雑感・METAL GEAR SOLID VTHE PHANTOM PAIN(ストーリー編)
※本稿はネタバレ要素を多分に含んでおります。未プレイの方、クリア前の方はご注意ください。
世界はひとつになりかけていた。
第一次大戦後。三大国がそれぞれの思惑と版図拡大に奔走する裏で、その世界そのものの均衡を守らんと、各国の有力者たちが結成したグループ「賢者達」
しかしメンバーの死去をきっかけに組織は形骸化。残された強大な権力と資産は、のちに世界の影を集める重力場となる。
ザ・ボスと呼ばれた女がいた。
賢者達の遺志を継ぎ、戦いの只中に身を置きながら、国家と世界を愛し続けた。
やがて一人の男と出会い、その技術、思想、未来を彼に注ぎ込んだ。
男は合衆国の影となった。行ってはならぬ場所へ赴き、知ってはならぬことを探り、戦ってはならぬ相手と射線を交わした。
男は真の愛国者と呼ばれた。ザ・ボスを超えるものと評された。だがそのために払わされた対価は、あまりにも重かった。
男は国家を捨てた。そして己の力を、国家に帰属しないものと定めた。だが戦いの只中にあるその姿は、己を罰しているかのようだった。
そんな男に、最大の罰が下される。家を、仲間を、自身を、不当に焼き尽くされた。
長い長い昏睡から目覚めた男は、復讐の鬼となる。
男の名は……。
1987年に発売された、メタルギアシリーズ第一作の主人公はソリッド・スネーク。誰あろうビッグボスの息子である。
今さら語るまでもないが、本作はすでに決した未来へと繋がる物語を描いている。スターウオーズを想像するとわかりやすいだろうか?
故に語られるべき物語は決定している。いかにしてビッグボスはああなったか。である。
それを踏まえて私の感想を結論から述べよう。
「蛇は一匹でいい!BIGBOSSは一人で十分だ!」
クリアした方ならこの言葉の意味もお分かりいただけよう。
確かにあれなら説明はつく。だがあまりにもあまりにもな結末に、未だに尻が痒い思いが消えないのだ。
プレイヤーのパーソナリティを最大限ゲーム内に参加させ、主人公との一体感を醸成するスタイルは、決して珍しいものではなく、MGS2でも使われたものだった。だが今回のそれは、私の目には騙し討ちにさえ写ってしまったのだ。
また序盤で「顔」をつくることになるのだが、話の流れから行くとそれは彼の代わりになる顔で、さもその後その顔でプレイすることになるようにも思える。
私見であるが、私はスネークになりたくて本作をプレイしている。なのであまりに乖離した顔にはしたくなかった。結果かぎりなく元の顔に近い形にしたのだが、これが後に祟ってしまうことになるとは思わなかった。
誤解がないように付け加えるが、この展開を十把一からげに否定するつもりはない。あるいは使いようによっては、好きなキャラを物語に参加させるなどの楽しみ方も出来るし、無理なく次につなげるためには、こうした論法は不可避だったのかも知れない。
だがしかしである。それならいっそ序盤にネタバラシをして、自身の身の上を知った上で生きさせてほしかったと思ってしまうのだ。
私は蛇になりたかった。だが蛇ではなかった。蛇からいくら認められても、やはり私は蛇ではないのだから、どこまでいってもその差は埋まらないのだ。
監督にどのような意図があってこうなったか。凡庸な自分には推して測ることも難しい。だが素晴らしく完成されたシステムに彩られた最高のゲーム体験であったが故、最後の最後にふっと芯を抜き取られたような感慨が消えずにいる。
ああそれでも私は、このすばらしいゲームを、しばらく続けてしまいそうである。
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