンの日本語訳について少しだけ。

先週気になって仕方がなかった翻訳のことについて書きます!
先週の投稿↓

気になった翻訳は、Twitterのムーミン公式さん(@moomin_jp)が #ムーミン谷の名言 としてツイートしたミムラねえさんの台詞:「なんだって、できるわ。だけど、なにもやらないでいましょ。あぁ、なんだってできるって、なんてステキなことなの!」

はて、どこに書いてあったかしら?と思い、『ムーミン谷の十一月』を読み直してみました。先週時点で手元にあったのは2011年発行の新装版でした。
(余談ですが新装版は字が大きくて読みやすいです)

雷の時の台詞か、ふんふん、と読んでいたところ目に入ったのは…
「いまだったら、どんなことだってできるわ。できるからって、するわけじゃないんだけど。なんだって、したいことができるなんて、すごくすてきじゃないの」(ヤンソン『新装版 ムーミン谷の十一月』鈴木徹郎訳、講談社、2011、p. 164)

あれ?ちょっと違う。
ムーミンシリーズの翻訳者は作品ごとに異なるものの一作につき翻訳はひとつだったはず。1980年版を確認してみようと、中古で購入しました(旧版はもっていないものもあります)。旧版でも翻訳は同じでしたが、送料を無料にするために一緒に購入した『ムーミン谷の名言集』ではムーミン公式さんと同じ訳で掲載されておりました!!
『ムーミン谷の名言集』(ユッカ・パルキネン編、渡辺翠訳、1998年)は、「フィンランド語に翻訳されたものが基本となっており、スウェーデン語から直接日本語に訳されたものとはちがうところがあります(p. 6)」とのこと。そういうわけで、同じ台詞でも2つの訳があるんですね。

作品と名言集とムーミン公式さんのツイートをさっと見たところ、作品から引用している場合もあるみたいです。たとえばこれ↓

フィンランドにはスウェーデン語を母語とするスウェーデン語系フィンランド人がいますが、フィンランド人の多くは母語がフィンランド語です。ムーミンシリーズの作者のトーベ・ヤンソンはスウェーデン語系フィンランド人で、作品はスウェーデン語で書かれています。


スウェーデン語の原書『Sent i november』でのこの台詞を引用して今日のお話を終わります(Jansson,Tove. Sent i november, Helsingfors:scilds,1970, P. 91)。
Jag skulle kunna göra vad som helst men jag gör ingenting alls.Vad det är skönt att göra vad man har lust med.

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